

不動産の売却を成功に導くためには「決定的な切り札」というものはありません。しかしこのようにやれば「上手くいくチャンスが格段にアップする」というノウハウはあります。不動産の最前線にいる宅建士がぜひ伝えたいノウハウをいくつかご紹介します。
主導権を握るためのファーストステップ
家の売却がはじめてだと不動産会社の担当者が言ったことがすべて正しいと思いがちです。売却の検討を始めたら、まずは不動産の現状を知り、売却の流れや知識をリサーチして、その上で信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。特にあらかじめ相場観を身につけておくことはその後の担当者との交渉を有利に進めるためにもとても大切なことです。
自宅のセールスポイントを書き上げる
セールスポイントは一気に書き上げるというよりも、売却の検討を始めたら、セールスポイントのアンテナを張りましょう。日常的にそのような意識を持つことで利点に目が向いたりアイデアが思いつきやすいものです。また、自宅だけでなく学校や病院、スーパーや商業施設、公園など、主要エリアまでのアクセス方法や所要時間、交通の利便性も査定や内覧時のアピールポイントになるので、整理しておき、質問をされたら即座に答えられるようにしておきましょう。
不動産会社を見極めるPOINT

全国的に名が通った「大手不動産会社」か「地元の不動産屋」にするべきか迷っている方も多いでしょう。それぞれに利点やデメリットがあるため、一概にどちらを選ぶべきか簡単には決められません。

〈大手のメリット〉
MERIT 1
適切な査定価格を出せる
システム環境が整っている
MERIT 2
引き渡し後の契約不適合責任の保証など
アフターフォローがしっかりしている
〈地元の不動産屋のメリット〉
MERIT 1
その地域、その価格帯の
物件に精通している
MERIT 2
地元だからこそできる
小回りが利いたパフォーマンス
そこで大切になるのが「提案力」です。売主はさまざまな事情を抱えていることも少なくありませんので、そんな事情や希望に耳を傾け、自分ごととして受け止め、会社の利益よりも売主の利益を優先した提案ができていれば最高ですね。

信頼できる会社は根拠を丁寧に説明してくれます。例えば査定額の説明を例に挙げますと、売主は「できるだけ高く売りたい」と考えます。場合によっては必ずしも高値で取引できるとは限りません。希望の査定額に届かなかったとしても単に「この査定額です」と提示するのでなく、どうしてこの金額になるかを丁寧に具体的に記載されているかが重要です。また、不明点や気になる点がある場合、担当者に詳しく説明してもらう。こちらから「投げかける」スタンスが大切です。疑問点を残さないことも不動産売却で後悔しないための秘訣です。


「売却の成否は担当者によって決まる」といっても過言ではありません。取引や交渉の対象は「物」ですが結局は人と人との間で行われるものです。担当者が人として信頼できなかったり相性が悪いと感じたりした場合は取引がスムーズに進まないケースが多いでしょう。担当者の不動産知識、交渉力、説明力はもちろんのこと、聞こえのいいことばかり言うのではなく、時には売主がふれてほしくない内容やリスク、デメリットを伝えることができる担当者は信頼できるできないかの一つの判断材料といえるでしょう。

査定を成功させるためのPOINT

査定の前に例えば近隣の家がどのくらいの価格で取引されているか、ある程度の売却相場を調べておくことで、不動産会社から提示される査定額が適正かどうかを判断することができたり、妥当な価格を意識しながら、交渉をスムーズに進めることができます。相場価格を調べる際に有効な方法の一つとして国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリー」「レインズ・マーケット・インフォメーション」があります。


売却での価格交渉は90%以上の確率でありますので、買主との価格交渉が行われることを見据え、5%〜10%を上乗せして売り出す傾向を多く見受けられます。また、適正相場とかけ離れすぎると物件を見てもらう前から候補から外されてしまったり、売れ残り感を与え悪い印象を与えてしまいます。買い手は常に見ています。相場より高い物件や値引きが始まった物件については不信感を持って見ています。売主が一番困ることはいつまでも売れなくて結局大幅に値引きをして売却するケースです。そのため適正相場を知り「いくらなら売れるのか」を把握することが重要です。その手段として不動産の査定が必要になります。


