家を手放すことは、家族の思い出を捨てることではない
こんにちは。
趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。
名古屋市の住宅街を歩いていると、誰も住んでいない家の前で足が止まることがあります。
少し色あせた表札。
軒下に残る子ども用の自転車。
庭の隅に置かれた植木鉢。
雨戸は閉まっていても、そこに家族が暮らしていた時間まで消えているわけではありません。
空き家問題という言葉を聞くと、
- 管理が大変
- 固定資産税がかかる
- 建物が古くなって危険
- 誰も住まないなら処分するしかない
という負のイメージを持つ方も多いと思います。
確かに、使われなくなった家を管理しないままにすれば、老朽化、庭木の越境、防犯、税金など、さまざまな負担が生じます。
しかし、空き家は本当に、ただの「負動産」なのでしょうか。
私は、そうは思いません。
空き家とは、古い土地と建物だけではありません。
家族が食卓を囲んだ場所。
子どもの成長を見守った場所。
親が何十年も守ってきた場所。
そして、これから誰かの暮らしが始まる可能性を残した場所です。
🟨 空き家が「負動産」になるのは、古いからではありません。管理も判断もできない状態が長く続き、所有者が選択肢を失ってしまったときです。
この記事では、空き家を単なる処分対象として見るのではなく、家族の過去と向き合い、次の未来へつなぐための考え方をお話しします。
空き家は「問題」ではなく、選択が必要になった不動産
空き家には、それぞれ違った事情があります。
親が大切に住んできた実家。
相続したものの、誰も住む予定がない家。
兄弟姉妹の共有になっている不動産。
遠方にあり、管理へ通えない住宅。
施設へ入居した親の家。
売却したい気持ちはあっても、家財を片づけられない家。
外から見れば同じ「空き家」でも、所有者の事情も、不動産の条件も異なります。
したがって、出口も一つではありません。
- 売却する
- 賃貸として活用する
- 自分や親族が住む
- 建物を改修して利用する
- 古家付き土地として売る
- 解体して土地として売る
- 不動産会社へ買い取ってもらう
- 当面は適切に管理しながら保有する
大切なのは、最初から「売る」「壊す」「残す」のどれかに決めることではありません。
その家にどのような選択肢があり、それぞれにどの程度の費用、時間、手間、可能性があるのかを知ることです。
🟩 空き家は、直ちに処分しなければならない物ではありません。しかし、何も決めないことも一つの判断であり、その間も建物の劣化と費用負担は進みます。
空き家問題の本質は「家があること」ではない
近年、行政やニュースでは、管理されていない空き家の問題が多く取り上げられています。
倒壊のおそれ。
外壁や屋根材の落下。
雑草や庭木の繁茂。
害虫や害獣。
不法侵入や放火への不安。
これらは、決して軽く考えてよい問題ではありません。
一方、空き家所有者の相談を受けていると、問題の始まりは建物の劣化だけではないと感じます。
多くの場合、所有者様は空き家を積極的に放置しようとしたわけではありません。
落ち着いたら片づけよう。
兄弟で話してから決めよう。
親の荷物を捨てる気持ちになれない。
古い家だから売れないと思う。
解体費を用意できないので、今は動けない。
その「もう少し」が、数年になることがあります。
つまり、空き家問題の本質は、建物が古いことだけではありません。
所有者が判断するための情報を得られず、気持ちも整理できないまま、時間だけが過ぎてしまうことにあります。
所有者は「放置している」と思っていない
空き家の所有者様へ連絡すると、次のように言われることがあります。
「固定資産税はきちんと払っています」
「今のところ、誰にも迷惑をかけていません」
「自分の家を持っているだけなのに、何が問題なのですか」
これは、必ずしも無責任な言葉ではありません。
所有者様から見れば、その家は「放置された危険な建物」ではなく、今は誰も住んでいない親の家です。
税金を納め、ときどき様子を見ている。
近隣から直接苦情も聞いていない。
そのため、問題が始まっていることに気づきにくいのです。
一方、近隣住民からは、違う景色が見えています。
雨どいが外れかけている。
枝が道路へ伸びている。
台風のたびに瓦が心配になる。
郵便物がたまり、防犯面が不安になる。
ここに、所有者と近隣との認識の差が生まれます。
