こんにちは。
趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。
「家の問題というより、もう兄弟で話せなくなっていて……」
相談に来られた女性は、そう話した後、しばらく黙っていました。
机の上には、実家の固定資産税の通知書、草刈り業者の領収書、雨漏りした天井の写真が並んでいました。
不動産の相談に必要な資料は、ある程度そろっています。
しかし、一番必要なものがありませんでした。
実家をどうするのかについて、兄弟で話せる状態です。
「兄に実家のことを連絡すると、またお金の話かと言われます」
「弟は、メッセージを読んでも返事をしません」
「私も、もう連絡するのが嫌になりました」
家は残っています。
相続人も分かっています。
売却できる可能性もあります。
それでも、不動産は動きません。
愛知県・名古屋市で空き家の相談を受けていると、このようなケースがあります。
最初は、古い建物や売却価格の相談として始まります。
話を聞いていくと、少しずつ見えてくるものがあります。
問題の中心にあるのは、建物ではありません。
親が亡くなった後、誰が何を負担したのか。誰が介護をしたのか。誰が実家から離れ、誰が残ったのか。
そうした家族の時間が、空き家をきっかけに表へ出てきます。
今回は、名古屋市内で実際によくある相談をもとに、「空き家より、止まった家族関係が苦しい」という現実を、できるだけきれいにまとめずにお話しします。
※本記事は複数の空き家・相続不動産の相談経験をもとに、相談者様や物件を特定できないよう、家族構成、所在地、会話、価格、経緯などを再構成しています。
近くに住む長女だけが、実家へ通っていた
実家は、名古屋市内の古い住宅地にありました。
築50年ほどの木造住宅です。
父親が先に亡くなり、母親はその後もしばらく一人で暮らしていました。
相続人は3人。
県外に住む長男。
名古屋市内に住む長女。
遠方に住む次男です。
母親が一人暮らしになってから、病院への送迎や買い物、役所の手続きを手伝ったのは、主に長女でした。
長男と次男も、何もしなかったわけではありません。
お盆や年末には帰省しました。
必要な費用を送ったこともあります。
電話で母親の話を聞くこともありました。
ただ、日常的に実家へ入っていたのは長女でした。
母親が亡くなった後も、その流れは変わりませんでした。
郵便物を確認する。
水道を止める。
冷蔵庫の中を片付ける。
近隣へ挨拶する。
庭の草を切る。
長女は、
「近くに住んでいるから、最初は私がやるのが普通だと思っていました」
と話しました。
問題は、その「最初」が、いつまでも終わらなかったことです。
「家をどうする?」と聞いた日から、会話が変わった
母親の一周忌が終わった頃、長女は兄弟のグループメッセージへ連絡しました。
「実家、これからどうする?」
長男からは、すぐに返事がありました。
「今売ると安いんじゃないか。少し様子を見よう」
次男からは、
「みんなの意見に合わせます」
と返ってきました。
一見すると、話し合いが成立しているように見えます。
しかし、実際には何も決まっていません。
「様子を見る」とは、いつまでなのか。
その間、誰が管理するのか。
固定資産税や草刈り費用を、誰が負担するのか。
建物に問題が起きたら、誰が判断するのか。
長女がもう一度確認すると、長男から電話がありました。
「売ることばかり急がなくてもいいだろう」
長女は、売り急いでいると言われたことが悔しかったそうです。
「私は早くお金が欲しかったわけではありません。これ以上、一人で管理するのが難しいと言いたかっただけです」
同じ「売る」という言葉でも、長男には財産を安く処分する話に聞こえ、長女には管理負担を終わらせる話でした。
最初から、話している内容が違っていたのです。
固定資産税の3分の1より、「なぜ私だけ」が重かった
実家の固定資産税は、長女がいったん立て替えていました。
金額を3人で分ければ、一人当たりの負担はそれほど大きくありません。
長男も次男も、請求すれば払うと言っていました。
しかし、長女が苦しかったのは金額だけではありませんでした。
納付書を確認する人。
期限を覚えている人。
兄弟へ金額を知らせる人。
振込みを確認する人。
