相続した実家を放置しないために|空き家の税金・3,000万円控除・名古屋市の支援制度から考えるこれからの活用方法

名古屋市エリアで″売却サポート”に専門特化した
不動産売却のみを取り扱う専門店です。
空き家売却にともなう煩雑なお手続き、
空き家の遺品整理や不要品の買取まで一括してサポートしております。

〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

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目次

売るか、残すか。その前に「時間が選択肢を減らす」ことを知ってほしい

こんにちは。

趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。

春の名古屋を歩くと、家の庭先から季節が変わっていくのが分かります。

少し前まで咲いていた蝋梅や梅の花が終わり、街路樹に新しい芽が出る。

人が住んでいる家では、伸びた枝が切られ、植木鉢の位置が変わり、玄関先にも季節の気配があります。

ところが、一本路地へ入ると、季節が止まったような家に出会うことがあります。

雨戸は閉まったまま。

郵便受けにはテープ。

庭の草だけが、去年より高くなっている。

相続した実家を、誰かが粗末にしたわけではありません。

多くの場合、家族は大切に思っています。

だから決められないのです。

「母の荷物を捨てる気持ちになれない」

「兄は残したいと言うけれど、管理には来ない」

「いつか子どもが住むかもしれない」

「税金のことが分からず、売って損をするのが怖い」

こうして、一年、二年と過ぎていきます。

しかし、空き家の時間は止まりません。

建物は傷みます。

庭木は伸びます。

固定資産税や管理費は続きます。

制度には期限があります。

相続人の生活も変わります。

🟨 空き家相続で一番怖いのは、すぐに売らないことではありません。何も決めないまま、使えたはずの選択肢が静かに消えていくことです。

この記事では、空き家に関係する相続税、固定資産税、相続登記、売却時の譲渡所得税、いわゆる「空き家の3,000万円特別控除」、名古屋市の支援制度、そして売却・賃貸・自己利用・地域活用という出口について、実務経験と街歩きの視点からお伝えします。

税金だけを説明する記事ではありません。

補助金があるから活用しましょう、という記事でもありません。

大切な実家を、家族が後悔しない形で次へつなぐための記事です。

※税制や支援制度は改正・終了する場合があります。本記事は令和8年9月時点の公表情報をもとにした一般的な解説です。個別の税務判断は、税務署または税理士へご確認ください。


第1章|相続した家は「資産」であると同時に、管理が必要な不動産になる

誰も住んでいなくても費用は止まらない

実家が空き家になっても、所有に伴う負担は続きます。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • 電気・水道等の基本料金
  • 草刈り・庭木剪定費
  • 換気、清掃、郵便物確認等の管理費
  • 雨漏り、外壁、屋根、給排水等の修繕費
  • 遠方から通う交通費と時間
  • 家財整理・残置物処分費

金額として見えない負担もあります。

台風の夜に、瓦が飛んでいないか気になる。

知らない番号から電話が来ると、近隣からの苦情ではないかと思う。

実家の前を通るたびに、「まだ何もしていない」と胸が重くなる。

空き家は、通帳から出ていくお金だけでなく、所有者の頭の中に居続ける時間も使います。


固定資産税が「必ず6倍」になるわけではない

空き家の記事で、よく見かける言葉があります。

「空き家を放置すると固定資産税が6倍になる」

これは正確な説明ではありません。

住宅の敷地には、一定の要件のもとで住宅用地の課税標準を軽減する特例があります。小規模住宅用地では固定資産税の課税標準が価格の6分の1、都市計画税では3分の1になる仕組みがあります。