🟨 空き家問題を解決するには、所有者を責めるより先に、所有者から見えている家と、近隣から見えている家の違いを共有する必要があります。
「固定資産税を払っているから大丈夫」とは限らない
空き家は個人の財産ですが、その状態によっては周辺へ影響を与えます。
令和5年に改正された空家法では、倒壊などの危険が著しい「特定空家」だけでなく、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある「管理不全空家」も、市区町村による指導や勧告の対象となりました。
管理不全空家または特定空家について、指導を受けても改善せず勧告を受けた場合、敷地が固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れる可能性があります。
ただし、古い空き家だから直ちに指定されるわけではありません。
空き家の状態、管理状況、周囲への影響を踏まえて判断されます。
制度を必要以上に恐れる必要はありませんが、
税金を払っているから、そのままでも問題ない
と考えるのも適切ではありません。
まずは屋根、外壁、庭木、門扉、郵便物などを確認し、当面保有するのであれば管理方法を決めておくことが大切です。
空き家所有者を責めるだけでは解決しない
行政には、地域の安全や生活環境を守る役割があります。
倒壊や衛生上の問題がある空き家へ対応を求めることも、重要な仕事です。
しかし、
「危険です」
「早く解体してください」
「近隣へ迷惑をかけています」
という言葉だけでは、所有者様が動けないことがあります。
なぜなら、その家に対して抱いている感情が、周囲の人とは違うからです。
近隣から見れば、誰も住んでいない古い家。
所有者様から見れば、親が残してくれた家。
不動産会社から見れば、土地面積、築年数、接道、相場で評価する売却物件。
同じ家を見ていても、それぞれが見ているものは違います。
この違いを理解しないまま結論を迫ると、所有者様は心を閉じてしまいます。
必要なのは、売却を迫ることではありません。
なぜ残してきたのか。
何が決断を難しくしているのか。
家族はどのように考えているのか。
何を残し、何を手放したいのか。
を一緒に整理することです。
空き家問題のもう一つの本質は「感情」にある
相続した実家には、土地や建物としての価値とは別の価値があります。
玄関の柱についた身長の印。
父親が作った棚。
母親が植えた庭木。
家族が集まった居間。
何気なく使っていた食器。
所有者様にとっては、すべてが家族の時間につながっています。
だから、売るべきだと分かっていても決められません。
管理が大変だと分かっていても片づけられません。
固定資産税が負担になっても、兄弟へ話を切り出せません。
これは、知識不足だけが原因ではありません。
家を手放すことが、親とのつながりまで手放すように感じられるからです。
売却することは、思い出を否定することではない
空き家を売却すると、建物は解体されるかもしれません。
別の家族が住むかもしれません。
土地の姿が大きく変わる可能性もあります。
それでも、そこで家族が暮らした事実はなくなりません。
売却前に家族で家を訪れる。
写真を残す。
柱や建具の一部を保存する。
庭の植物を新しい住まいへ移す。
家族の思い出を言葉にして共有する。
建物を所有し続けることだけが、家族の記憶を守る方法ではありません。
むしろ、誰も管理できないまま傷んでいく家を見ることの方が、家族にとってつらい場合もあります。
🟩 家を手放すことは、家族の歴史を捨てることではありません。家が果たしてきた役割へ感謝し、次の役割へ送り出すことも、受け継ぎ方の一つです。
空き家整理は「処分」ではなく、過去と向き合う時間
空き家の片づけでは、作業が止まる瞬間があります。
古い写真が出てきたとき。
親の手紙を見つけたとき。
子どもの頃の通知表が残っていたとき。
家族の間で、残したい物と処分したい物が違ったとき。
その時間は、決して無駄ではありません。
不動産の整理をきっかけに、
親がどのような思いで家を守ってきたのか。
兄弟姉妹が実家をどう感じていたのか。
これから家族として何を大切にしたいのか。
を話し合うことがあります。
空き家整理は、物を減らすだけの作業ではありません。
家族の過去に区切りをつけ、それぞれが未来へ進むための準備でもあります。
「家族の絆を受け継ぐ」とは、建物を残すことだけではない
