こんにちは。
趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。
名古屋の住宅街を歩いていると、いつも気になる家があります。
雨戸が閉まったままの家。
庭木が少しずつ道路へ伸びている家。
郵便受けにチラシがたまっている家。
表札は残っているのに、人の出入りを感じない家。
そのような住宅を見ると、
「この家は、いつから空き家になっているのだろう」
と考えます。
空き家になると、防犯上の理由から雨戸やカーテンを閉める所有者様は少なくありません。
もちろん、誰も住んでいない家の内部を見えにくくし、窓ガラスを保護することには意味があります。
しかし、長期間にわたって窓を開けず、点検する人もいない状態が続くと、家の中では少しずつ変化が始まります。
湿気がこもる。
カビ臭が強くなる。
小さな雨漏りを発見できない。
排水口の封水が切れて臭いが上がる。
害虫や小動物が入り込む。
庭木が伸び、近隣へ越境する。
空き家が傷む最大の理由は、単に「古いから」ではありません。
🟥 家の状態を確認し、小さな異常に気付く人がいなくなることです。
この記事では、名古屋の街を8年間歩き、多くの空き家や相続不動産を見てきた経験から、空き家管理が必要な理由、放置によって起こり得る問題、最低限行いたい管理、そして管理をいつまで続けるのかについてお伝えします。

人が住まなくなった家は、なぜ傷みやすいのか
人が暮らしている家では、意識しなくても日常的な管理が行われています。
朝になればカーテンを開ける。
天気のよい日には窓を開ける。
台所や浴室で水を使う。
部屋を掃除する。
雨が降れば、雨漏りがないか気付く。
庭木が伸びれば切る。
設備が故障すれば修理する。
一つひとつは小さな行動ですが、これらの積み重ねが住宅の状態を保っています。
空き家になると、この日常が一斉に止まります。
家が急に古くなるわけではありません。
小さな変化を発見し、手当てする仕組みがなくなるのです。
築50年でも定期的に管理されている住宅が良好な状態を保っていることがあります。
一方、比較的新しい家でも、長期間閉め切られ、雨漏りや湿気を放置したことで大きく傷んでいる場合があります。
築年数だけでは、家の状態を判断できません。
「いつ建てられたか」と同じくらい、
どのように使われ、どのように管理されてきたか
が重要です。

太陽光だけで湿気を防げるわけではない
「空き家は光が入らないから傷む」と説明されることがあります。
確かに、雨戸やカーテンを閉めたままの暗い室内は、異常を発見しにくく、湿った印象になりやすいでしょう。
しかし、太陽光を入れるだけで湿気やカビを防げるわけではありません。
室内環境へ大きく影響するのは、
- 換気が行われているか
- 雨水が侵入していないか
- 結露が発生していないか
- 床下や屋根裏に異常がないか
- 排水や漏水に問題がないか
- 室内外の温度差が大きくなっていないか
といった複数の条件です。
日中に雨戸やカーテンを開けることには、室内を明るくして異常を発見しやすくする意味があります。
ただし、本当に大切なのは、光を入れることだけではなく、室内を点検し、必要に応じて換気や清掃を行うことです。
🟨 「日光を入れれば安心」でも「窓を開ければ安心」でもありません。換気、点検、清掃、補修を組み合わせて初めて空き家管理になります。
家に必要な「風」とは、適切な換気のこと

空き家管理では、定期的な換気が重要です。
長期間閉め切った室内では空気が滞留し、湿気や臭いがこもりやすくなります。
特に注意したい場所は、次のとおりです。
- 押し入れやクローゼット
- 北側の部屋
- 浴室や洗面所
- 台所
- 床下収納の周辺
- 家具の裏側
- 雨漏りしたことがある場所
換気を行うときは、一か所だけ窓を開けるのではなく、可能であれば離れた位置にある窓や室内扉も開け、空気の入口と出口をつくります。
ただし、雨天時や湿度の高い日に長時間窓を開けると、かえって湿った空気を取り込むことがあります。
また、防犯上、窓を開けたまま家を離れてはいけません。
換気後は窓、雨戸、玄関、勝手口の施錠を必ず確認してください。
国土交通省も、空き家を所有し続ける場合には、建物内外の点検、通気・換気、通水、清掃などを定期的に行うことが重要だと案内しています。
空き家は「時間が止まった家」ではない
空き家のご相談では、次のようなお話をよく伺います。
