んにちは。
街歩き空き家マイスターの保木です。
春の陽気を感じながら、今日は名古屋市緑区の街を歩いています。
街中では桜が咲き、ハクモクレンも満開の季節になりました。
上を見上げれば美しい花々が目に入りますが、足元を見ると踊子草やカタバミなど、小さな草花も春の訪れを知らせています。
街歩きをしていると、ふと気になる建物があります。
「こんなに良い場所にある家なのに、なぜ何年も使われていないのだろう」
そのように感じる空き家は決して珍しくありません。
現在、日本全国で空き家問題が社会問題として取り上げられています。しかし、私は空き家という存在そのものが「悪いもの」だとは考えていません。
なぜなら、空き家には本来、その地域や次の世代につながる可能性が残されているからです。
住宅として再利用する。
リノベーションして新しい住まいに生まれ変わる。
店舗や事務所として活用する。
土地として新しい利用方法を考える。
空き家には、まだ眠っている価値があります。
しかし現実には、利活用されず長期間放置されている空き家も数多く存在します。
では、なぜ空き家は有効活用されないのでしょうか。
その背景には、
・相続問題
・所有者の高齢化
・認知症による判断能力の低下
・親族間の意見対立
・費用負担への不安
・売却方法が分からない
など、単純な「建物の問題」ではなく、人と家族の問題が大きく関係しています。
今回の記事では、空き家を有効活用していくために、所有者が最低限知っておきたい空き家売却の基礎知識と、空き家問題を解決するための考え方について解説していきます。
空き家問題は「建物」ではなく「意思決定」の問題
空き家を見ていると、多くの方は、
「古いから売れないのではないか」
「価値がないから放置するしかない」
と思われることがあります。
しかし、実際に空き家問題に向き合っていると感じることがあります。
それは、空き家が残り続ける最大の理由は、建物の老朽化ではなく、
所有者が次の一歩を決められないこと
です。
例えば、
「両親が苦労して購入した家だから手放せない」
「思い出が詰まった実家を売ることに罪悪感がある」
「兄弟と話し合いができない」
「いつか誰かが使うかもしれない」
このような気持ちは決して珍しいものではありません。
空き家問題は、法律や不動産だけでは解決できません。
そこには必ず、
「家族の思い」
「故人への想い」
「将来への不安」
が存在しています。
空き家の利活用が進まない7つの理由
① 思い出が詰まった家を手放せない
空き家所有者からよく聞く言葉があります。
「売れば良いことは分かっている。でも簡単には決断できない」
という言葉です。
実家とは単なる建物ではありません。
そこで家族が暮らした時間、思い出、成長の記憶が詰まっています。
第三者から見れば古い住宅でも、所有者にとっては大切な人生の一部です。
そのため、売却という選択肢に心理的な抵抗を感じる方は多くいます。
②解体費用の思い込みが空き家の判断を遅らせる
空き家所有者様から、よく耳にする言葉があります。
「建物を壊したいけれど、解体費用を出す余裕がありません」
「古い家だから売るには解体しないといけないと思っています」
このような相談は決して珍しくありません。
しかし、ここで一度考えていただきたいことがあります。
本当に、その空き家は「先に解体費用を負担しなければ売却できない物件」なのでしょうか。
実際には、空き家の立地や土地の価値、市場性によって状況は大きく異なります。
特に名古屋市内など一定の需要があるエリアでは、建物が古くても土地としての価値が認められるケースがあります。
その場合、売却代金の中から解体費用を精算する方法もあります。
例えば、
・古家付き土地として売却する
・買主側で解体を行う条件で契約する
・売却代金から解体費用相当額を調整する
など、所有者様が事前に数百万円単位の解体費用を準備しなくても進められる可能性があります。
もちろん、すべての空き家が同じように売却できるわけではありません。
しかし、「解体費用がないから売れない」と最初から決めつけてしまうことで、本来活用できたはずの不動産が長期間放置されてしまうことがあります。
問題は解体費用ではなく、正しい情報を得る前に判断を止めてしまうことなのです。
③ 相続人同士の意見がまとまらない
空き家問題で特に多いのが相続による問題です。
例えば、
「兄は思い出があるから残したい」
「姉は賃貸にしたい」
「妹は売却したい」
このように、相続人それぞれの考え方が違うことがあります。
不動産は現金と違い、簡単に分割できません。
そのため、話し合いが進まないまま年月だけが経過し、結果として空き家になってしまうケースがあります。