家族の絆を受け継ぐというと、家をそのまま残すことを想像するかもしれません。
しかし、本当に受け継ぎたいものは、建物そのものでしょうか。
親が家を購入した理由。
家族が安心して暮らせる場所をつくろうとした気持ち。
子どもへ何かを残したいという思い。
家を守るために働いた時間。
建物は、その思いを形にしたものです。
もし所有し続けることで家族が争い、管理費用に苦しみ、誰も前へ進めなくなるのであれば、それは親が望んだ受け継ぎ方ではないかもしれません。
売却代金を親の供養に使う。
兄弟姉妹で公平に分ける。
次の世代の教育や暮らしへ役立てる。
建物を利用してくれる人へ引き継ぐ。
これらも、家族の思いを未来へつなぐ方法です。
解体を急ぐと、選択肢を失うことがある
空き家相談でよく聞く言葉があります。
「古い家なので、先に壊さないと売れませんよね」
しかし、古い建物だからといって、必ず解体してから売る必要はありません。
建物の価値が低くても、次の可能性があります。
- 買主がリフォームして住む
- 古い意匠や部材を生かす
- 収益物件として再生する
- 古家付き土地として販売する
- 買主が自分の建築計画に合わせて解体する
- 隣地所有者が一体利用する
売主様が先に解体すると、建物を利用したい買主を失うことがあります。
再建築できるか確認せずに壊せば、既存建物を利用する選択肢まで失う可能性があります。
また、更地にした後は、土地の利用状況などにより固定資産税等の住宅用地特例が適用されなくなることがあります。
反対に、老朽化が著しく、安全上の問題がある場合や、更地需要が明確な場合は、解体によって売却しやすくなることもあります。
大切なのは、解体するかどうかを、建物の古さだけで決めないことです。
🟥 「古いから、とりあえず解体」は危険です。再建築の可否、建物の利用可能性、解体費、税負担、売却価格を比較してから決めてください。
空き家の価値は、築年数だけでは決まらない
不動産の価値は、一つの数字で決まりません。
土地としての価値
立地、面積、形状、接道、用途地域、周辺需要などによって変わります。
建物としての価値
築年数だけでなく、構造、維持管理、雨漏り、傾き、耐震性、改修履歴などを確認します。
利用価値
住宅、事務所、店舗、倉庫、賃貸、隣地との一体利用など、使う人によって価値が変わります。
収益価値
賃料、改修費、管理費、空室リスクなどから判断します。
所有者にとっての価値
思い出、将来の利用予定、家族の希望、管理負担など、市場価格だけでは測れない価値です。
建物査定がゼロでも、不動産全体の価値がゼロとは限りません。
一般の住宅購入者には向かなくても、投資家、再生事業者、隣地所有者にとって価値がある場合もあります。
不動産も人間と少し似ている
空き家の相談を受けていると、不動産は人間と少し似ていると感じることがあります。
人には、得意なことがあります。
苦手なことがあります。
誰から見ても完璧な人がいないように、誰から見ても完璧な不動産もありません。
駅から遠い家。
築年数が古い家。
細い道の奥にある家。
隣の家と壁がつながっている長屋。
高低差や擁壁がある土地。
一般的には、マイナス条件と評価されるかもしれません。
しかし、見方を変えると、
- 駅から遠いから静か
- 古いから新築にはない雰囲気がある
- 道路から離れているから人目が気になりにくい
- 取得価格を抑えて自分好みに改修できる
- 隣地と組み合わせることで新しい利用方法が生まれる
という価値になる場合があります。
もちろん、欠点を長所のように言い換えるだけではいけません。
接道、境界、建物状態、工事費などを正しく伝えたうえで、その特徴を必要とする人へ届けることが大切です。
🟨 難しい不動産の価値を見つけるとは、欠点を隠すことではありません。欠点を正しく調べ、それでも残る可能性を見つけることです。
所有者が選択肢を失う4つの理由
1.「古いから価値がない」と自分で決めてしまう
不動産の価値は、築年数だけでは決まりません。
所有者様が査定前から価値をゼロと考えると、安い条件でも仕方がないと思い込みやすくなります。
2.「解体費を用意できないから売れない」と考える
古家付きのまま売る、買主側で解体する、買取条件に残置物や解体を含めるなど、現況で進められる場合があります。
ただし、売却代金から必ず解体費を調整できるわけではないため、価格と契約条件を具体的に確認します。
3.相談先が分からない