「いつか子どもが使うかもしれません」
「親が残した家なので、まだ売る決心がつきません」
「解体すると固定資産税が心配なので、そのままにしています」
そのお気持ちはよく分かります。
実家には、金額だけでは測れない価値があります。
父親が座っていた場所。
母親が使っていた台所。
柱についた子どもの頃の傷。
庭に植えられた木。
すぐに処分する気持ちになれないのは、決して不自然なことではありません。
しかし、所有者様の気持ちが整理されるまで、建物が同じ状態で待ってくれるわけではありません。
雨は降ります。
台風も来ます。
設備や配管は古くなります。
雑草や庭木も伸びます。
空き家は時間が止まった家ではありません。
誰も気付かないところで、時間が進み続けている家です。
空き家管理が必要な3つの理由
理由1|小さな異常を早く発見するため
空き家管理で最も重要なのは、劣化を完全に止めることではありません。
住宅は、人が住んでいても少しずつ劣化します。
重要なのは、小さな異常を早期に発見し、大きな損傷へ進む前に対応することです。
例えば、屋根のわずかな破損から雨水が入り込んでも、すぐに発見できれば部分的な修繕で済む可能性があります。
しかし数年間放置すれば、天井、壁、柱、断熱材、床などへ被害が広がる場合があります。
同じことが、給排水設備、雨どい、外壁、基礎、庭木にも言えます。
🟩 空き家管理の役割は、家を新品の状態に保つことではありません。「いつ、どのような変化が起きたか」を把握できる状態にすることです。
理由2|所有者としての責任を果たすため
空き家は、誰も住んでいなくても所有者様の財産です。
同時に、適切に管理する責任も残ります。
名古屋市は、空家等対策特別措置法および市の条例に基づき、空き家の適切な管理は所有者・管理者の責務であると案内しています。
また、建物の外壁材や屋根材などが落下し、第三者へ損害を与えた場合には、所有者の責任が問題になる可能性があります。名古屋市も、建物の所有者・管理者には、安全で良好な状態の維持に努める責任があると説明しています。
さらに、周囲へ著しい悪影響を及ぼす「特定空家等」だけでなく、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある「管理不全空家等」についても、行政から指導や勧告を受ける場合があります。
勧告を受けた土地は、住宅用地に対する固定資産税等の特例措置の対象外となる可能性があります。
🟥 「まだ倒れそうではないから大丈夫」ではありません。危険な状態になる前から、適切な管理が求められています。
理由3|将来の選択肢を残すため
空き家を将来どのようにするか、すぐに決められないこともあります。
売却する。
誰かが住む。
賃貸にする。
リフォームする。
建物を解体して土地を活用する。
選択肢は物件によって異なります。
ただし、管理をしないまま時間が経過すると、建物を利用する選択肢が失われることがあります。
住宅として売却できた可能性があった家が、雨漏りや腐食によって古家付き土地としてしか評価されなくなる。
残せたはずの建物に、解体費用が必要になる。
庭木や越境物の処理費用が増える。
近隣との関係が悪化する。
管理とは、支出を伴う作業です。
しかし、管理しないことで、将来さらに大きな費用が生じる場合があります。
空き家を放置すると起こり得る5つのリスク

1.雨漏りや湿気による建物劣化
空き家の老朽化で特に注意したいのが、雨水と湿気です。
確認したい変化には、次のようなものがあります。
- 天井や壁の染み
- 室内のカビ臭
- 畳や床の変色
- 壁紙の剥がれ
- 木部の腐食
- 外壁の亀裂や浮き
- 雨どいの外れや詰まり
- 屋根材のずれ
見た目が小さな染みでも、内部では被害が広がっている可能性があります。
異常が見つかった場合は、無理に屋根へ上らず、建築会社や専門業者へ相談してください。
2.給排水設備の臭いや漏水
長期間水を使わないと、排水トラップの封水が蒸発し、下水の臭いや害虫が室内へ上がってくる場合があります。
そのため、定期的な通水を行う管理方法があります。
ただし、冬季の凍結、配管の劣化、漏水、給湯設備の状態などによっては、安易に通水すると事故につながる可能性もあります。
止水している空き家や、配管状態が分からない住宅では、最初に設備業者へ確認した方が安全です。
3.防犯・防火上の問題
郵便物がたまっている。
庭が荒れている。
夜になっても照明がつかない。
