こんにちは。街歩き空き家マイスターの保木です。街中に埋もれている空き家の中には何年も放置されている空き家が多く存在します。皆さんも心当たりありませんか?「こんなに良い立地なのに、なぜずっと放置されているのだろう?」と、昨今社会問題としてクローズアップされている空き家の利活用が進まない理由を以下のようにざっくりまとめてみました。
【空き家の利活用が進まない「相続」と「認知症」との相関性】というテーマから見えてくるのは法律の障壁です。放置空き家にさせないために今からできる対策と現行の法律について記述いたしました、
【空き家の利活用が進まない理由】
①両親が苦労して手に入れた家なので他人に渡すのは忍びない。他人に売却することの罪悪感。出来ることならそのままにしておきたい。売却するには親戚や他人の目が気になる。いつかは利用するかもしれない。
②修繕や解体の費用が負担になっている。更地にすると固定資産税が負担になるから。
③相続の壁。兄弟姉妹、相続人同士の同意が得られない。相続人と連絡がつかない。相続人同士が揉めている。相続人が行方不明。共有持ち分で分割できない、同意を得られない。相続対策として空き家のままを選択している。
④管理が面倒臭い。関心がない。遠方にいるため管理ができない。高齢のため管理できない。なんとなくそのまま放置。仏壇や家財の保管場所に。
⑤両親が認知症になった。介護施設に入居した。
⑥敷地の接道等の問題で再建築できない。売却しようにも買い手がつかない。売却できないと思い込んでいる。
⑦相続登記をしていない。法定相続人の権利関係が複雑になっている。
不動産売却によくありがちな相続の壁
相続人共有の不動産を売却する場合、共有者全員が合意しなければなりません。
「兄はそのままにしておきたい。姉は貸し出したい。妹は売却したい」
「相続の話し合いをしたいのに、兄弟姉妹と連絡が取れない、相続の話を無視する」
相続人と連絡が取れない、分割協議に応じない
相続人と連絡が取れない場合、その人だけを除いて話し合いをしてもその遺産分割協議は法律的には無効になってしまいます。法律では遺産分割協議には、すべての法定相続人(遺言書がないケース)が参加しなければならないと決まっているからです。
相続人の中に、疎遠になっていて何年も連絡をしておらず、どこに住んでいるかもわからないケースもよくあります。
全く面識がない相続人がいるケースも珍しくありません。遺産分割協議を行うために連絡をとっても、連絡先がわからなかったり、不仲で相手が積極的に協議に応じず、遺産分割協議が進まないこともあります。
連絡が取れない相続人がいる場合には「不在者財産管理人」を選任したり、行方不明であれば「失踪宣告」をして、法的な対応を進めなくてはなりません。
また、連絡は取れるけど不仲で無視されているようなケースでは、家庭裁判所で遺産分割調停をし、遺産分割審判を受けることが必要です。
相続人の中に未成年・認知症の方がいる場合
相続人の中に未成年者がいる場合には、家庭裁判所に申し立て、特別代理人を選任してもらわなければなりません。
また、相続人の中に認知症で判断能力を欠いている人がいれば、成年後見人を選任する必要があります。
法定相続分で取りあえず共有持ち分にしたが、売却が困難になってしまった。
相続登記を行う場合、一般的には相続人で話し合いをして、遺産分割協議をおこないますが、問題となるのが兄弟姉妹の共有名義にしてしまうケースです。相続は親族間で、揉めたくない、話し合いが面倒だからとりあえず法定相続分で共有持ち分にして分けてしまうのです。共有名義の相続登記をすること自体が悪いことではありませんが、法定相続分での登記をしてしまうと、今度は共有者全員の同意がないと売却、処分できないという壁が生じます。また次の世代へと持分を引き継いでいってしまうことになり、疎遠な関係になればなるほど、共有状態となった不動産を処分することが困難になります。
先代からの相続登記がされていない
名古屋市のような都市部ではあまりみられませんが先代からずっと登記が変わっていないケースです。昨今相続登記が義務化になりましたが、相続登記をするには、ある程度の費用や手間が掛かります。不動産売却や不動産を抵当に入れる場合、当然相続登記は必須になります。
しかし、いつかは手続きしようと考えたり、あえて手間や費用をかけてまで相続登記をしようとしない人がいるのも現状としてはあります。自分の両親が亡くなりいざ相続登記をしようとしたら、不動産の名義が祖父のままになっていたなど、先代から相続登記がなされていない!
