筆者は「土地のエネルギー」よりも「人のエネルギー」だと思う
空き家を数多く見てきた筆者には、一つの持論があります。
それは、
「家を元気にするのは人である」
ということです。
風水でもなければ量子力学でもありません。
人です。
人が住み、
人が笑い、
人が掃除をし、
人が換気をし、
人が庭を手入れする。
それだけで家は驚くほど元気になります。
逆に、
誰も来ない。
誰も窓を開けない。
誰も庭木を切らない。
誰も家を気にしない。
そうなると家は急速に老朽化していきます。
空き家に入った瞬間に感じる「重たい空気」の正体
空き家調査をしていると、
玄関を開けた瞬間、
なんとも言えない空気感を感じることがあります。
しかしこれは霊的な話ではありません。
実際には
- 湿気
- カビ臭
- 埃
- 空気の滞留
- 温度差
- 光不足
これらが複合的に作用しています。
人間は五感で環境を感じ取ります。
つまり、
「なんとなく嫌な感じがする」
という感覚の正体は、
物理的な環境変化であることが少なくありません。
空き家老朽化最大の原因は『無人化』
筆者は数百件以上の空き家を見てきましたが、
本当に危険なのは築年数ではありません。
無人期間です。
築50年でも管理されている家は驚くほど綺麗です。
一方、
築20年でも10年間放置された家はボロボロです。
なぜでしょうか。
人がいないからです。
人が住めば
- 毎日換気する
- 水を流す
- 異変に気付く
- 修繕する
という行動が自然に行われます。
しかし空き家になると全て止まります。
家は住まなくなった瞬間から劣化速度が加速するのです。
なぜ人は空き家を放置してしまうのか?心理学から読み解く「先送り」の正体
空き家問題を長年見ていると、ある共通点に気付きます。
それは、
「相続人は決して空き家を放置したかったわけではない」
ということです。
周囲から見ると、
「なぜ草だらけになるまで放置したのだろう」
「なぜ固定資産税を払い続けるのだろう」
「なぜ売却しないのだろう」
と思うかもしれません。
しかし実際の相談現場では、
ほとんどの方が最初から放置しようと思っていたわけではありません。
気付いたら3年。
気付いたら5年。
中には10年以上経過していた。
そんなケースが少なくないのです。
「面倒だから放置した」は本当ではない
空き家を放置する理由を聞くと、
多くの相続人はこう答えます。
「忙しかったから」
「仕事があったから」
「遠方に住んでいるから」
「兄弟と話がまとまらなくて」
もちろん、それも事実です。
しかし心理学的に見ると、
その奥にはもっと大きな原因があります。
それが
意思決定の回避
です。
人は大きな決断ほど先送りする
不思議なことですが、
人は簡単な決断はすぐできます。
今日の昼食。
明日の予定。
仕事の段取り。
こうしたことはすぐ決められます。
しかし、
人生に関わる重要な決断になると急に動けなくなります。
例えば、
離婚
転職
事業承継
そして
実家の売却
です。
なぜなら、
決断した瞬間に責任が発生するからです。
「売る」と決めることは親との別れを認めること
相続不動産の相談で最も多いのが、
実家に対する感情です。
親が亡くなった後、
実家を売却するという行為は、
単なる不動産取引ではありません。
多くの方にとって、
それは
親との最後の別れ
を意味します。
父親が庭で育てていた植木。
母親が大切にしていた仏壇。
家族写真。
柱の傷。
子供の頃の記憶。
それらを手放すことは、
思っている以上に精神的負担が大きいのです。
だから人は決断を先送りします。
「今決めなくても困らない」が最も危険
空き家放置の最大の原因は、
実はこの考え方です。
今すぐ売らなくてもいい
今すぐ困っていない
税金は払える
そのうち考えよう
心理学ではこれを
現状維持バイアス
と呼びます。
人は変化よりも現状維持を好みます。
たとえその状態が合理的でなくても、
現状を維持する方が精神的に楽なのです。
相続人が陥る「みんな待ち」の心理
兄弟姉妹がいるケースでは、
さらに問題が複雑になります。
例えば、
長男は
「妹が反対するかもしれない」
と思う。
妹は
「兄が決めるべきだ」
と思う。
結果、
誰も動かない。
これを心理学では
責任の分散