一方、空家法に基づく勧告を受けた「特定空家等」または「管理不全空家等」の敷地は、この住宅用地特例の対象から除外されます。

ただし、課税標準の特例が外れることと、実際の納税額が単純に6倍になることは同じではありません。

土地の評価、負担調整措置、都市計画税などによって実際の増額は異なります。

🟥 「空き家になった瞬間に6倍」でも、「古い家を残しておけば永久に税金が安い」でもありません。危険な状態を税金対策のためだけに残す判断は避けるべきです。

また、建物を解体すると、原則として翌年度から住宅用地特例が適用されなくなる可能性があります。

解体は、安全、売却、建物価値、解体費、税金、3,000万円控除の要件を並べて決める必要があります。


第2章|空き家相続で関係する税金を、一度整理する

1.相続税

相続税は、実家だけに課税されるものではありません。

預貯金、有価証券、保険金の一部、土地、建物など、相続財産全体を基に計算します。

遺産に係る基礎控除額は、原則として次の計算です。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人が2人なら4,200万円、3人なら4,800万円です。

ただし、基礎控除以下なら何も確認しなくてよいとは限りません。不動産の相続税評価、生命保険金、債務、特例、過去の贈与などによって判断が変わります。

相続税の申告期限は、通常、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。

「家を売ってから税理士へ相談しよう」では、遅い場合があります。

2.相続登記の登録免許税

相続による所有権移転登記では、原則として固定資産税評価額に0.4%を掛けて登録免許税を計算します。

一定の土地について免税措置が利用できる場合もあるため、司法書士や法務局へ確認してください。

令和6年4月1日から相続登記は義務化されました。相続で所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。

令和6年4月1日より前に発生した相続についても、未登記であれば原則として令和9年3月31日までの対応が必要です。

名義が親や祖父母のままでは、売却や融資、活用の契約を円滑に進められません。

時間がたつほど次の相続が起き、関係者が増えることもあります。

3.固定資産税・都市計画税

原則として毎年1月1日時点の所有者へ課税されます。

都市計画税は、市街化区域内の土地・家屋が対象です。

売買実務では引渡日を基準に日割り清算することがありますが、これは売主と買主の契約上の清算であり、納税義務者そのものが途中で変わるわけではありません。

4.売却時の譲渡所得税

不動産を売った代金全体に税率を掛けるわけではありません。

基本的な計算は次のとおりです。

譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税譲渡所得

取得費には、被相続人が購入したときの代金等を引き継ぐのが基本です。建物については減価償却相当額を差し引いて計算します。

相続した日を購入日として所有期間を数えるのではなく、原則として被相続人の取得時期を引き継ぎます。

購入時の契約書等がなく取得費が分からない場合、売却代金の5%を概算取得費として計算できる制度があります。

しかし、実際の取得費がそれより高かったのに証明できなければ、課税譲渡所得が大きくなる可能性があります。

🟨 空き家売却で最初に探すべきものは、買主だけではありません。親が家を買ったときの売買契約書、領収書、建築請負契約書も、手取り額を左右する重要な資料です。


第3章|「空き家の3,000万円控除」を誤解しない

3,000万円が給付される制度ではない

正式には、

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除

といいます。

一定の要件を満たす相続空き家やその敷地を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。

売却代金から3,000万円を差し引く制度ではありません。

3,000万円が受け取れる補助金でもありません。

譲渡所得が1,000万円なら、控除できる上限もその譲渡所得額です。

また、令和6年1月1日以後の譲渡で、この家屋・敷地を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上いる場合、各人の控除上限は2,000万円です。


主な適用要件

制度には多くの要件があります。代表的なものを整理します。

家屋に関する要件

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 区分所有建物登記がされた建物ではないこと
  • 相続開始直前に、原則として被相続人が一人で居住していたこと

利用状況に関する要件

  • 相続から譲渡まで、事業、賃貸、相続人等の居住に使用していないこと
  • 一定の要件を満たす老人ホーム等への入所は対象になり得ること

売却に関する要件

  • 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
  • 現行制度上、令和9年12月31日までの譲渡であること
  • 売却代金が原則1億円以下であること
  • 親子、夫婦、生計を一にする親族、同族会社など特別な関係者への売却でないこと

建物の状態・取壊しに関する要件

令和6年1月1日以後の譲渡では、主に次の形が考えられます。

  1. 現行耐震基準に適合した家屋と敷地を売る
  2. 家屋を取り壊してから敷地を売る
  3. 家屋付きで売った後、譲渡した年の翌年2月15日までに買主が取壊しまたは耐震改修を行う

