こんにちは。
街歩き空き家マイスターの保木です。
街を歩いていると、ふと気になる建物に出会うことがあります。
「こんなに良い場所にあるのに、なぜ何年も使われていないのだろう」
駅から近い。
生活環境も整っている。
土地としての価値もありそう。
それでも、何年も人が住んでいない空き家が街中には数多く存在しています。
空き家というと、「所有者が管理をしていない」「放置している」と思われることがあります。
しかし、実際の現場で所有者様のお話を聞くと、単純に関心がないから放置しているわけではありません。
そこには、
「親が苦労して建てた家を簡単には手放せない」
「思い出が詰まった家だから決断できない」
「兄弟で話し合いがまとまらない」
「親が認知症になり手続きを進められない」
など、さまざまな事情があります。
空き家問題の本質は、建物そのものではありません。
相続、家族関係、所有者の判断能力、法律上の手続きなど、複数の問題が絡み合っていることにあります。
今回は、
【空き家の利活用が進まない「相続」と「認知症」との相関性】
という視点から、なぜ空き家が長期間放置されてしまうのか、そして放置空き家にしないために今からできる対策について解説します。
1.不動産売却によくありがちな「相続の壁」|なぜ実家の売却は進まないのか?
空き家売却のご相談を受けていると、建物の問題よりも、むしろ「家族間の問題」や「相続手続き」が大きな壁になっているケースが少なくありません。
所有者様からよく聞く言葉があります。
「売却したほうがいいことは分かっている。でも兄弟で話がまとまらない」
「相続した家なのに、誰も管理していない」
「親が認知症になり、勝手に売却できないことを初めて知った」
不動産は所有者一人の判断だけで自由に処分できるとは限りません。
特に相続した不動産では、権利関係が複雑になることで、売却までに長い時間がかかることがあります。
① 相続人それぞれの考えが違い、売却の同意が得られない
相続した不動産を共有名義にしている場合、売却には共有者全員の同意が必要になります。
例えば、
兄:「思い出の家だから残したい」
姉:「賃貸として活用したい」
妹:「維持費もかかるので売却したい」
このように、相続人によって考え方が違うことは珍しくありません。
現場では、
「誰も悪くないのに話が進まない」
というケースも多くあります。
不動産は現金のように簡単に分けることができないため、家族間の価値観の違いがそのまま売却の障害になります。
② 相続人と連絡が取れない・話し合いに応じてもらえない
遺産分割協議を行う場合、原則としてすべての法定相続人が参加する必要があります。
そのため、
・長年疎遠になっている兄弟姉妹がいる
・住所が分からない相続人がいる
・連絡しても協議に応じてもらえない
という場合、手続きが進まなくなります。
一部の相続人だけで話し合いをしても、法律上有効な遺産分割協議とはなりません。
連絡が取れない相続人がいる場合には、
・不在者財産管理人の選任
・失踪宣告の手続き
など、家庭裁判所を利用した対応が必要になる場合があります。
また、連絡は取れるものの協議に応じない場合には、遺産分割調停や審判によって解決を図ることになります。
③ 相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合
相続人の中に未成年者がいる場合、通常の遺産分割協議を行うことができません。
利益相反の問題があるため、家庭裁判所に申し立てを行い、特別代理人を選任する必要があります。
また、相続人の中に認知症などによって判断能力が低下している方がいる場合には、成年後見制度の利用を検討する必要があります。
本人の意思確認ができない状態では、法律上有効な売買契約を結ぶことが難しくなるためです。
④「とりあえず共有名義」が将来の売却を難しくする
相続時によくあるケースがあります。
「兄弟で揉めたくないから、とりあえず法定相続分で分けておこう」
という判断です。
もちろん共有名義にすること自体が間違いではありません。
しかし、不動産の場合、後から問題になることがあります。
共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要です。
さらに、共有者の一人が亡くなると、その持分が次の世代へ相続されます。
結果として、
親族関係がさらに複雑になる
↓
連絡が取れない人が増える
↓
売却が困難になる
という状況につながる可能性があります。
⑤ 先代から相続登記がされていない
不動産売却の相談で、意外と多いのが、
「登記名義が祖父のままになっていた」
というケースです。
相続登記をしないまま年月が経過すると、本来の相続人が増えてしまいます。