④ 管理できないまま放置してしまう
空き家管理は想像以上に負担があります。
・定期的な換気
・庭の草刈り
・郵便物の確認
・雨漏り確認
・近隣への配慮
遠方に住んでいる相続人や、高齢になった所有者にとって管理は大きな負担になります。
「いつか整理しよう」
と思っている間に、数年経過してしまうことも珍しくありません。
⑤ 市場価値があるため、所有者が焦っていない
空き家問題というと、
「価値がないから放置されている」
と思われがちです。
しかし、実際の現場では少し違った事情があります。
駅から近い土地、住宅需要がある地域、将来的な資産価値が期待できるエリアでは、空き家であっても一定の市場価値があります。
所有者自身も、
「売ろうと思えば売れる」
「土地として価値があるから、急いで手放す必要はない」
と考えているケースがあります。
これは決して間違った判断ではありません。
不動産は所有しているだけでも資産であり、将来的な相続や資産形成の選択肢になる場合もあります。
しかし一方で、時間が経過することで問題が複雑化することがあります。
例えば、
・所有者本人が高齢になる
・認知症によって判断能力が低下する
・相続が発生し、相続人が増える
・共有名義になり意思決定が難しくなる
・建物の老朽化が進む
などです。
「今は問題ない」
と思っていた空き家が、数年後には家族にとって大きな負担になることがあります。
特に注意したいのは、不動産の価値と「動かしやすさ」は別問題だという点です。
市場価値がある不動産でも、所有者の判断能力や相続関係に問題が発生すると、売却や活用が簡単に進まなくなることがあります。
空き家問題の本質は、
「価値がない家が残ること」だけではなく、「価値があるうちに活用や処分の判断ができなくなること」
にもあります。
特に名古屋では「売れることは分かっているが、今すぐ売る必要がない」というケースが当てはまると思います。
認知症と空き家問題の関係|なぜ親が元気なうちの準備が重要なのか
空き家問題を語る上で、切り離すことができない大きな要素があります。
それが「認知症」と「不動産の管理・処分」の問題です。
近年、街を歩いていると、立地条件が良く、まだ十分活用できそうな住宅が長期間空き家になっているケースを見かけます。
「なぜ、この場所の家が放置されているのだろう」
そう感じる空き家の背景を調べていくと、単純に「売りたくない」「管理を怠っている」という理由だけではありません。
所有者である親が高齢になり、認知症を発症したことで、不動産について家族が自由に判断できなくなっているケースがあります。
空き家問題の裏側には、
「家はある。しかし、動かすことができない」
という現実があります。
親が認知症になると、なぜ空き家になるのか?
例えば、次のような流れです。
父親が亡くなる
↓
母親が実家を相続する
↓
その後、母親が認知症になる
↓
施設へ入居する
↓
実家が空き家になる
このようなケースは決して珍しくありません。
子供としては、
「誰も住まないなら売却して、母親の介護費用に充てたい」
「空き家の管理負担を減らしたい」
と考えます。
しかし、ここで大きな壁が発生します。
それは、
所有者本人の意思確認ができなければ、不動産売却ができない
という問題です。
認知症になった親の家を子供が勝手に売却することはできない
よくある誤解があります。
「親のことは子供である自分が一番理解しているから、代わりに売却できるのではないか」
という考えです。
しかし、不動産売却は非常に重要な法律行為です。
売買契約を締結するには、所有者本人に、
「この家を売却する」
「売却によって所有権が移転する」
という内容を理解する判断能力が必要になります。
認知症によって判断能力が低下している場合、本人の意思確認ができず、売却手続きを進めることが難しくなります。
つまり、
家族だから自由に処分できるわけではありません。
ここが、認知症と空き家問題が深く関係する大きな理由です。
成年後見制度を利用すれば売却できる場合もある
認知症などにより判断能力が低下した場合、選択肢の一つとして成年後見制度があります。
成年後見制度とは、判断能力が十分でない本人に代わり、財産管理や法律行為を支援する制度です。
家庭裁判所によって成年後見人が選任されることで、不動産売却などの手続きを進められる可能性があります。
ただし、成年後見制度には注意点もあります。
例えば、
・家庭裁判所への申立てが必要
・必ず家族が成年後見人になれるとは限らない
・売却には本人の利益になる明確な理由が求められる
・手続きや時間が必要になる場合がある
という点です。
子供としては、