領収書を保管する人。
すべて長女です。
庭木が隣地へ伸びれば、連絡を受けるのも長女。
台風が来れば、屋根を心配するのも長女。
郵便受けにチラシがたまれば、取りに行くのも長女でした。
長女は、ある時、長男へこう言いました。
「お金を3分の1払えば、同じだけやっていることになるの?」
長男は、
「そんな言い方をされるなら、勝手にすればいい」
と返しました。
その日から、兄弟の連絡は必要最低限になりました。
🟥 空き家管理の負担は、領収書に残る費用だけではありません。確認し、判断し、連絡し、責任を負う人の負担は、数字に表れにくいものです。
次男は反対しなかった。ただ、返事をしなくなった
次男は、売却に反対していませんでした。
長女にも長男にも、強い意見は言いません。
兄弟が言い争いになると、
「落ち着いてから話そう」
と言いました。
しかし、その「落ち着いてから」は来ませんでした。
次男へ実家の写真や見積書を送っても、既読はつきます。
返事はありません。
長女は、次男が無責任だと思うようになりました。
後になって次男へ話を聞くと、少し違う事情がありました。
「姉の大変さは分かっていました。でも姉に賛成すると、兄を責めることになる気がしました」
「兄に賛成すると、姉へ全部押し付けることになる。何と返しても誰かを怒らせるので、返事ができませんでした」
次男は、関心がなかったのではありません。
どちらの側にも立てず、沈黙することを選んでいました。
その沈黙が、長女には無関心に見えました。
家族の中では、何も言わないことも一つの意思表示になります。
そして、説明されない沈黙は、相手によって最も悪い意味に解釈されることがあります。
実家へ行くと、母親の介護まで思い出してしまう
長女は、次第に実家へ行くことが苦しくなりました。
建物が古いからではありません。
家へ入ると、母親を介護していた頃のことを思い出すからです。
居間の椅子。
薬を並べていた小さな箱。
病院の予定を書いたカレンダー。
夜中に母親から電話があり、急いで駆けつけた玄関。
兄弟へ助けてほしいと言えなかった自分の気持ちまで戻ってきます。
草刈りのために実家へ行っただけなのに、帰る頃には疲れ切っていました。
「家を見ると、あの頃に戻るんです。だから、行かなければと思うほど行けなくなりました」
周囲からは、近くに住んでいるのだから見に行けると思われます。
物理的な距離は近くても、心理的な距離は遠くなっていました。
「売る=親をなかったことにする」と感じた長男
一方、長男には長男の事情がありました。
長男は、若い頃に父親と折り合いが悪く、早く実家を出ています。
母親が亡くなる前も、頻繁には帰っていませんでした。
本人の中には、そのことへの後悔がありました。
実家を残したいというより、すぐに売ることで、親との関係を取り戻せないまま終わらせることが怖かったのだと思います。
長男は、
「土地はこれから上がるかもしれない」
「慌てて売る必要はない」
と話していました。
もちろん、価格を心配していたのも事実です。
しかし、それだけではありませんでした。
後に長男は、
「売ってしまったら、自分は親に何もしなかったまま、家まで手放したことになる気がした」
と話しました。
売却へ反対する理由が、いつも経済合理性だけとは限りません。
価格の話をしているようで、実際には罪悪感の話をしていることがあります。
3人が集まったのは、売却のためではなく近隣からの連絡がきっかけだった
空き家になって数年が経った頃、隣地の方から長女へ連絡が入りました。
庭木の枝が越境し、雨どいにも落ち葉がたまっているという話でした。
強い苦情ではありませんでした。
しかし、長女は限界を感じました。
兄弟のグループメッセージへ、写真と一緒に送りました。
「もう私一人では対応できません。3人で現地を見たいです」
長男は、仕事が忙しいと言いました。
次男は、交通費と日程の問題を伝えてきました。
長女は、
「また私がやるんですね」
とだけ返しました。
そのメッセージを見て、次男が初めて電話をかけてきました。
結果として、3人は母親の三回忌以来、久しぶりに実家へ集まりました。
久しぶりの実家で、最初に始まったのは査定の話ではなかった