例えば、
祖父死亡
↓
父母の世代で手続き未了
↓
現在の相続人が多数存在
という状態になることがあります。
この場合、相続人の確認だけでも大きな時間と労力が必要になります。
相続登記義務化により、今後はさらに適切な対応が求められます。
認知症と空き家問題は切り離せない
近年、空き家問題と深く関係しているのが「親の認知症」です。
よくある流れとして、
父親が亡くなる
↓
母親が一人暮らしになる
↓
認知症が進行する
↓
施設へ入居する
↓
実家が空き家になる
というケースがあります。
親が元気なうちは考える機会が少ない問題ですが、突然その時は訪れます。
認知症になった親の不動産を子供が勝手に売却できない理由
法律上、不動産売却には本人の意思能力が必要です。
意思能力とは、自分が行う法律行為の意味や結果を理解できる能力のことです。
認知症によって判断能力が失われている場合、子供だからといって自由に親の不動産を売却することはできません。
「親のことは子供が一番分かっている」
そう思われる方も多いですが、不動産売却は法律行為であるため、一定の手続きが必要になります。
法定後見制度を利用した場合の注意点
判断能力が低下した方を支援する制度として成年後見制度があります。
しかし、実際の現場では、
「すぐ売却して施設費に充てたい」
と思っていても、家庭裁判所の判断や手続きが必要になります。
また、成年後見人は家族が自由に選べるとは限りません。
場合によっては専門職が選任されることもあります。
家族としては、
「親の財産なのに自由に動かせない」
という負担を感じることもあります。
2.元気なうちの準備が空き家を防ぐ|家族で話し合うことの大切さ
空き家問題の相談を受けていると、よく感じることがあります。
それは、
「もう少し早く家族で話し合っていれば、違う選択肢があったのではないか」
ということです。
特に、親御様が認知症になった後に実家の売却や活用を考える場合、できることが限られてしまうケースがあります。
「親のために施設費用に充てたい」
「誰も住まないなら売却したい」
そう考えていても、不動産売却は本人の判断能力や法律上の手続きが大きく関係します。
だからこそ大切なのは、親御様が元気で、ご自身の意思をしっかり伝えられる時に家族で話し合っておくことです。
例えば、
・将来、この家をどうしたいのか
・誰が管理していくのか
・空き家になった場合はどうするのか
・売却する可能性も考えているのか
普段はなかなか話しにくい内容かもしれません。
しかし、問題が起きてから話し合うのではなく、問題が起きる前に家族で方向性を共有しておくことが、将来の大きな負担を減らします。
家族信託・任意後見・遺言という選択肢
将来的に認知症などによる判断能力の低下が心配な場合には、
・家族信託
・任意後見制度
・遺言
などの制度を利用する方法もあります。
これらは「財産を守るため」だけではありません。
残された家族が、
「どうすればいいのか分からない」
という状況にならないための準備でもあります。
8年間、名古屋の街を歩き、空き家の現場を見てきて感じることがあります。
空き家になった家の多くは、所有者様が何も考えていなかったわけではありません。
「子供に迷惑をかけたくない」
「いつか考えよう」
そう思っているうちに、状況が変わってしまったケースが数多くあります。
家の将来を考えることは、財産整理だけではありません。
親から子へ想いをつなぐ、大切な家族会議でもあります。
空き家を防ぐ第一歩は、建物を見ることではなく、家族で未来について話し合うことから始まります。
まとめ:今からできる備え
成年後見制度は、本来活用すべきでない家族が利用してしまうと、「理不尽」に感じてしまう事案が多くあります。しかし、既に本人の判断能力がなく、身寄りがなかったり任せられる親族がいないといったケースでは非常にありがたい制度です。
本人が健康で判断能力があれば、成年後見制度の利用は必要ないでしょう。事前の対策として家族信託や任意後見制度、生前贈与の利用も今のうちから選択肢に入れておいたほうがいいでしょう。一度専門家に相談することをおすすめします。
軽度の認知症の場合、家族信託を行う。
様々な制約がある成年後見人制度と違い、家族信託とは、身内に財産を託して、管理や運用を任せる制度です。重度の認知症になったとしても、資産が凍結されず、家族信託を契約しておけば、認知症の症状が進み施設に入居することになっても、売りたいタイミングで不動産売却が可能になります。
任意後見制度
任意後見制度は、まだ認知症ではないけれど、例えば、、認知症になった場合に老後生活・介護費用に充てるために家を売却する契約を、本人が信頼できる任意後見人を決めて、契約をしておく制度です。、将来どういう生活を送りたいのかという本人の希望が反映されます。