窓ガラスが割れたままになっている。
こうした状態は、外部から「長期間、人が来ていない家」と判断される原因になります。
侵入、不法投棄、放火などのリスクを完全になくすことはできませんが、
- 定期的に訪問する
- 郵便物を回収する
- 施錠を確認する
- センサーライトを設置する
- 外観を整える
- 近隣へ緊急連絡先を伝える
ことで、管理されている家であることを示せます。
4.庭木や雑草による近隣トラブル
名古屋の空き家相談で特に多いのが、庭木と雑草の問題です。
夏場は植物の成長が早く、数か月訪れないだけで、
- 枝が道路や隣地へ越境する
- 落ち葉が隣家の雨どいへ入る
- 害虫が発生する
- 雑草で道路から家が見えなくなる
- 台風で枝が折れる
といった問題につながります。
高い木や電線付近の枝は、自分で無理に切らず、剪定業者や電力会社などへ相談してください。
5.家族間の問題が複雑になる
空き家を残したままにすると、建物だけでなく権利関係も変化します。
所有者が亡くなり、相続人が増える。
共有者の一人と連絡が取れなくなる。
管理費や修繕費を誰が負担するか決まらない。
「売りたい人」と「残したい人」に意見が分かれる。
時間が解決すると思っていた問題が、時間の経過によってさらに難しくなることがあります。
空き家の将来をすぐに決められなくても、
誰が管理するのか。
費用を誰が負担するのか。
いつまでに方向性を話し合うのか。
だけは、家族で決めておくことをおすすめします。
名古屋市で行いたい空き家管理の基本

1.定期的に訪問し、毎回同じ場所を確認する
訪問頻度に、すべての空き家へ共通する正解はありません。
建物の状態、季節、周辺環境、台風や大雨の有無などによって変わります。
重要なのは、訪問時に何となく室内を見るのではなく、毎回同じ項目を確認することです。
外回り
- 郵便物や投函物
- 門扉、玄関、窓の施錠
- 窓ガラスの破損
- 屋根材や外壁の変化
- 雨どいの外れ・詰まり
- 基礎の亀裂
- 庭木・雑草
- 越境物
- 不法投棄や侵入の形跡
- 道路や隣地への影響
室内
- 雨漏りの染み
- カビや異臭
- 床の沈みや傾き
- 壁紙の剥がれ
- 害虫・害獣の痕跡
- 漏水
- ブレーカーや設備の異常
- 建具の開閉状態
異常を見つけた場合は、写真を撮り、日付と場所を記録します。
2.安全な範囲で換気・清掃・通水を行う
天候や防犯に配慮しながら、必要に応じて室内を換気します。
床や家具の埃を取り、虫の死骸や落ち葉を片付け、室内の異常を見つけやすい状態にします。
通水については、設備や配管の状態を確認したうえで行います。
「管理作業だから」と無理をする必要はありません。
床が抜けそうな家。
強いカビ臭や刺激臭がある家。
大量の害虫や動物のふんがある家。
屋根や外壁の落下が心配な家。
このような場合は、室内へ入らず専門業者へ相談してください。
3.台風・大雨・地震の後に臨時点検する
通常の訪問日だけでなく、台風、大雨、地震などの後には臨時確認が必要になる場合があります。
特に名古屋では、台風や集中豪雨の後に、
- 瓦や屋根材のずれ
- 雨どいの破損
- 飛来物による窓の破損
- 庭木や塀の傾き
- 室内への雨水侵入
が見つかることがあります。
遠方に住んでいる場合は、近隣の方や管理会社へ緊急時の確認を依頼できる体制をつくっておくと安心です。
4.写真と管理記録を残す
空き家管理で役立つのが、写真と記録です。
毎回、できるだけ同じ位置から写真を撮ります。
- 建物正面
- 屋根や外壁
- 庭
- 各部屋
- 天井
- 水回り
- 気になる箇所
前回の写真と比較すれば、亀裂、染み、傾き、庭木の成長などに気付きやすくなります。
管理記録は、家族との情報共有や、将来の売却時に建物の経過を説明する資料として役立つ場合があります。
空き家管理に準備したい基本用品
自分で管理する場合は、次のような用品があると便利です。
- 軍手
- マスク
- ゴミ袋
- ほうき・ちり取り
- 雑巾・モップ
- 懐中電灯
- 室内用の靴
- 虫よけ用品
- 簡単な救急用品
- 写真撮影ができるスマートフォン
- 点検項目を記載したチェックシート
ただし、高所作業用の脚立や電動工具は、転落・感電・けがの危険があります。
🟥 空き家管理は、自分で修理することではありません。危険な場所や専門判断が必要な部分は、無理に触らないことも大切な管理です。
自分で管理できない場合はどうする?