3人が集まった日、不動産会社へ相談する前に、家の中を確認することになりました。
長男は、建物の状態を見て驚きました。
天井には雨染みがあります。
台所の床は、一部が柔らかく感じられました。
押し入れには湿気がこもり、衣類にカビが出ています。
長女は、
「前から写真を送っていたでしょう」
と言いました。
長男は、
「ここまでとは聞いていない」
と返しました。
次男は、2人の間に入りました。
すると、長女が突然、空き家とは別の話を始めました。
母親の介護中、兄弟へ何度連絡してもすぐに来てもらえなかったこと。
施設を探したのも、病院と話したのも自分だったこと。
母親が亡くなった後の手続きも、ほとんど自分がしたこと。
長男は、
「その分、母さんから生前にお金を受け取っていたんじゃないのか」
と言いました。
長女は、介護費用として預かったお金だと反論しました。
数年前の通帳、介護費、親からの援助。
実家の売却とは直接関係しない話まで出てきました。
3人は、その日、売却について何も決められませんでした。
しかし、それまで口にしなかったことを、初めて口にしました。
話し合いは成功しませんでした。
それでも、沈黙のままよりは、何が止めていたのかが少し見えました。
不動産会社へ相談すれば家族を説得してくれる、という誤解
長女から最初にご相談を受けたとき、こう言われました。
「査定を出してもらえば、兄も現実を見ると思うんです」
長女は、価格が分かれば売却へ進めると考えていました。
しかし、私は査定額だけでは解決しないと感じました。
仮に高い査定額を出せば、長男は、もっと待てばさらに上がると考えるかもしれません。
低い査定額を出せば、安売りしようとしていると疑うかもしれません。
次男は、また判断を避ける可能性があります。
不動産会社は、売却方法や価格、物件上の問題を整理できます。
しかし、どの兄弟が正しいかを決める立場ではありません。
過去の介護負担や親子関係を裁くこともできません。
🟨 不動産会社が家族を説得すれば解決する、とは限りません。説得されたと感じた人が、さらに話し合いから離れることもあります。
必要なのは、全員を同じ意見に変えることではありません。
意見が違うままでも、判断に必要な事実を共有できる状態をつくることです。
最初に査定価格を出さなかった理由
私は、最初の面談で確定的な査定価格を示しませんでした。
先に確認したのは、次のことです。
- 現在の登記名義
- 遺産分割の内容
- 固定資産税や管理費の負担状況
- 建物と残置物の状態
- 道路、境界、越境の可能性
- 3人がそれぞれ心配していること
- 売る場合と保有する場合の負担
すると、不動産にも確認事項が見つかりました。
建物には、登記と現況が一致しない可能性のある増築部分がありました。
境界標の一部は確認できません。
庭木だけでなく、古い物置も隣地境界に近接しています。
つまり、「すぐ売るか、残すか」の二択ではありませんでした。
調査せず売り出すことも危険です。
一方、すべてを売主側で直してから売る必要があるとも限りません。
古家付きで売るのか。
解体するのか。
買取も比較するのか。
境界確認をどこまで行うのか。
家族の合意と、不動産の調査を並行して進める必要がありました。
3人へ別々に聞いた「何を一番避けたいですか」
3人が同じ場で話すと、すぐ過去の話になります。
そこで最初は、それぞれへ別々に希望を確認しました。
「いくらで売りたいですか」ではなく、
「この先、何が起きることを一番避けたいですか」
と聞きました。
長女は、
「近隣へ迷惑をかけ、また私だけが連絡を受けることです」
と答えました。
長男は、
「よく分からないまま安く売り、後から後悔することです」
と答えました。
次男は、
「売却後に、兄弟の誰かが騙されたと言い出すことです」
と答えました。
3人とも、重視しているものは違いました。
しかし、共通点もありました。
誰も、実家を放置し続けたいとは思っていませんでした。
誰も、他の兄弟へ損をさせたいとは思っていませんでした。
言葉にすると対立していても、避けたい未来から見ると、同じ方向を向いている部分がありました。
「売る・残す」の前に、保有を続けた場合を見えるようにした
家族会議では、売却査定だけでなく、保有を続けた場合の負担も並べました。