ヒアリングを受ける際は「居住者目線」で住んでいるからこそわかる家の良さや住みやすさをしっかりと担当者に伝えましょう。また、わかっている欠陥や不具合は隠したりせず担当者に全て伝えましょう。瑕疵の申告は査定価格を下げてしまう可能性がありますが、引き渡しの後にこれらがわかってしまうと契約不適合責任に問われることがあります。契約不適合責任とは契約に申告がない瑕疵が発覚した時に売主が買主に対して負うペナルティーのことです。現状は問題がなくても過去に修繕した経緯があれば、それも伝えましょう(雨漏りやシロアリ被害、外壁のひび割れなど)。そのほか、損傷、劣化はあらかじめ伝えておきましょう。

修繕やリフォームは安易に行わない!
査定や売り出し前に修繕やリフォームを行うべきかどうか多くの売主が抱える悩みの一つです。外壁や内装の劣化が目立つのであれば最低限の修繕をすることで第一印象を改善させることができるでしょう。しかし費用対効果が得られないこともあるので、リフォームや修繕の判断を行うには、担当者の力量が必要です。どの程度の改善が金額に影響を与えるのかを確認することが大切です。また、ホームインスペクションを行うか行わないかは、メリット、デメリットを担当者と話し合い慎重に判断しましょう。
ホームインスペクションとは
ホームインスペクション(住宅診断)は素人ではわからない住宅の問題を住宅診断士と呼ばれる専門家が調査する住宅診断サービスです。住宅の欠陥や劣化、改善が必要な箇所を含めて調査で得た内容を売主、買主の双方に「中立な立場で」公表します。
売り急ぎは厳禁!
不動産を売却するには、申し込みから引き渡しまで早くて4ヶ月、平均6ヶ月ほどの時間が必要になります。今すぐに現金化したいという事情がなければ、売却を検討してから余裕を持ったスケジュールを組んでいきましょう。仮に、急いでいても買い手に気づかせない工夫が必要です。相続や住み替えなどで売り急ぎの印象が伝わると、買い手も強気になり値下げ交渉されることも想定に入れ「いい条件であれば売りたい」という姿勢で、不適切な値下げ交渉には応じないスタンスで臨みましょう。


不動産の売却を成功に導くためには「決定的な切り札」というものはありません。しかしこのようにやれば「上手くいくチャンスが格段にアップする」というノウハウはあります。不動産の最前線にいる宅建士がぜひ伝えたいノウハウをいくつかご紹介します。
主導権を握るための
ファーストステップ
家の売却がはじめてだと不動産会社の担当者が言ったことがすべて正しいと思いがちです。売却の検討を始めたら、まずは不動産の現状を知り、売却の流れや知識をリサーチして、その上で信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。特にあらかじめ相場観を身につけておくことはその後の担当者との交渉を有利に進めるためにもとても大切なことです。
自宅のセールスポイントを書き上げる
セールスポイントは一気に書き上げるというよりも、売却の検討を始めたら、セールスポイントのアンテナを張りましょう。日常的にそのような意識を持つことで利点に目が向いたりアイデアが思いつきやすいものです。また、自宅だけでなく学校や病院、スーパーや商業施設、公園など、主要エリアまでのアクセス方法や所要時間、交通の利便性も査定や内覧時のアピールポイントになるので、整理しておき、質問をされたら即座に答えられるようにしておきましょう。
不動産会社を見極めるPOINT

全国的に名が通った「大手不動産会社」か「地元の不動産屋」にするべきか迷っている方も多いでしょう。それぞれに利点やデメリットがあるため、一概にどちらを選ぶべきか簡単には決められません。

〈大手のメリット〉
MERIT 1
適切な査定価格を出せる
システム環境が整っている
MERIT 2
引き渡し後の契約不適合責任の保証など
アフターフォローがしっかりしている
〈地元の不動産屋のメリット〉
MERIT 1
その地域、その価格帯の
物件に精通している
MERIT 2
地元だからこそできる
小回りが利いたパフォーマンス
そこで大切になるのが「提案力」です。売主はさまざまな事情を抱えていることも少なくありませんので、そんな事情や希望に耳を傾け、自分ごととして受け止め、会社の利益よりも売主の利益を優先した提案ができていれば最高ですね。