遠方に住んでいる。
高齢で現地へ行けない。
仕事や家庭の事情で時間が取れない。
相続人同士で管理担当が決まらない。
このような場合は、無理に家族だけで抱え込む必要はありません。
選択肢としては、
- 空き家管理サービスを利用する
- 地元の不動産会社へ相談する
- 庭木だけ剪定業者へ依頼する
- 建物点検を専門業者へ依頼する
- 信頼できる近隣の方へ外観確認をお願いする
- 売却、賃貸、活用を検討する
などがあります。
名古屋市は、遠方居住者や高齢者などを対象とした空き家管理に関する情報や相談先を案内しています。
業者へ依頼するときは、料金だけでなく、次の点を確認してください。
- 室内へ入るのか、外観確認だけか
- 換気や通水を行うのか
- 写真付き報告があるか
- 台風後の臨時点検に対応するか
- 異常発見時に誰へ連絡するか
- 修繕業者の手配まで行うか
- 鍵をどのように管理するか
- 損害賠償保険へ加入しているか
「管理サービス」と書かれていても、業務内容は会社によって異なります。
空き家管理で最も大切なのは「出口を決めること」
空き家管理は大切です。
しかし、管理そのものを目的にしてはいけません。
月に一度訪問する。
草を刈る。
固定資産税を支払う。
雨漏りを修理する。
これを何年も続けても、利用する予定がなければ、所有者様の負担は積み重なります。
管理は、将来の判断を先送りするための作業ではありません。
売る、貸す、使う、解体するなどの方向性を決めるまで、家を安全な状態でつなぐための作業です。
空き家を所有したら、次の3つを分けて考えることをおすすめします。
今行う管理
建物と近隣へ問題が起きないよう、点検、換気、清掃、庭木管理などを行います。
将来の活用方法
自分や家族が住むのか、賃貸するのか、売却するのか、土地として利用するのかを検討します。
判断する期限
「いつか考える」ではなく、半年後、次の相続手続きまで、次の固定資産税の時期までなど、家族で話し合う時期を決めます。
🟨 管理方法だけ決め、管理を終える時期を決めないと、空き家は家族の中で引き継がれる未解決問題になってしまいます。
街歩き8年間で感じた「家が傷む本当の理由」

名古屋の街を歩いていると、同じ築年数でも、状態がまったく違う家に出会います。
庭が整えられ、定期的に人が訪れている家。
雨戸は閉まっていても、郵便物がなく、敷地が清掃されている家。
反対に、庭木が建物を覆い、雨どいが外れ、窓ガラスが割れたままの家。
違いは、建物の価格や豪華さだけではありません。
誰かが、その家を気にかけているかどうかです。
空き家管理とは、建物を永久に残すための作業ではありません。
家の変化を見逃さないこと。
近隣へ迷惑をかけないこと。
修繕、活用、売却などの選択肢を失わないこと。
そして、家族が納得できる出口を考えるための時間をつくることです。
まとめ|空き家管理は「未来の選択肢を守る行動」
空き家管理は、面倒で費用のかかる作業に見えるかもしれません。
しかし、何もしないことにも費用とリスクがあります。
建物の劣化。
防犯・防火上の問題。
庭木や雑草による近隣トラブル。
行政からの指導や勧告。
家族間の負担。
売却・活用方法の減少。
これらを防ぐために、まず必要なのは、現在の状態を知ることです。
定期的に現地を見る。
写真を残す。
小さな変化を確認する。
家族で情報を共有する。
自分で難しければ専門家へ相談する。
そして、管理を続けながら出口を考える。
🟩 空き家管理とは、家を残すと決めることではありません。残す、使う、貸す、売るという選択肢を、自分たちで選べる状態にしておくことです。
「まだ売却するか決めていない」
「相続したばかりで、何から始めればよいか分からない」
「遠方に住んでいて、家の状態を確認できない」
「雨戸を閉めたまま数年が経過している」
そのような段階でも構いません。
今すぐ結論を出す必要はありません。
ただし、家が出している小さな変化を、そのままにしないことが大切です。
名古屋市で空き家の管理・売却にお困りの方へ
ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、空き家、相続不動産、築古住宅、旗竿地、再建築が難しい土地、心理的瑕疵物件、権利関係が複雑な不動産などの売却をお手伝いしています。
空き家をただ売却するのではなく、
- 現在の建物状態
- 相続や共有関係
- 道路・境界・越境
- 建物を残す可能性
- 解体の必要性
- 仲介と買取の比較
- 売却までに必要な管理
を整理し、所有者様とご家族に合った出口を一緒に考えます。
「まだ売ると決めていない」
「家財が残っている」
「相続登記が終わっていない」
「他社から解体を勧められた」
という段階でも、お気軽にご相談ください。
対応エリア
名古屋市南区・港区・緑区・千種区・熱田区・名東区・昭和区・瑞穂区・中村区・中川区・守山区・中区・天白区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。
※空き家の管理方法や必要な修繕は、建物の構造、築年数、劣化状況、設備、周辺環境などによって異なります。屋根、高所、電気、ガス、給排水、構造部分などの確認・作業は、無理に行わず、必要に応じて専門業者へご相談ください。
※本記事は令和8年9月時点の公表情報および実務経験をもとに作成しています。