相続登記は司法書士。
遺産分割や紛争は弁護士。
境界や測量は土地家屋調査士。
税金は税理士。
建物の安全性や改修は建築士・施工会社。
市場価格や売却方法は不動産会社。
空き家には複数の問題が重なるため、一つの相談先だけで完結しないことがあります。
4.家族の気持ちが整理できていない
一人は売りたい。
一人は残したい。
一人は関わりたくない。
共有者や相続人の希望が違えば、価格査定の前に話し合いが必要です。
最初から結論を一致させる必要はありません。
それぞれが何を心配し、何を大切にしたいのかを言葉にすることから始めます。
「売却しやすい空き家」と「難しい空き家」の違い
空き家の売りやすさを、所有者様の性格だけで決めることはできません。
立地、価格、道路、境界、建物状態、権利関係など、客観的な条件が大きく影響します。
ただし、同じような条件でも、早い段階で選択肢を整理できた物件と、何年も判断を先送りした物件では、結果が変わることがあります。
売却を進めやすい空き家では、所有者様が次の情報を把握しています。
- 誰が所有者なのか
- 相続人や共有者は売却へ同意しているか
- 境界や道路に問題がないか
- 建物を利用できる可能性があるか
- 修繕・解体にいくらかかるか
- 仲介と買取で条件がどう違うか
- いつまでに結論を出したいか
反対に、売却が止まりやすいのは、「難しい条件がある物件」だけではありません。
問題点が整理されず、買主へ説明できない物件です。
🟩 売れない空き家と、まだ調べられていない空き家は違います。難しい条件があっても、何が難しいのかが分かれば、次の一手を考えられます。
相談先によって見える選択肢が違う
空き家には、さまざまな相談先があります。
どこが正しく、どこが間違いという話ではありません。
それぞれ役割が違います。
| 相談先 | 主に相談できること | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 自治体 | 管理、利活用、補助制度、相談窓口 | 個別の市場価格や成約を保証するものではない |
| 不動産会社 | 査定、売却、買取、賃貸市場、買主探し | 得意な物件や提案範囲は会社により異なる |
| 司法書士 | 相続登記、名義、成年後見等 | 紛争性が高い場合は弁護士の領域になる |
| 弁護士 | 遺産分割、共有紛争、契約・法律問題 | 市場価格は不動産会社等と連携して検討する |
| 税理士 | 相続税、譲渡所得税、特例 | 不動産の売り方と合わせて相談する |
| 土地家屋調査士 | 境界、測量、分筆、建物表題登記 | 建築計画や売却価格の専門家とは役割が異なる |
| 建築士・施工会社 | 建物調査、改修、建築計画 | 工事費が売却価値へ反映されるか別途比較する |
名古屋市にも、住まい・空き家の利活用に関する情報提供や相談を受け付ける「住まいの窓口」、専門家団体と連携した相談窓口などがあります。
最初の相談で結論が出なくても構いません。
問題を分け、適切な専門家へつなぐこと自体が前進です。
本当に必要なのは「売る人」ではなく、選択肢を整理する人
不動産会社は、売却を成立させることで報酬を得る事業者です。
そのため、相談内容によっては売却を中心とした提案になりやすい面があります。
しかし、すべての不動産会社が売却だけを勧めるわけではありません。
売却、買取、賃貸、改修、解体、保有を比較する会社もあります。
大切なのは、会社の規模や知名度ではなく、相談したときに次の説明があるかです。
- 今の状態で売却できる可能性
- 建物を残す場合と解体する場合の違い
- 仲介と買取の価格・期間・責任の違い
- 売らずに保有・活用する場合の費用
- 先に解決すべき相続・境界・建物問題
- 売主様が希望する時期と手間に合う方法
空き家所有者様が最初に必要としているのは、
「すぐ売りましょう」
という結論ではありません。
「この家には、現時点でこのような選択肢があります」
と整理してくれる存在です。
空き家の6つの出口を比較する
出口1|中古住宅として売る
建物の状態が比較的良く、修繕やリフォームで利用できる可能性がある場合です。
建物状況調査や修繕履歴が、買主の判断材料になることがあります。
出口2|古家付き土地として売る
建物を残したまま、土地利用を含めて買主へ判断してもらいます。
売主様が先に解体費を負担せずに済む一方、建物状態、残置物、契約不適合責任などの条件整理が必要です。