家族信託と同様に、任意後見制度も本人が元気なうちに設定しておく必要があります。
成年後見人制度と違い、不動産売却には家庭裁判所の許可は不要です。
生前贈与
不動産所有者である親に十分な判断能力があるうちに、親子間で生前贈与するのも一つの方法です。
しかし、本人の意思能力があったとしても、税金の知識がないまま贈与を行い、多額の贈与税が課せられることも考えらますので、生前贈与には仕業方との連携が必要です。親が認知症の場合、まずは仕業方に相談し、所有権移転登記が行える状態にあるか確認すべきでしょう。
まとめ:家族信託、任意後見人、生前贈与にはメリットがあれば、デメリットもあります。当然費用も必要ですし、すべて法律の解釈で解決しようとすると、後々の親族間のトラブルに発展する可能性があります。「法律ではこうだから」と一方的に法律制度を振りかざすことは摩擦が生じる原因になります。
また、「あなたが認知症になったことについて話をしましょう」と言われて良い気分になる人はいないでしょう。しかし対策されていなくて後に最も困るのは子供たちです。親が認知症になってからでは対策をとることはできません。このような認識があることは空き家を放置しないための社会貢献にもつながります。
3.街歩き名古屋8年間で見えてきた|空き家の利活用が進まない本当の理由
私はこれまで8年間、名古屋の街を歩きながら、数多くの空き家を見てきました。
住宅街の一角に、カーテンが閉まったままの家。
庭木が伸び、郵便受けには何年も前のチラシが残ったままの家。
外から見ると、
「なぜ誰も使わないのだろう」
「売却すればいいのではないか」
と思われる空き家もあります。
しかし、実際に所有者様やご家族のお話を聞くと、簡単に「売ればいい」と言える問題ではないことを何度も感じてきました。
空き家には、その家を建てた人の人生があります。
家族の思い出があります。
そして、決断できない理由があります。
8年間、名古屋の街を歩いて見えてきたこと。
それは、空き家が増える本当の理由は「家が古いから」ではなく、
人の気持ちと、相続や法律の壁が複雑に絡み合っているから
ということです。
「売ればいい」と言われても、簡単には売れない家族の事情
以前、空き家の相談でこんなお話を聞いたことがあります。
「売ったほうがいいことは分かっています。でも、親が一生懸命働いて建てた家なんです」
この言葉は、現場で何度も聞いてきました。
不動産会社から見ると、
土地〇坪。
建物〇年。
駅から徒歩〇分。
という資産評価になります。
しかし、ご家族にとっては違います。
父親が休日に庭を手入れしていた姿。
家族で食卓を囲んだ時間。
子供が成長した場所。
その家は「不動産」ではなく、「家族の歴史」なのです。
だから、売却をすすめられても気持ちが追いつかない。
これが空き家解決を難しくしている大きな理由の一つです。
「誰かが住むかもしれない」という期待が時間を止める
空き家所有者様からよく聞く言葉があります。
「いつか子供が戻ってくるかもしれない」
「親戚が使うかもしれない」
「まだ処分する時期ではないと思っている」
もちろん、その気持ちは自然なことです。
しかし、数年、十年と時間が経過すると状況は変わります。
建物は少しずつ傷みます。
庭木は伸びます。
設備は使えなくなります。
そして、気付いた時には、
「もっと早く相談しておけばよかった」
という状態になっているケースもあります。
相続した瞬間から、家族の問題になる
空き家問題で特に多いのが相続です。
親が亡くなる前は、兄弟姉妹も同じ方向を向いています。
しかし、相続が発生すると、それぞれの生活や考え方が出てきます。
例えば、
長男:
「親の家だから残したい」
長女:
「遠方だから管理できない。売却したい」
次男:
「関わりたくない」
このようなケースは珍しくありません。
誰かが悪いわけではありません。
それぞれに事情があります。
しかし、不動産は簡単に三等分することができません。
話し合いが進まないまま、数年経過してしまうこともあります。
「兄弟に迷惑をかけたくない」が、逆に問題を大きくすることもある
現場で感じることがあります。
多くの親御様は、
「子供たちに迷惑をかけたくない」
と思っています。
しかし、実際には何も決めないまま残してしまうことで、子供たちが後から悩むことがあります。
・誰が管理するのか
・売却するのか
・残すのか
・費用は誰が負担するのか
元気なうちは話しにくい内容です。
でも、元気なうちだからこそ話し合える問題でもあります。
認知症になってからでは、できることが限られる
最近特に増えている相談があります。