3の仕組みが加わったことで、売主が売却前に必ず解体しなければならないとは限らなくなりました。

しかし、買主が期限までに工事を完了しなければ適用できない可能性があります。

売買契約には、工事内容、期限、書類提供、報告、協力義務、未達時の責任などを慎重に整理する必要があります。

🟥 「買主が後で壊すと言っています」だけでは、税務上の結果を守れません。特例を前提にするなら、契約前から税理士・不動産会社・解体や建築の関係者で工程を確認する必要があります。


老人ホームへ入所していたら対象外なのか

対象になる場合があります。

被相続人が要介護・要支援認定等を受け、一定の老人ホーム等へ入所していた場合、所定の条件を満たせば、入所前に一人で暮らしていた家が対象になり得ます。

ただし、入所後に第三者へ貸した。

親族が住んだ。

家財保管以外の用途に使った。

入所施設や認定の条件を満たさない。

このような事情で結論が変わる可能性があります。

介護保険被保険者証、施設との契約書、電気・水道の使用状況など、後になって集めにくい資料もあります。

相続後、早めに確認してください。


名古屋市の「確認書」があれば必ず控除できるのか

いいえ。

名古屋市内の家屋について特例を申告する場合、名古屋市へ申請し、「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受ける必要があります。

しかし、この確認書は特例の適用を確約するものではありません。

最終的には、必要書類を添えて確定申告し、税務上の要件が確認されます。

確定申告が近づく時期は申請が集中するため、売却後すぐに準備することが大切です。


第4章|私の失敗談——売却価格ばかり見て、古い契約書を探すのが遅れた

以前、名古屋市内の相続空き家について相談を受けました。

売主様は、できるだけ早く手放したいと考えていました。

建物は古く、家財も多い。

複数の不動産会社から価格を聞き、どこへ依頼するかを迷っていました。

私も最初は、

いくらで売れるか。

解体した方が買主を見つけやすいか。

古家付きのまま売れるか。

という販売面を中心に考えていました。

ところが税理士へつなぐため資料を確認すると、親御様が購入したときの契約書が見つかりません。

取得費が分からなければ、概算取得費5%での計算を検討することになります。

売却価格が上がっても、取得費を証明できなければ、手取りへの影響が大きくなる可能性があります。

私は売主様へ、

「価格を比べる前に、もう一度、実家の書類を探させてください」

とお願いしました。

押入れの段ボール。

古い通帳。

権利証を入れていた封筒。

銀行から届いた住宅ローン関係書類。

何度か探しましたが見つかりません。

私は、もっと早い段階で取得資料の確認をお願いすべきだったと反省しました。

最後に、売主様が何気なく開けた古い裁縫箱の下から、住宅購入時の領収書類と手掛かりになる資料が出てきました。

お母様が「大事なものだから」と、家族にも分からない場所へ保管していたそうです。

最終的な取得費の扱いは税理士に確認していただきました。

この案件で私が学んだのは、査定額を100万円上げることだけが売主利益ではないということです。

過去の資料を見つけ、使える制度と取得費を確認し、税引後の手取りを守ることも売却実務です。

🟨 高く売れたかどうかは、売買契約書の価格だけでは決まりません。税金、解体費、測量、家財整理、管理期間を差し引いた後に、家族が何を残せたかで決まります。