と呼びます。
責任者が曖昧になるほど、
人は行動しなくなります。
空き家問題で最も多いパターンの一つです。
時間が解決してくれるという幻想
相談者の中には、
こう話す方もいます。
時間が経てば気持ちの整理がつくと思った
しかし現実は逆です。
時間が経つほど、
建物は傷みます。
草は伸びます。
雨漏りが始まります。
解体費用は高騰します。
兄弟は高齢化します。
相続人がさらに亡くなり、
権利関係は複雑になります。
問題は解決するどころか、
どんどん大きくなるのです。
先送りの代償は想像以上に大きい
筆者が名古屋市で相談を受けた案件でも、
相続直後なら2,500万円で売却できた物件が、
10年後には建物老朽化によって解体が必要となり、
実質1,700万円程度の評価になったケースもありました。
差額は800万円以上。
決断を先送りした代償としては、
非常に大きな金額です。
空き家問題の本質は不動産ではなく感情
私は長年この仕事をしていますが、
空き家問題の本質は建物ではないと思っています。
本当の問題は、
親への想い
兄弟関係
罪悪感
後悔
責任
迷い
こうした感情です。
だからこそ、
不動産会社は単に査定するだけでは足りません。
相続人の気持ちを整理し、
選択肢を示し、
決断をサポートする役割が求められるのです。
「売る・売らない」を決める必要はない
相談者の中には、
「売る覚悟ができてから相談しよう」
と考える方がいます。
しかしそれは違います。
相談段階では、
売ると決める必要はありません。
まずは、
現状を知る。
価値を知る。
選択肢を知る。
問題点を知る。
それだけで十分なのです。
空き家放置 筆者がかんじること。
相続人が空き家を放置してしまう最大の理由は、
怠慢ではありません。
心理学的に見れば、
大切なものほど決断が難しくなるからです。
親との思い出。
兄弟との関係。
将来への不安。
それらが絡み合い、
人は「今はまだ決めない」という選択をしてしまいます。
しかし、
空き家は待ってくれません。
時間が経つほど選択肢は減り、
資産価値は失われていきます。
だからこそ大切なのは、
「売るかどうか」ではなく、
まず相談すること。
空き家問題の第一歩は売却ではありません。
現実を知ること。
そして、
先送りの連鎖を断ち切ること。
地域に人の流れを作ることが最大の空き家対策
近年、
全国の自治体が空き家活用に力を入れています。
しかし本質は補助金ではありません。
人の流れです。
例えば、
- 子ども食堂
- シェアスペース
- コミュニティカフェ
- レンタルオフィス
- アトリエ
として利用される空き家は、
建物そのものが再生されるケースが多く見られます。
なぜなら、
人が集まるからです。
人が集まれば、
掃除され、
換気され、
管理され、
地域との接点も生まれます。
名古屋市で実際に感じる空き家の共通点
名古屋市内でも
- 相続後5年以上放置
- 年1回も現地確認しない
- 庭木が道路にはみ出している
- 郵便物が溜まっている
こうした物件は非常に売却しづらくなります。
反対に、
定期的に管理されている空き家は、
築年数が古くても比較的早期に売却できる傾向があります。
買主は建物を見ていますが、
実はそれ以上に
「どのように管理されてきたか」
を見ているのです。
筆者が考える究極の空き家対策
風水でもありません。
量子力学でもありません。
ヒーリング音叉でもありません。
究極の空き家対策は、
「定期的に人が訪れること」
です。
月に1回でも構いません。
窓を開ける。
掃除する。
草を刈る。
近隣の方と挨拶する。
それだけで空き家の寿命は大きく変わります。
家は人が住むことで生き続けるもの。
そして空き家問題の本質は、
建物の問題ではなく、
人との関係性が途切れてしまうことなのかもしれません。
ふどうさんのMAGOは名古屋市エリアを中心に不動産売却、空き家問題を専門とする不動産会社です。、専門家のアドバイスと革新的なアイディアで、お客様の悩みを解決いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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