- 年間の固定資産税
- 草刈り・庭木剪定費
- 火災保険や最低限の管理費
- 雨漏りへの応急対応
- 近隣から連絡が入った場合の担当者
- 今後、建物の状態が悪化する可能性
- 誰か一人へ判断が集中する問題
ここで重要だったのは、お金だけではありません。
長女一人を管理窓口にしないために、続けるなら3人で役割を決める必要があります。
長男が保有を希望するなら、点検や費用負担をどこまで引き受けるのか。
次男が判断を保留するなら、いつまでに返事をするのか。
曖昧な「しばらく残す」を、具体的な行動へ置き換えました。
長男は、その一覧を見て、
「残すと言うだけで、管理する方法まで考えていなかった」
と話しました。
想定外だったのは、一番反対していた長男が買取を聞いたこと
調査後、売却方法を3つに分けて説明しました。
- 古家付きのまま一般市場で売る
- 建物を解体し、土地として売る
- 現況のまま不動産会社へ買い取ってもらう
長女は、なるべく早く終わる買取を希望すると思っていました。
しかし長女は、
「急いで安く売ったと言われたくないので、まず市場で売る方法を知りたい」
と言いました。
反対に、価格へこだわっていた長男が、
「現況買取なら、家財や建物の責任はどこまでなくなるのか」
と質問しました。
長男は現地を見て、遠方から管理へ関わる難しさを初めて実感していました。
役割が入れ替わったのです。
人の希望は、立場や情報が変われば変わります。
最初の発言だけで、
「兄は売却反対」
「姉は早く処分したい」
と決めつけていたら、この変化は見えませんでした。
売却方針が決まった後、介護費の精算で再び止まった
3人は、一定期間、古家付きで販売し、条件が合わなければ買取も比較する方針で合意しました。
ようやく進み始めたように見えました。
しかし、媒介契約の直前に長男から連絡がありました。
「売却代金を3分の1ずつにする前に、母の生前のお金を確認したい」
再び、介護費と生前の資金援助の話が出ました。
長女は、
「また私が疑われるなら、もう売却から降りたい」
と話しました。
不動産会社だけで判断できる問題ではありません。
過去の通帳、領収書、遺産分割協議の内容を確認し、必要に応じて司法書士や税理士等へ相談するようお伝えしました。
売却活動は、一時停止しました。
現場では、売却方針が決まった後に、過去の相続や費用負担が問題になることがあります。
「家を売ればお金が入る」と具体的になった瞬間、それまで曖昧だった不公平感が表へ出るからです。
兄弟が仲直りしたわけではない
資料を確認し、専門家にも相談した結果、法律上・税務上の整理と、家族が感情的に納得できることは別だと分かりました。
長男は、すべての疑問が消えたわけではありません。
長女も、過去の介護負担を理解してもらえたとは感じていませんでした。
次男も、兄弟の間へ入ることを今でも負担に感じています。
3人が昔のように仲良くなったわけではありません。
ただ、次の約束だけは決めました。
- 不動産に関する連絡には、3日以内に返事をする
- 反対する場合は、反対理由と代案を伝える
- 費用は事前に3人へ共有する
- 長女だけを近隣対応の窓口にしない
- 購入申込みは、条件を書面で3人が確認する
家族の気持ちは解決していません。
それでも、不動産を動かすための連絡はできるようになりました。
🟩 相続不動産の解決は、家族全員が同じ気持ちになることではありません。違う気持ちのままでも、必要な判断と連絡ができる状態をつくることがあります。
買主が現れた後に、長女が初めて言ったこと
販売開始後、古い建物の状態と必要な調査内容を理解したうえで検討する買主様が現れました。
価格は、長男が最初に期待していた金額より低いものでした。
一方、現況のまま引き渡せる部分や、売主側の負担を抑えられる条件が含まれていました。
3人は、価格だけでなく、残置物、測量、引渡時期、契約上の責任を比較しました。
長男は、もう少し待つ案も検討しました。
次男は、現在の条件で進めることを希望しました。
最後に長女が言いました。
「私は早く売りたかったんじゃないです。私だけが実家の責任者になっている状態を終わらせたかったんです」
長男はすぐには答えませんでした。
しばらくして、