※事例は個人を特定できないよう、複数の相談経験をもとに内容を調整しています。税務判断は税理士が行うものであり、不動産会社が特例適用を保証するものではありません。


第5章|想定外の展開——売らずに残した家が、家族を苦しめなかった理由

空き家相談というと、最後は売却で終わると思われるかもしれません。

しかし、すべての家を売る必要はありません。

あるご家族は、相続した実家を売却するつもりで相談に来られました。

兄弟は県外に住み、誰も戻る予定はありません。

家は古く、庭も広い。

管理の負担を考えれば、売却が合理的に見えました。

ところが現地へ行くと、近所の方が声をかけてくださいました。

地域の子どもたちが、以前からその庭の植物を楽しみにしていたこと。

亡くなったお母様が、近所の方へ花を分けていたこと。

家の一室で、手芸を教えていた時期があったこと。

売主様は、その話を初めて知りました。

だからといって、感情だけで残すことはできません。

耐震性。

改修費。

固定資産税。

運営する人。

近隣への責任。

収入と支出。

家族で検討した結果、すぐに地域施設へ転用したわけではありません。

まず建物状態を調べ、利用できる範囲と必要費用を確認し、一定期間だけ管理しながら協力者を探すことにしました。

その後、地域活動を行う方との話が進み、所有者がすべてを背負わない形で、小さな交流・創作活動の場として利用する可能性が生まれました。

結果的に名古屋市の空き家活用支援制度についても事前相談しましたが、補助金に合わせて計画を作ったのではありません。

先に、誰が、何のために、何年間使うのかを決めました。

そのうえで制度が合うかを確認しました。

ここが大切です。

🟩 補助金があるから活用するのではありません。続けられる活用が先にあり、その計画と制度が重なるときに補助金を検討するのです。

家を残せたことより、家族が「私たちだけで管理し続けなくてよい」と分かったことが、この案件の一番大きな変化でした。


第6章|名古屋市の空き家支援制度を、過度に期待せず正しく使う

1.名古屋市空き家活用支援事業費補助金

名古屋市内の空き家を、地域活性化につながる用途へ活用する場合、一定の改修工事費について補助を受けられる制度です。

対象用途として、滞在体験施設、交流施設、体験学習施設、創作活動施設、文化施設、防災用倉庫、その他市長が認める用途が挙げられています。

補助額は改修工事費の3分の2、上限100万円です。

ただし、主な注意点があります。

  • 一定の耐震性・安全性を確保すること
  • 改修後10年以上継続して活用すること
  • 特定空家等は対象外であること
  • 耐震改修など躯体補強工事は補助対象経費から除かれること
  • 先着で、予算額に達すると受付終了となること
  • 事前相談と個別確認が必要であること

「自宅として貸したい」「普通の賃貸住宅へ直したい」というだけで当然に対象になる制度ではありません。

所有者が望む使い方と、制度が目的とする地域活性化が一致するかを確認する必要があります。

2.名古屋市老朽危険空家等除却費補助金

著しく老朽化し、周辺へ保安上の危険を及ぼす特定空家等の除却費を一部補助する制度です。

令和8年9月時点の案内では、市の現地調査による危険度評価等の要件を満たす場合、評価に応じて工事費の3分の1・最大40万円、または3分の2・最大80万円とされています。