出口3|解体して更地で売る
土地の形状が分かりやすくなり、新築用地として検討されやすくなる場合があります。
ただし、解体費、アスベスト、地中埋設物、再建築の可否、税負担を先に確認します。
出口4|不動産会社へ買い取ってもらう
売却時期を決めやすく、残置物や修繕を含めて現況で相談できる場合があります。
一方、買取会社は再販売費用とリスクを負うため、仲介による想定成約価格より低くなるのが一般的です。
出口5|賃貸・事業用として活用する
改修後の賃料、工事費、管理費、空室リスク、将来の修繕費を比較します。
「貸せば収入になる」という理由だけでなく、投資額を回収できるかを確認します。
出口6|適切に管理しながら保有する
家族が将来住む予定があるなど、保有に意味がある場合もあります。
その場合は、見回り、通風、庭木、郵便物、火災保険、緊急連絡先、年間費用を決めておきます。
「一番高い価格」ではなく、家族にとっての最善を考える
売却価格が高いことは重要です。
しかし、家族にとって最善の選択が、必ずしも最高価格とは限りません。
例えば、仲介なら買取より300万円高く売れる可能性があっても、
- 解体費
- 残置物処分費
- 測量費
- 修繕費
- 仲介手数料
- 固定資産税や保険料
- 売却までの管理費
- 契約上の責任
- 相続人間の調整にかかる時間
を負担する場合があります。
反対に、価格は低くても、残置物を残したまま、短期間で、契約後の責任を整理して売却できる条件が、家族に合う場合もあります。
比較すべきなのは査定額だけではありません。
| 比較項目 | 仲介売却 | 不動産買取 | 賃貸活用 | 当面保有 |
|---|---|---|---|---|
| 想定価格・収入 | ||||
| 修繕・解体費 | ||||
| 残置物・測量費 | ||||
| 税金・維持費 | ||||
| 必要な期間 | ||||
| 家族の手間 | ||||
| 将来のリスク | ||||
| 最終手取り見込み |
🟩 空き家の出口選びは、家の値段を決める作業ではありません。価格、時間、責任、思い出を並べ、家族が納得できる未来を選ぶ作業です。
家族で最初に話し合いたい5つのこと
いきなり「売るか、残すか」を決めると、話し合いが対立しやすくなります。
まずは次のことを確認してみてください。
1.この家を残したい理由は何か
将来利用したいのか、思い出を失いたくないのか、親への罪悪感があるのかを分けます。
2.誰が管理を担当できるか
気持ちだけでなく、距離、時間、費用、年齢を踏まえて考えます。
3.年間でいくらかかっているか
固定資産税、保険、庭木、修繕、交通費、光熱費などを書き出します。
4.いつまでに方向性を決めるか
結論を急がなくても、次に話し合う日を決めると先送りを防げます。
5.何を残したいか
建物全体ではなく、写真、家具、建具、庭木など、家族が残したいものを具体的にします。
空き家の相談で、私が最初に聞きたいこと
私は、最初から、
「いくらで売りたいですか」
とは聞きません。
先に伺いたいのは、次のようなことです。
「なぜ今まで、この家を残してこられたのですか」
「この家について、ご家族はどのように考えていますか」
「残したい物や、建物を残したいお気持ちはありますか」
「価格、時間、手間のうち、何を優先したいですか」
「いつまでに方向性が見えると安心できますか」
売却価格の話は、その後です。
所有者様が本当に望んでいるものが分からなければ、適切な出口を比べられないからです。
所有者が選択肢を知ると、家族の会話が変わる
選択肢が一つしかないと思うと、人は決断を迫られているように感じます。
売るしかない。
壊すしかない。
お金を払って処分するしかない。
この状態では、家族の話し合いも苦しくなります。
しかし、調査によって、
建物を残して売る方法もある。
買主側で解体する条件も考えられる。
隣地へ提案できるかもしれない。
数年間保有するなら、この程度の管理費が必要になる。
と分かれば、話し合いは「手放すか、守るか」という対立から、
家族にとって、どの形が最も納得できるか
という比較へ変わります。
選択肢を知ることは、売却を決断するためだけではありません。
残すと決めるためにも必要です。
空き家は、誰かの新しい人生が始まる場所にもなる
長い間、家族とともに歩んできた家。
所有者様にとっては、過去を象徴する場所かもしれません。