「そのことは、分かっていなかった」
とだけ言いました。
謝罪でも、和解でもありません。
しかし長女にとっては、初めて負担の中身が伝わった瞬間でした。
3人は、条件を確認したうえで売却を進めることにしました。
引渡し後も、家族関係は簡単には戻らない
家財整理の日、3人全員が集まることはありませんでした。
長男は先に必要な物を確認しました。
次男は、残してほしい写真を指定しました。
長女は最後まで現地に立ち会いました。
仏壇、写真、母親の手紙。
誰が何を引き取るのかを決めました。
処分業者の車が出た後、家の中は驚くほど広く見えました。
長女は、
「物がなくなったら、母の家ではなくなった感じがします」
と話しました。
引渡しが終わっても、兄弟が頻繁に連絡を取り合うようになったわけではありません。
介護中の出来事が消えたわけでもありません。
ただ、実家から連絡が来ることを恐れなくてよくなりました。
台風のたびに屋根を心配する必要もありません。
固定資産税の通知を見て、兄弟へ連絡する役目も終わりました。
長女は、
「家を売ったら寂しくなると思っていました。でも今は、少し静かになった感じです」
と言いました。
空き家を手放すことが、家族関係を修復するとは限りません。
しかし、家族の間で繰り返されていた一つの負担を終わらせることはできます。
実務と現実のギャップ|共有者全員の同意だけでは足りない
不動産実務では、共有不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。
そのため、
「全員が売却に賛成していますか」
と確認します。
しかし、全員が「売ってもよい」と答えても、実際の手続きが進むとは限りません。
売出価格。
値下げ。
測量費。
残置物。
契約条件。
引渡時期。
購入申込みが入るたびに、新しい判断が必要です。
表面的な同意の下に、未整理の感情が残っていると、契約直前で止まることがあります。
必要なのは、「売却に賛成」という一言だけではありません。
次の判断を誰が、どのように決めるかまで確認しておくことです。
家族が話せないとき、不動産会社にできること・できないこと
できること
- 不動産の現状を調査する
- 売却方法と費用を比較する
- 査定の根拠を示す
- 維持した場合の負担を整理する
- 購入申込みや条件を全員へ同じように伝える
- 司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁護士等との連携先を案内する
- 話し合いに必要な資料をそろえる
できないこと
- 誰が正しいかを決める
- 過去の介護負担を評価して相続分を決める
- 感情的な対立を法律問題として勝手に処理する
- 連絡の取れない人に代わって意思表示する
- 家族の一人だけの希望で共有不動産全体を処分する
- 必ず仲直りさせる
不動産会社が間に入れば、すべての家族問題が解決するわけではありません。
むしろ、不動産会社が強引に結論を急げば、誰かが排除されたと感じ、関係がさらに悪くなることがあります。
役割は、家族の感情を評価することではなく、少なくとも不動産に関する事実と選択肢を、全員が同じ状態で確認できるようにすることだと考えています。
誰も実家の話をしなくなったとき、最初に決めたい5つのこと
1.売るかどうかではなく、誰が困っているかを確認する
管理、費用、近隣対応、感情など、困っている内容は人によって違います。
2.これまでの負担を一度書き出す
固定資産税、草刈り、修繕だけでなく、現地確認や連絡を担った人も含めて整理します。
費用の精算方法は、必要に応じて専門家へ確認します。
3.反対する人へ、代案を聞く
売却へ反対すること自体が悪いわけではありません。
残す場合に、誰が管理し、費用を負担し、いつ再検討するのかを具体化します。
4.連絡期限を決める
「考えておく」ではなく、いつまでに返事をするかを決めます。
5.全員が同じ資料を見る
査定書、見積書、写真、購入申込書を一部の人だけが持たないようにします。
情報の差は、不信感につながります。
「話し合い」は、全員で同じ部屋に集まることだけではない
家族関係が悪化している場合、最初から全員を同席させると、過去の話だけで終わることがあります。