すべての古い空き家が対象になるわけではありません。

また、交付決定前に工事へ着手すると対象外です。

「危ないので先に壊しました。後から補助を申請します」は通りません。

3.名古屋市空き家バンク

名古屋市は宅建協会と連携し、売却・賃貸を希望する空き家と、利用希望者をつなぐ空き家バンクを設けています。

ただし、登録すれば必ず成約する制度ではありません。

名古屋市が価格交渉や契約へ関与するものでもありません。

物件調査、価格、建物状態、契約条件を整理したうえで利用を検討します。

4.相談窓口と専門家連携

名古屋市は、不動産、法律、登記、税務、管理などに関係する団体と連携して空き家対策を進めています。

相談先が分からない段階では、行政の案内や専門団体の窓口も利用できます。

ただし、行政は売却価格を保証する場所ではなく、不動産会社は税務判断をする場所ではありません。

質問ごとに相談先を分けます。


第7章|相続した実家の5つの出口を比較する

出口1|中古住宅・古家付き土地として売る

建物を残すことで、買主がリノベーション、解体、新築を比較できます。

売主が先に解体費を負担しなくてよい一方、雨漏り、シロアリ、設備、残置物、契約不適合責任などを整理する必要があります。

3,000万円控除を検討する場合は、耐震性や買主による期限内の取壊し等も確認します。

出口2|解体して土地として売る

土地の形や高低差が見やすくなり、買主が新築計画を立てやすくなる場合があります。

一方で、解体費、アスベスト、地中埋設物、再建築の可否、住宅用地特例への影響を確認せず壊すと、かえって選択肢が減る可能性があります。

出口3|賃貸する

家賃収入を得ながら建物を残せます。

しかし、修繕費、耐震、設備、入居募集、滞納、原状回復、管理委託費を考える必要があります。

さらに、相続後に賃貸すると、空き家の3,000万円控除の利用状況要件を満たさなくなる可能性があります。

「とりあえず短期間だけ貸す」という判断をする前に、税務と将来方針を確認してください。

出口4|自分・親族が住む

思い出の家を住み継ぐ選択です。

耐震、断熱、水回り、段差、通勤・通学、改修費を現実的に比較します。

誰かが住むことで管理問題は改善しても、共有者間の使用利益や費用負担が新たな問題になる場合があります。

出口5|地域・事業用途へ活用する

交流、創作、福祉、子育て、文化、防災、事務所、店舗など、住宅以外の利用を検討します。

ただし、用途変更、建築基準法、消防、保健所、近隣、駐車場、運営収支などを確認する必要があります。

「良い活動だから許可される」とは限りません。


第8章|売却価格ではなく、10年後まで含めて比べる

比較項目売却賃貸自己利用地域活用当面保有
初期費用測量・解体等修繕・募集改修・引越し改修・許認可最低限の修繕
継続費用原則終了管理・修繕維持・ローン等運営・管理税・保険・管理
収入売却代金家賃なし事業による原則なし
税制譲渡税・特例所得税等個別確認事業内容次第固定資産税等
家族の手間売却後は減少継続居住者中心運営体制次第継続しやすい
主なリスク売却条件空室・修繕改修・生活適合継続性・許認可劣化・先送り

数字を入れるときは、1年分だけでなく、5年、10年で比較してください。

「売れば3,000万円」「貸せば月8万円」という表面の数字だけでは判断できません。

売却諸費用と税金。

賃貸前修繕と空室。

活用の運営費。

保有中の管理費。

そして家族の時間。

すべてを同じ表へ載せると、本当の出口が見えやすくなります。


第9章|相続後90日から始める空き家整理メソッド

1~14日|権利と期限を確認する

  • 遺言書の有無
  • 相続人の範囲
  • 登記名義
  • 固定資産税通知書
  • 借入れ、担保、共有持分
  • 相続放棄を検討する必要性

相続放棄は原則として相続開始を知った時から3か月以内です。空き家だけを選んで放棄する制度ではありません。預貯金や負債を含む全体を確認し、弁護士・司法書士等へ早めに相談します。

15~30日|家と資料を守る

  • 漏水・雨漏り・施錠の確認
  • 郵便物の整理
  • 通電・通水を残すか判断
  • 火災保険の確認
  • 購入時契約書・建築請負書類を捜索
  • 建築確認、測量、境界資料を保管
  • 室内・外観・家財を写真撮影

