父が施設に入った日から始まった空き家問題

名古屋市エリアで″売却サポート”に専門特化した
不動産売却のみを取り扱う専門店です。
空き家売却にともなう煩雑なお手続き、
空き家の遺品整理や不要品の買取まで一括してサポートしております。

〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

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目次

~成年後見人が選任されるまでの一年~

空き家マイスターが見た人生の物語

「父の家を売りたいんです。」

最初にお電話をいただいたのは、名古屋市内に住む長女の方からでした。

お父様は84歳。

長年一人暮らしを続けていましたが、転倒による入院をきっかけに介護施設への入所が決まりました。

実家は築52年。

ご両親が新婚時代に建てた思い出の家でした。

長女の方はこう話されました。

「父も施設に入ったので、もう実家に戻ることはないと思います。」

「誰も住まないので売却したいんです。」

その時点では、ごく一般的な空き家相談でした。

しかし、この相談が解決するまで約一年を要することになるとは、誰も想像していませんでした。


父が最後に家の鍵を閉めた日

施設入所の日。

お父様は玄関の前でしばらく立ち止まっていたそうです。

庭を見渡し、

玄関を見上げ、

ゆっくりと鍵を閉めました。

「また帰ってくるからな。」

そう言って施設へ向かったそうです。

しかし現実は厳しいものでした。

介護度も高く、一人暮らしへの復帰は現実的ではありませんでした。

家族もそれを理解していました。

だからこそ売却を考えたのです。


誰も住まなくなった実家

施設入所から数か月。

実家は空き家になりました。

最初は定期的に通っていました。

換気をする。

郵便物を確認する。

庭の草を刈る。

しかし空き家管理は想像以上に大変です。

特に仕事や家庭を抱える子ども世代にとって、毎月の管理は大きな負担になります。


売却しようと思った矢先

長女様は不動産会社へ相談しました。

査定も実施。

買主候補も見つかりそうでした。

ところがそこで問題が発生します。

所有者はお父様です。

当然ながら売却にはお父様の意思確認が必要になります。


認知症の診断

施設入所後、お父様の認知症は徐々に進行していました。

当初は会話もできていました。

しかし数か月後には、

日付が分からない。

自宅を認識できない。

売却の説明をしても理解できない。

という状態になっていました。

ここで家族は初めて壁にぶつかります。


子どもでも勝手には売れない

長女様は驚かれました。

「父のためなんです。」

「施設費用も私たちが負担しています。」

「空き家管理もしています。」

しかし法律上は別問題です。

不動産は本人の財産です。

たとえ家族でも自由に処分することはできません。


委任状という選択肢

最初は委任状で対応できないか検討しました。

しかし不動産売却は大きな財産行為です。

本人が内容を理解し、自らの意思で委任する必要があります。

認知症が進行している状態では難しい。

結果として委任状は使えませんでした。


成年後見制度の利用

そこで成年後見制度を利用することになりました。

家庭裁判所への申し立てです。

診断書の取得。

戸籍収集。

財産調査。

親族関係図の作成。

書類だけでも膨大な量になります。

長女様は仕事をしながら手続きを進めました。


想像以上に長い時間

家族は思っていました。

「数か月で終わるだろう。」

しかし現実は違いました。

書類準備。

裁判所とのやり取り。

面談。

審査。

気付けば半年。

それでも後見人は決まりません。


家は待ってくれない

その間も空き家は存在し続けます。

固定資産税。

火災保険。

庭木管理。

建物劣化。

特に誰も住まない家は傷みが早い。

雨漏り。

害虫。

湿気。

時間とともに資産価値も少しずつ低下していきます。


兄弟間の温度差

さらに問題は別のところにもありました。

兄弟間の温度差です。

長女様が中心となって動いていました。

しかし県外に住む弟様は、

「まだ急がなくてもいいのでは?」

という考えでした。

誰が悪いわけではありません。

立場が違えば考え方も変わります。

しかし空き家問題は時間が経つほど難しくなります。


ようやく選任された成年後見人

申し立てから約一年。

ようやく成年後見人が選任されました。

家族は安堵しました。

これで売却できる。

そう思ったのです。


しかしすぐには売れない

実は後見人が選任されたからといって、すぐに売却できるわけではありません。

後見制度の目的は、

家を売ることではなく、

本人を守ることです。

そのため、

売却の必要性。

売却価格の妥当性。

本人利益との整合性。

などを慎重に確認します。


売却完了までの長い道のり

最終的に売却が完了したのは、施設入所から約二年後でした。

もしお父様が元気なうちに準備ができていたら。

もし認知症が進行する前に相談していたら。

結果は違っていたかもしれません。


「もっと早く相談していれば」

決済の日。

長女様がぽつりと言われました。

「もっと早く相談していれば良かったですね。」

私はこの言葉を何度も聞いてきました。

そして多くの場合、その通りなのです。


空き家問題は突然始まる

多くの方は、

空き家になってから考え始めます。

しかし実際には違います。

空き家問題は、

入院した日から。

施設に入った日から。

認知症と診断された日から。

すでに始まっているのです。


空き家マイスターが感じること

私は不動産売却の相談を受けていますが、

実際には人生相談に近いこともあります。

介護。

認知症。

相続。

家族関係。

その先に空き家問題があります。

家は単なる不動産ではありません。

家族の歴史そのものです。

だから判断が難しいのです。


まとめ

親御様が施設へ入所した時、

実家の問題は後回しになりがちです。

しかし認知症が進行すると、

売却手続きは一気に難しくなります。

成年後見制度という選択肢はあります。

ただし時間も労力も必要です。

だからこそ、

元気なうちの準備が何より重要なのです。


空き家マイスターが見た人生の物語

父親が最後に鍵を閉めた日。

その時は誰も知りませんでした。

その家が売却できるまで二年近くかかることを。

空き家問題は建物の問題ではありません。

家族の人生そのものです。

そして私は今日も、空き家相談の現場で、

「もっと早く相談していれば」

という言葉を聞きながら、

一つひとつの家族の物語と向き合っています。

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