意外とあるよくあるケースとして相続登記をしておらず、何代も前の方の名義になっていることもあります。この場合には、先代からの相続人を確認する必要があり、かなりの労力と時間がかかります。
次に認知症の相続人がいるケースでは、「認知症」と「空き家」は社会問題としてクローズアップされるほど、この2つは切っても切り離すことができない相関性があります。
認知症によって実家が空き家になるケース
誰も両親が健在なうちはあまり考えることはありませんが、親が認知症になったり、施設に入居すると、子供が住まなければ実家が空き家化します。
父親の死亡 →母親の認知症 = 実家が空き家化に
反対のケースもあるとは思いますが、「父親が死亡し、母親が認知症」の事案が多いと思います。
認知症の母親は一人で暮らすことができなくなり、入居を余儀なくされることで、実家をはじめとした母親の持ち家が空き家状態になることがあります。このような背景で所有している空き家の扱いに悩んでらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
両親が重度の認知症になり、施設に入居した場合、その実家の処分や管理に様々な制約が生じます。どのような問題が生じるのかみていきましょう。
法定後見人制度
法律では、意思能力のない者が売買契約を結んでも無効になると定められています。意思能力とは、自分の行動の結果が法律的にどのような意味を持っているかをある程度認識できる能力のことを指す法律用語で
意思能力のない認知症の親は、法律行為や判断決定は行うことができないとみなされ、認知症によって判断能力がないと親の不動産を子供は勝手に売却することはできません。(ただし、認知症の症状が軽く判断能力が残っていると診断される場合には、売却手続きを進められる可能性もあります。)
問題点① 空き家の管理問題
家は人が済まなくなると劣化が進みます。認知症の親に代わって、子供がその家を管理していかなければいけません。特に空き家が遠方にある場合は管理が相当な負担になります。
問題点② 不動産の自由な活用・運用や移動ができなくなる
法定後見人制度が適用されると子供達は、早く売却して認知症の親の施設代や生活費に充てたいと考えるのが通常ですが、家庭裁判所の手続きに沿って不動産売却を行わなくてはなりません。法定後見人は判断能力が低下した人を保護する制度ですが様々な制約や問題が存在します。「売却の必要性がない」など正当な理由でない場合は却下されるケースもあります。また、法定後見人は家族が勝手に選ぶことができません。
「親の気持ちは子供の私達がよくわかっている。」としても、法定後見人は家庭裁判所が選任しますので、赤の他人が不動産の処分・管理の権利を持つことになれば非常に大きなストレスを伴います。
認知症の軽く判断能力があるとみなされた場合は
一部認知症の症状があったとしても仕業の方と連携し、本人の判断能力に問題がなければ、売却可能と判断してもらえる場合もあります。
しかし、現時点の症状が軽くても今後急速に親の認知症が進行する可能性もゼロではありません。ここで注意しておきたいことは慌てて不動産売却しようとすると、不動産会社などに足元を見られる可能性があるので注意が必要です。
まとめ:今からできる備え
成年後見制度は、本来活用すべきでない家族が利用してしまうと、「理不尽」に感じてしまう事案が多くあります。しかし、既に本人の判断能力がなく、身寄りがなかったり任せられる親族がいないといったケースでは非常にありがたい制度です。
本人が健康で判断能力があれば、成年後見制度の利用は必要ないでしょう。事前の対策として家族信託や任意後見制度、生前贈与の利用も今のうちから選択肢に入れておいたほうがいいでしょう。一度専門家に相談することをおすすめします。
軽度の認知症の場合、家族信託を行う。
様々な制約がある成年後見人制度と違い、家族信託とは、身内に財産を託して、管理や運用を任せる制度です。重度の認知症になったとしても、資産が凍結されず、家族信託を契約しておけば、認知症の症状が進み施設に入居することになっても、売りたいタイミングで不動産売却が可能になります。
任意後見制度
任意後見制度は、まだ認知症ではないけれど、例えば、、認知症になった場合に老後生活・介護費用に充てるために家を売却する契約を、本人が信頼できる任意後見人を決めて、契約をしておく制度です。、将来どういう生活を送りたいのかという本人の希望が反映されます。
家族信託と同様に、任意後見制度も本人が元気なうちに設定しておく必要があります。
成年後見人制度と違い、不動産売却には家庭裁判所の許可は不要です。
生前贈与
不動産所有者である親に十分な判断能力があるうちに、親子間で生前贈与するのも一つの方法です。
しかし、本人の意思能力があったとしても、税金の知識がないまま贈与を行い、多額の贈与税が課せられることも考えらますので、生前贈与には仕業方との連携が必要です。親が認知症の場合、まずは仕業方に相談し、所有権移転登記が行える状態にあるか確認すべきでしょう。
まとめ:家族信託、任意後見人、生前贈与にはメリットがあれば、デメリットもあります。当然費用も必要ですし、すべて法律の解釈で解決しようとすると、後々の親族間のトラブルに発展する可能性があります。「法律ではこうだから」と一方的に法律制度を振りかざすことは摩擦が生じる原因になります。
また、「あなたが認知症になったことについて話をしましょう」と言われて良い気分になる人はいないでしょう。しかし対策されていなくて後に最も困るのは子供たちです。親が認知症になってからでは対策をとることはできません。このような認識があることは空き家を放置しないための社会貢献にもつながります。
ふどうさんのMAGOは名古屋市南区の不動産売却、相続、空き家問題を解決する不動産会社です。
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