価値のある家財や税務資料を、残置物として一括処分しないよう注意します。

31~60日|家族会議をする

最初から価格の話をすると、意見がぶつかりやすくなります。

先に、次を共有します。

誰か住む予定があるか。

誰が管理へ通えるか。

年間費用を誰が負担するか。

いつまでに方向性を決めるか。

思い出として残したい物は何か。

61~90日|五つの出口を数字にする

売却査定だけでなく、建物調査、賃貸査定、修繕・解体見積り、税務相談、行政制度を並べます。

90日で結論を出す必要はありません。

ただし、次に判断する日を決めてください。

「いつか考える」ではなく、

「3か月後、資料がそろった段階で再度家族会議をする」

と予定を入れるだけでも、放置とは違います。


第10章|空き家相続で避けたい10の失敗

1.3,000万円控除を「売却代金の控除」と考える

譲渡所得から控除する制度です。

2.築年数だけ見て対象と決める

建築時期のほか、一人暮らし、利用状況、売却期限、耐震・取壊し等、多くの要件があります。

3.兄弟3人なら全員3,000万円控除できると思う

令和6年以後の譲渡で相続人が3人以上の場合、各人の上限は2,000万円です。

4.短期間なら貸しても問題ないと思う

相続から売却までの事業・賃貸・居住利用により、空き家特例が使えなくなる可能性があります。

5.買主が後で壊すという口約束だけで契約する

翌年2月15日の期限、証明資料、協力義務等を契約前に整理します。

6.名古屋市の確認書で特例が確定したと思う

確認書は適用を保証しません。確定申告と税務上の確認が必要です。

7.取得費資料を探さない

概算取得費5%となる場合、税負担へ大きく影響することがあります。

8.補助金申請前に工事を始める

交付決定前の着手が対象外となる制度があります。

9.税金対策だけで危険な建物を残す

安全と近隣への責任を優先し、税額は個別に試算します。

10.家族の「残したい」を管理計画だと思う

残すなら、管理者、費用負担、利用目的、見直し時期を決めます。


専門家は何を見るのか

税理士

相続税、譲渡所得、取得費、各種特例、確定申告を確認します。

司法書士

相続登記、遺産分割、登記名義、住所変更登記等を確認します。

弁護士

相続人間の紛争、共有、相続放棄、遺産分割等の法律問題を扱います。

土地家屋調査士

境界、測量、分筆、建物表題登記・滅失登記等を扱います。

建築士・建物調査の専門家

耐震、劣化、改修、用途変更、建築法令等を検討します。

不動産会社

現地、市場、買主、売却・賃貸・買取条件を整理し、各専門家の判断を取引へつなぎます。

🟨 一人の専門家にすべてを聞くのではなく、質問を分けることが空き家解決の近道です。不動産会社の仕事は、税務や法律を断定することではなく、必要な確認を見落とさず売却・活用へつなぐことです。


よくある質問

相続した空き家には、すぐ固定資産税が6倍かかりますか

空き家になっただけで直ちに6倍になるわけではありません。空家法に基づく勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は住宅用地特例から除外されますが、実際の税額は個別に異なります。

