空き家の玄関に貼られた一枚の督促状 ~売却相談に来るまでの10年間~

「もっと早く相談すれば良かったんですけどね……。」

名古屋市内にお住まいのAさんは、少し苦笑いしながらそう話されました。

相談に来られたのは、相続した実家についてでした。

築50年以上。

ご両親が亡くなられてから約10年。

誰も住まなくなった空き家です。

しかし、なぜ10年間も放置されていたのでしょうか。

理由を聞くと、多くの方が同じように答えます。

「忙しかったから。」

「そのうちやろうと思っていたから。」

「まだ大丈夫だと思っていたから。」

実はこれ、空き家相談の現場では決して珍しい話ではありません。

むしろ非常によくある話です。

そして、その10年間の終わりを告げたのは、玄関に貼られた一枚の督促状でした。


名古屋市エリアで″売却サポート”に専門特化した
不動産売却のみを取り扱う専門店です。
空き家売却にともなう煩雑なお手続き、
空き家の遺品整理や不要品の買取まで一括してサポートしております。

〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

名古屋市エリアで
″売却サポート”に専門特化した
不動産売却のみを取り扱う専門店です。
空き家売却にともなう煩雑なお手続き、
空き家の遺品整理や不要品の買取まで
一括してサポートしております。

〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

目次

相続した実家

Aさんのご両親は10年前に相次いで亡くなりました。

実家は名古屋市内の住宅街にある木造住宅。

兄弟姉妹は県外に住んでおり、誰も戻る予定はありませんでした。

最初の頃は、

「お盆には集まろう」

「そのうち売却も考えよう」

そんな話も出ていたそうです。

しかし人にはそれぞれ生活があります。

仕事があります。

子育てもあります。

気付けば誰も実家へ行かなくなりました。


「まだ大丈夫」が続いた10年間

固定資産税は毎年支払っていました。

草刈りも年に数回。

近隣から苦情もありませんでした。

だから、

「まだ問題ない。」

そう思っていたそうです。

しかし空き家は静かに傷んでいきます。

雨漏り。

シロアリ。

雑草。

外壁の劣化。

人が住まなくなった家は想像以上のスピードで老朽化します。

現場で何度も見てきました。

住んでいる家と、誰も住んでいない家では傷み方が全く違います。


誰も売却を言い出さない

実は兄弟全員、

「いずれ売却した方がいい」

と思っていました。

しかし誰も言い出しません。

理由は様々です。

長男は、

「親の家を処分するのは申し訳ない。」

妹は、

「遠方だから任せてしまっている。」

弟は、

「そのうち話し合えばいい。」

結果として、

全員が同じ方向を向いているのに何も進まない。

これが相続空き家の怖いところです。


業界の本音

ここで少し厳しい話をします。

不動産業界では、

空き家が放置される理由を

「所有者の問題」

だけで片付けることがあります。

しかし現場で感じるのは違います。

空き家を放置する人の多くは無責任ではありません。

むしろ真面目です。

親を大切に思っています。

実家への思い入れもあります。

だから決断できないのです。

売却はお金の問題ではありません。

感情の問題なのです。


変化は突然やってきた

ある日。

Aさんが久しぶりに実家を訪れました。

すると玄関に一枚の紙が貼られていました。

市役所からの通知でした。

管理不全に関する指導文書です。

庭木が道路にはみ出している。

建物の一部が劣化している。

近隣から相談も入っている。

内容を見た瞬間、

Aさんは初めて現実を感じたそうです。

「放置していても何とかなると思っていました。」

後にそう話されていました。


実家は想像以上に傷んでいた

私たちが現地確認を行った際、

建物はかなり老朽化していました。

屋根の傷み。

床の沈み。

外壁のひび割れ。

庭木の繁茂。

それでも10年前であれば、もっと多くの選択肢があったと思います。

現場ではよく感じます。

空き家は放置期間が長くなるほど選択肢が減ります。

売却価格だけの問題ではありません。

使い方そのものが限定されていくのです。


査定額より大切だったこと

Aさんは最初、

「いくらで売れるでしょうか。」

と質問されました。

もちろん価格は大切です。

しかし今回、本当に重要だったのは価格ではありませんでした。

兄弟全員が、

「もう前へ進もう。」

と決断することでした。

不思議なもので、

気持ちが整理されると話は一気に進みます。

これまで10年止まっていたものが、数か月で動き出しました。


売却後に聞いた言葉

無事に売却が完了した後。

Aさんはこんな話をしてくださいました。

「正直、もっと早く相談すれば良かったです。」

「売ることに罪悪感があったんです。」

「でも、放置することの方が親に申し訳なかったかもしれません。」

その言葉がとても印象的でした。


空き家問題の本当の怖さ

空き家問題というと、

  • 固定資産税
  • 老朽化
  • 相続登記

などが注目されます。

しかし本当に怖いのは、

時間が解決してくれないことです。

むしろ時間が経つほど、

建物は傷みます。

管理は大変になります。

家族の話し合いも難しくなります。

そして選択肢も減っていきます。


空き家マイスターとして伝えたいこと

私はこれまで多くの空き家を見てきました。

その中で感じるのは、

空き家問題は不動産の問題ではなく、

「先送りの問題」

であることです。

売却するか。

残すか。

賃貸にするか。

正解は一つではありません。

しかし放置だけは解決になりません。


まとめ|その一枚の紙が届く前に

今回のご相談者様は、玄関に貼られた一枚の督促状をきっかけに動き出しました。

しかし本来であれば、その前に相談できたはずです。

空き家は突然問題になるわけではありません。

少しずつ、静かに進行していきます。

だからこそ、

「まだ大丈夫。」

と思っている今が、一番大切なタイミングかもしれません。

もしご実家について、

  • 誰も住んでいない
  • 相続後そのままになっている
  • 固定資産税だけ払い続けている

そんな状況であれば、一度現状を整理してみてください。

玄関に督促状が貼られてからではなく、

まだ選択肢が多く残されているうちに。

それが、空き家問題を後悔なく解決する第一歩になるはずです。

目次