信頼できる会社は根拠を丁寧に説明してくれます。例えば査定額の説明を例に挙げますと、売主は「できるだけ高く売りたい」と考えます。場合によっては必ずしも高値で取引できるとは限りません。希望の査定額に届かなかったとしても単に「この査定額です」と提示するのでなく、どうしてこの金額になるかを丁寧に具体的に記載されているかが重要です。また、不明点や気になる点がある場合、担当者に詳しく説明してもらう。こちらから「投げかける」スタンスが大切です。疑問点を残さないことも不動産売却で後悔しないための秘訣です。


「売却の成否は担当者によって決まる」といっても過言ではありません。取引や交渉の対象は「物」ですが結局は人と人との間で行われるものです。担当者が人として信頼できなかったり相性が悪いと感じたりした場合は取引がスムーズに進まないケースが多いでしょう。担当者の不動産知識、交渉力、説明力はもちろんのこと、聞こえのいいことばかり言うのではなく、時には売主がふれてほしくない内容やリスク、デメリットを伝えることができる担当者は信頼できるできないかの一つの判断材料といえるでしょう。

査定を成功させるためのPOINT

査定の前に例えば近隣の家がどのくらいの価格で取引されているか、ある程度の売却相場を調べておくことで、不動産会社から提示される査定額が適正かどうかを判断することができたり、妥当な価格を意識しながら、交渉をスムーズに進めることができます。相場価格を調べる際に有効な方法の一つとして国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリー」「レインズ・マーケット・インフォメーション」があります。


売却での価格交渉は90%以上の確率でありますので、買主との価格交渉が行われることを見据え、5%〜10%を上乗せして売り出す傾向を多く見受けられます。また、適正相場とかけ離れすぎると物件を見てもらう前から候補から外されてしまったり、売れ残り感を与え悪い印象を与えてしまいます。買い手は常に見ています。相場より高い物件や値引きが始まった物件については不信感を持って見ています。売主が一番困ることはいつまでも売れなくて結局大幅に値引きをして売却するケースです。そのため適正相場を知り「いくらなら売れるのか」を把握することが重要です。その手段として不動産の査定が必要になります。


ヒアリングを受ける際は「居住者目線」で住んでいるからこそわかる家の良さや住みやすさをしっかりと担当者に伝えましょう。また、わかっている欠陥や不具合は隠したりせず担当者に全て伝えましょう。瑕疵の申告は査定価格を下げてしまう可能性がありますが、引き渡しの後にこれらがわかってしまうと契約不適合責任に問われることがあります。契約不適合責任とは契約に申告がない瑕疵が発覚した時に売主が買主に対して負うペナルティーのことです。現状は問題がなくても過去に修繕した経緯があれば、それも伝えましょう(雨漏りやシロアリ被害、外壁のひび割れなど)。そのほか、損傷、劣化はあらかじめ伝えておきましょう。

修繕やリフォームは安易に行わない!
査定や売り出し前に修繕やリフォームを行うべきかどうか多くの売主が抱える悩みの一つです。外壁や内装の劣化が目立つのであれば最低限の修繕をすることで第一印象を改善させることができるでしょう。しかし費用対効果が得られないこともあるので、リフォームや修繕の判断を行うには、担当者の力量が必要です。どの程度の改善が金額に影響を与えるのかを確認することが大切です。また、ホームインスペクションを行うか行わないかは、メリット、デメリットを担当者と話し合い慎重に判断しましょう。
ホームインスペクションとは
ホームインスペクション(住宅診断)は素人ではわからない住宅の問題を住宅診断士と呼ばれる専門家が調査する住宅診断サービスです。住宅の欠陥や劣化、改善が必要な箇所を含めて調査で得た内容を売主、買主の双方に「中立な立場で」公表します。
売り急ぎは厳禁!
不動産を売却するには、申し込みから引き渡しまで早くて4ヶ月、平均6ヶ月ほどの時間が必要になります。今すぐに現金化したいという事情がなければ、売却を検討してから余裕を持ったスケジュールを組んでいきましょう。仮に、急いでいても買い手に気づかせない工夫が必要です。相続や住み替えなどで売り急ぎの印象が伝わると、買い手も強気になり値下げ交渉されることも想定に入れ「いい条件であれば売りたい」という姿勢で、不適切な値下げ交渉には応じないスタンスで臨みましょう。