空き家の3,000万円控除は、売却代金が3,000万円以下なら税金がゼロになりますか

売却代金ではなく譲渡所得から控除します。取得費、譲渡費用、所有期間、他の所得・特例等も関係するため、税理士または税務署へ確認してください。

親が老人ホームへ入っていた場合も使えますか

要介護認定等、施設の種類、入所後の家の利用状況など一定の要件を満たせば対象になる場合があります。

建物を売主が解体しなくても特例を使えますか

令和6年以後の譲渡では、家屋付きで売却後、翌年2月15日までに買主が取壊しまたは耐震改修を行う形も対象になり得ます。ただし要件と証明、契約上の手当てが必要です。

空き家を一度貸してから売っても控除できますか

相続から譲渡まで賃貸等に使用していないことが要件となるため、対象外になる可能性があります。貸す前に税務確認をしてください。

名古屋市の改修補助金は普通の賃貸住宅にも使えますか

当然に使えるものではありません。地域活性化を目的とする対象用途、耐震・安全性、10年以上の継続利用などの要件があります。

解体補助金は古い家なら申請できますか

すべての古家が対象ではありません。名古屋市が特定空家等と判断し、危険度評価など所定の要件を満たす必要があります。工事着手前に相談してください。

相続した実家を売る前に、最初に何をすべきですか

相続人、登記、期限、建物状態、年間維持費を確認し、購入時の契約書や建築資料を捜してください。その後、売却・賃貸・自己利用・活用・保有を同じ条件で比較します。


まとめ|空き家を活かすとは、無理に建物を残すことではない

空き家活用という言葉には、明るい響きがあります。

古民家カフェ。

地域の交流拠点。

若い人が住むリノベーション住宅。

そうした活用が実現する家もあります。

しかし、すべての空き家を残すことが正解ではありません。

多額の改修費がかかる。

耐震性に問題がある。

再建築が難しい。

運営する人がいない。

家族が管理を続けられない。

その場合は、売却や解体が、家と地域に対して誠実な選択になることもあります。

活かすとは、建物を必ず残すことではありません。

土地として次の家族へ渡す。

庭木の一部を新しい計画へ残す。

古い建具を再利用してもらう。

家族写真を整理して、思い出だけを持ち帰る。

売却代金を親の供養や次世代の暮らしへ使う。

それも立派な活用です。

税金の特例は重要です。

名古屋市の支援制度も、条件が合えば力になります。

しかし、制度は家族の答えを決めてくれません。

大切なのは、

この家を誰が使うのか。

誰が費用と責任を負うのか。

いつまで続けられるのか。

家族は何を残したいのか。

を、建物がまだ選べる状態のうちに話すことです。

🟥 空き家問題の解決は、建物をなくすことではありません。

🟩 家族が「決められない状態」から抜け出し、納得できる次の役割を家に与えることです。

私は街歩きで空き家を見つけると、古さだけを見ないようにしています。

雨戸の奥に、誰の暮らしがあったのか。

庭木を植えた人は、どんな景色を見ていたのか。

この家を必要とする次の人はいないか。

残せないなら、どのように終えることが家族にとって優しいか。

相続した実家は、負動産と決めつけるには、あまりにも多くの時間を抱えています。

だからこそ、放置ではなく、調べることから始めてください。

売るか、残すかは、その後で構いません。


名古屋市で相続空き家の売却・活用をご検討中の方へ

ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、相続不動産、空き家売却、築古住宅、再建築が難しい土地、旗竿地、私道・境界・擁壁などに問題がある不動産のご相談をお受けしています。

次のような段階でも構いません。

  • 相続した実家を売るか残すか決められない
  • 兄弟姉妹の意見がまとまらない
  • 3,000万円控除の対象になる可能性を確認したい
  • 親が老人ホームへ入っていた
  • 購入時の契約書が見つからない
  • 古家付きと解体後のどちらがよいか比較したい
  • 名古屋市の補助制度を活用できるか知りたい
  • 賃貸・地域活用の収支を検討したい
  • 遠方に住んでいて実家を管理できない
  • 他社から建物には価値がないと言われた

最初から売却を勧めることが目的ではありません。

登記、税務、建物、境界、接道、管理費、家族の希望を整理し、必要に応じて税理士、司法書士、土地家屋調査士、建築士等と連携しながら、複数の出口を比較します。

実家をどうするか決められないときは、まず「今の状態」と「いつまでに確認すべき制度があるか」だけでも整理してみませんか。

対応エリア

名古屋市南区・港区・緑区・千種区・熱田区・名東区・昭和区・瑞穂区・中村区・中川区・守山区・中区・天白区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。

※本記事は令和8年9月時点の法令・公表情報をもとに作成しています。税制、補助制度、受付状況、必要書類は変更される場合があります。

※3,000万円特別控除、取得費、相続税、譲渡所得税その他の税務判断は、個別事情によって異なります。特例適用を前提に売買契約、解体、賃貸、用途変更等を行う前に、税務署または税理士へご確認ください。

※補助制度は事前相談・交付決定前の申請が必要な場合があり、予算到達により受付終了となることがあります。工事契約・着工前に名古屋市の最新情報をご確認ください。

※本文の事例は、相談者様および物件を特定できないよう、複数の相談・実務経験をもとに所在地、人物、建物、会話、経緯等の一部を調整しています。


参考にした公的情報

  • 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
  • 国税庁「被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」
  • 国税庁「譲渡所得の計算のしかた」
  • 国税庁「取得費が分からないとき」
  • 国税庁「相続税の計算」
  • 名古屋法務局「相続・遺言に関する手続のご案内」
  • 名古屋市「空き家の発生を抑制するための特例措置」
  • 名古屋市「空き家所有者の皆様へ」
  • 名古屋市「空き家活用支援事業費補助金」
  • 名古屋市「老朽危険空家等除却費補助金」
  • 名古屋市「空き家バンク」

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