電話、メール、オンライン面談などを使い、別々に希望を確認する方法もあります。
大切なのは、誰か一人を説得役にしないことです。
近くに住む人だけが資料を集め、兄弟を説得し、反対意見を受け止め続ける形では、また負担が集中します。
一方、相続分、遺産分割、使途不明金、共有物の管理などについて具体的な紛争がある場合は、不動産会社だけで進めず、弁護士や司法書士等へ相談する必要があります。
話し合いと法的整理を混同しないことも大切です。
まとめ|家を動かす前に、家族が連絡できる状態をつくる
空き家には、時計が止まったままの部屋があります。
閉じたカーテン。
使われない食器。
親が最後に座った椅子。
しかし、本当に止まっているのは、家だけではないことがあります。
実家の話をすると空気が悪くなる。
誰も最初に連絡しない。
管理している人だけが疲れていく。
遠方にいる人は、何を言っても責められる気がして黙る。
売却へ反対する人も、家を残したいのではなく、親への後悔を終わらせることが怖い。
誰も悪くないまま、関係だけが止まっていきます。
だからといって、不動産会社が家族を仲直りさせられるとは言えません。
過去の気持ちを、査定価格で解決することもできません。
できるのは、今の状態を調べること。
費用と選択肢を見えるようにすること。
一人へ集中している負担を言葉にすること。
誰が、いつまでに、何を判断するかを決めること。
そして、必要であれば適切な専門家へつなぐことです。
家族全員が同じ気持ちになる必要はありません。
売却後に、昔のように仲良くなる必要もありません。
まずは、不動産に関する必要な連絡へ返事ができる状態をつくる。
それだけでも、長く止まっていた実家は動き始めることがあります。
🟥 空き家で最も苦しいのは、古い建物を持っていることではなく、その家の話を家族の誰ともできなくなることかもしれません。
🟩 解決の第一歩は、売却を決めることではありません。誰が何に困り、何を恐れているのかを、結論を急がず確認することです。
名古屋市・愛知県で、実家のことを家族と話せなくなっている方へ
ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、相続後そのままになっている空き家、兄弟間で売却方針が決まらない不動産、共有名義、家財が残った実家、再建築や境界に確認が必要な土地などの相談をお受けしています。
次のような段階でも構いません。
- 実家の話をすると兄弟が黙ってしまう
- 一人だけが固定資産税や管理費を負担している
- 売却に反対する家族がいるが、理由を聞けない
- 家族全員が売却には賛成しているのに手続きが進まない
- 過去の介護負担や相続の話が再び問題になっている
- 共有者の一人から返事がない
- 荷物が残り、誰が何を引き取るか決められない
- 不動産会社へ相談したことを、兄弟へどう伝えるか迷っている
最初からご家族全員で来ていただく必要はありません。
また、すぐに売却を決める必要もありません。
まず、登記、建物、道路、境界、残置物、維持費、売却方法を整理し、ご家族へ何を伝える必要があるかを確認します。
ただし、遺産分割、相続分、金銭の使途、共有物の管理などについて具体的な紛争がある場合は、不動産会社だけで判断せず、弁護士、司法書士、税理士などへの相談をご案内します。
家族の問題を、不動産会社だけで解決できるとは考えていません。
それでも、実家について話すための事実と選択肢をそろえることで、止まっていた連絡が少し動くことはあります。
対応エリア
名古屋市南区・港区・緑区・瑞穂区・熱田区・昭和区・天白区・中川区・中村区・中区・千種区・名東区・守山区・北区・西区・東区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。
※共有不動産全体の売却、相続人間の権利、遺産分割、管理費用の負担などは、登記・契約・協議内容や個別事情によって異なります。必要に応じて弁護士、司法書士、税理士、土地家屋調査士などへご確認ください。
※本文は複数の相談・実務経験をもとに、相談者様および物件を特定できないよう、家族構成、所在地、年数、会話、問題の経緯などを再構成したものです。