「母親が施設に入ったので、実家を売却したい」
という相談です。
しかし、お母様が認知症になり判断能力が低下している場合、子供が自由に売却することはできません。
「親のために施設費に使いたい」
という理由であっても、不動産売却は法律上の手続きが必要です。
現場では、
「もっと早く相談していれば選択肢があったのに」
と感じる場面があります。
空き家は「問題のある家」ではなく「決断されていない家」
8年間、名古屋の街を歩いてきて、一番感じることがあります。
空き家の多くは、
価値がないから放置されているのではありません。
売れないから残っているのでもありません。
多くの場合、
「どうしたらいいかわからない」
「誰に相談したらいいかわからない」
という状態なのです。
家族の思い。
相続の問題。
費用の不安。
法律上の制限。
それらが重なり、時間だけが過ぎてしまいます。
街歩き空き家マイスターとして伝えたいこと
私は空き家を見るとき、建物だけを見ることはありません。
その家には、必ず誰かの人生があります。
なぜ空き家になったのか。
なぜ今まで残っているのか。
所有者様は何に悩んでいるのか。
そこを理解しないと、本当の空き家問題の解決にはつながらないと思っています。
空き家は「負動産」ではありません。
ただ、未来の選択肢が決まっていないだけです。
売却する。
活用する。
家族で残す。
どの選択が正しいかは、そのご家庭によって違います。
大切なのは、問題が大きくなってからではなく、まだ選択肢があるうちに考えることです。
8年間、名古屋の街を歩いてきたからこそ伝えたいこと。
それは、
空き家問題の解決は、不動産を見ることからではなく、その家に住んできた人の想いを理解することから始まる
ということです。
まとめ:今からできる備え
成年後見制度は、本来活用すべきでない家族が利用してしまうと、「理不尽」に感じてしまう事案が多くあります。しかし、既に本人の判断能力がなく、身寄りがなかったり任せられる親族がいないといったケースでは非常にありがたい制度です。
本人が健康で判断能力があれば、成年後見制度の利用は必要ないでしょう。事前の対策として家族信託や任意後見制度、生前贈与の利用も今のうちから選択肢に入れておいたほうがいいでしょう。一度専門家に相談することをおすすめします。
軽度の認知症の場合、家族信託を行う。
様々な制約がある成年後見人制度と違い、家族信託とは、身内に財産を託して、管理や運用を任せる制度です。重度の認知症になったとしても、資産が凍結されず、家族信託を契約しておけば、認知症の症状が進み施設に入居することになっても、売りたいタイミングで不動産売却が可能になります。
任意後見制度
任意後見制度は、まだ認知症ではないけれど、例えば、、認知症になった場合に老後生活・介護費用に充てるために家を売却する契約を、本人が信頼できる任意後見人を決めて、契約をしておく制度です。、将来どういう生活を送りたいのかという本人の希望が反映されます。
家族信託と同様に、任意後見制度も本人が元気なうちに設定しておく必要があります。
成年後見人制度と違い、不動産売却には家庭裁判所の許可は不要です。
生前贈与
不動産所有者である親に十分な判断能力があるうちに、親子間で生前贈与するのも一つの方法です。
しかし、本人の意思能力があったとしても、税金の知識がないまま贈与を行い、多額の贈与税が課せられることも考えらますので、生前贈与には仕業方との連携が必要です。親が認知症の場合、まずは仕業方に相談し、所有権移転登記が行える状態にあるか確認すべきでしょう。
まとめ:家族信託、任意後見人、生前贈与にはメリットがあれば、デメリットもあります。当然費用も必要ですし、すべて法律の解釈で解決しようとすると、後々の親族間のトラブルに発展する可能性があります。「法律ではこうだから」と一方的に法律制度を振りかざすことは摩擦が生じる原因になります。
また、「あなたが認知症になったことについて話をしましょう」と言われて良い気分になる人はいないでしょう。しかし対策されていなくて後に最も困るのは子供たちです。親が認知症になってからでは対策をとることはできません。このような認識があることは空き家を放置しないための社会貢献にもつながります。
ふどうさんのMAGOは名古屋市エリアを中心に不動産売却、相続、空き家問題を専門とする不動産会社です。、専門家のアドバイスと革新的なアイディアで、お客様の悩みを解決いたします。まずはお気軽にご相談ください。旗竿地、再建築不可、訳あり、心理的瑕疵物件、権利が複雑で難しい物件 まずはお気軽にご相談ください。
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