しかし、別の人にとっては、これからの人生を始める場所になる可能性があります。
古い家を自分たちで直して暮らしたい夫婦。
家賃を抑えた住宅を探している家族。
小さな店舗や工房を始めたい人。
隣の土地と一緒に使いたい所有者。
地域で建物を活用したい事業者。
不動産の価値は、過去だけで決まりません。
次に使う人が何を実現できるかによって、新しい価値が生まれます。
売却とは、家族の物語を終わらせることではありません。
その場所を、次の物語へ引き継ぐことでもあります。
まとめ|空き家と向き合うことは、新しい未来を選ぶこと
空き家には、現実的な負担があります。
管理。
固定資産税。
修繕。
庭木。
防犯。
相続人や共有者との調整。
こうした問題を見ないふりはできません。
しかし、その負担だけを見て「負動産」と決めつけると、家に残された価値と選択肢まで見失います。
空き家には、家族が過ごした時間があります。
親が守ってきた理由があります。
所有者様が簡単に決断できない事情があります。
そして、まだ誰も考えていない次の使い方があるかもしれません。
大切なのは、焦って売却や解体を決めることではありません。
まず、現状を確認する。
家族の気持ちを聞く。
土地と建物の価値を調べる。
必要な費用を出す。
売却、買取、賃貸、解体、保有を比較する。
一つずつ進めることで、空き家は「どうしようもない負担」から「家族が選べる不動産」へ変わります。
🟥 空き家を守るとは、何も決めずに所有し続けることではありません。
🟩 その家が果たしてきた役割を見つめ、家族が納得できる次の役割を選ぶことです。
家を残す未来。
活用する未来。
誰かへ引き継ぐ未来。
土地として新しく生まれ変わる未来。
所有者様が選択肢を知ったとき、空き家の未来だけでなく、家族自身の新しい未来も動き始めます。
私は街歩きの途中で古い空き家を見つけると、いつも考えます。
この家は、本当に役割を終えたのだろうか。
まだ誰かの暮らしを支えられないだろうか。
所有者様が価値を知らないまま、時間だけが過ぎていないだろうか。
空き家問題の本質は、古い建物が残っていることだけではありません。
土地と人との関係が切れ、誰も次の使い方を考えなくなることです。
だからこそ、私たち不動産会社に必要なのは、低い価格を付けて早く終わらせることでも、根拠なく高く売れると期待させることでもありません。
所有者様の話を聞く。
不動産の現状を調べる。
専門家の見方を集める。
買主になり得る人を変えて考える。
そして、所有者様が自分の意思で選べる状態をつくる。
それが、空き家を過去から未来へつなぐために必要な仕事だと、私は考えています。
名古屋市で相続した空き家の将来に悩んでいる方へ
ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、空き家、相続不動産、長屋、再建築が難しい土地、旗竿地、共有持分などの相談をお受けしています。
次のような段階でも構いません。
- 売るか残すか、家族で決められていない
- 親の荷物が残り、片づけに着手できない
- 古い家なので価値がないと思っている
- 解体費を準備できず、そのままになっている
- 県外に住んでいて管理できない
- 兄弟姉妹で意見がまとまらない
- 他社から買取や解体だけを提案された
- 仲介、買取、活用の違いを比較したい
- 相続や境界など、何から確認すべきか分からない
最初から売却を決めていただく必要はありません。
現地の状態、名義、道路、境界、建物、家財、維持費を確認し、売却、買取、賃貸、解体、管理などの選択肢を整理します。
大切なご実家だからこそ、急いで処分するのではなく、家族の思いと現実的な負担の両方を見ながら、納得できる未来を一緒に考えてみませんか。
対応エリア
名古屋市南区・港区・緑区・瑞穂区・熱田区・昭和区・天白区・中川区・中村区・中区・千種区・名東区・守山区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。
※空き家の売却、賃貸、解体、維持管理、税務および法的な取扱いは、物件の状態、権利関係、地域、利用計画などによって異なります。必要に応じて自治体、司法書士、弁護士、税理士、土地家屋調査士、建築士などへご確認ください。
※本記事は令和8年9月時点の公表情報と、名古屋市内を中心とした空き家相談の実務経験をもとに作成しています。