「母親のために家を売却したい」
と思っていても、家庭裁判所の判断や手続きを経なければならないことがあります。
親が元気なうちに準備することの重要性
認知症による空き家問題で最も重要なのは、
認知症になってから考えるのではなく、なる前に準備すること
です。
親が元気で判断能力がある時期であれば、選択できる方法は増えます。
例えば、
家族信託
家族信託とは、財産を管理できる人をあらかじめ決めておく仕組みです。
親が所有者でありながら、子供など信頼できる家族に管理や処分を任せることができます。
将来的に、
「施設入居のために自宅を売却したい」
という場合にも対応しやすくなります。
任意後見制度
任意後見制度は、本人が元気なうちに、
「将来判断能力が低下した場合、誰に財産管理を任せるか」
を決めておく制度です。
本人の希望を反映できる点が特徴です。
生前に家族で話し合う
制度だけではなく、家族間のコミュニケーションも重要です。
「認知症になったらどうするのか」
という話題は、親にとって決して気持ちの良い話ではありません。
しかし、何も準備しないまま判断能力が低下してしまうと、結果的に家族が大きな負担を抱えることになります。
認知症による空き家問題は「不動産」ではなく「家族の問題」
空き家問題というと、
「古い建物だから」
「人口減少だから」
という視点で語られることが多くあります。
しかし、現場で感じる空き家問題の本質は、それだけではありません。
そこには必ず、
・親への想い
・実家への愛着
・兄弟姉妹との関係
・将来への不安
があります。
「売ればいい」
「壊せばいい」
という簡単な問題ではありません。
所有者本人の気持ち、家族の関係、法律上の問題を整理しながら、一つずつ解決していく必要があります。
利活用が進まない7番目の理由。誰に相談すればよいかわからないことが、空き家を長期化させる
特に名古屋では空き家所有者様から、よく聞く言葉があります。
「どこに相談したらいいのかわかりませんでした」
「不動産会社に相談すると、すぐ売却を勧められそうで不安でした」
「解体業者に相談するべきなのか、役所なのか、専門家なのか判断できませんでした」
名古屋で感じるリアルな現実です。
空き家問題が解決しない大きな理由の一つに、最初の相談先がわからないという問題があります。
空き家を所有すると、多くの方は初めて経験する問題に直面します。
例えば、
・売却できるのか知りたい
・建物を残したほうがよいのか解体したほうがよいのか知りたい
・相続登記が済んでいない
・家財道具をどう処分すればよいかわからない
・税金や維持費が心配
・親族間で意見がまとまらない
このように、問題が一つではないため、「まず誰に相談するべきなのか」が分からなくなってしまいます。
空き家相談で大切なのは、売却ありきではなく選択肢を知ること
空き家について相談するとき、最初から「売却するかどうか」を決める必要はありません。
大切なのは、
「この家にはどのような選択肢があるのか」
を知ることです。
例えば、
・そのまま活用できるのか
・リフォームやリノベーションの可能性があるのか
・賃貸として利用できるのか
・土地として売却するべきなのか
・解体したほうがよいのか
不動産は一つとして同じものはありません。
同じ築年数の住宅でも、立地や道路条件によって価値は大きく変わります。
「古いから価値がない」
「解体しなければ売れない」
という思い込みだけで判断してしまうと、本来持っている可能性を失ってしまうことがあります。
相談先を間違えるより、まず情報を集めることが大切
空き家問題では、状況によって相談先は変わります。
相続関係であれば司法書士や弁護士、税金であれば税理士、建物の状態であれば建築士、売却や市場価値の判断であれば不動産会社など、それぞれ専門分野があります。
しかし、最初からすべての専門家を探すことは容易ではありません。
だからこそ、まずは空き家の現状を整理し、所有者様自身が選択肢を知ることが重要です。
情報を得ることで、
「売るしかないと思っていたけれど、活用方法があった」
「解体費を先に準備しなくても売却できる可能性があった」
「相続問題を整理してから進めればよかった」
という新しい判断ができるようになります。
空き家問題の第一歩は「相談する勇気」ではなく「知ること」
空き家を放置している方の多くは、問題を軽視しているわけではありません。
むしろ、
「どうすればよいかわからない」
「間違った判断をしたくない」
という思いから、時間だけが過ぎてしまうケースが多いのです。
空き家は時間が経過するほど、建物の劣化、相続人の増加、権利関係の複雑化など、解決へのハードルが高くなる可能性があります。
だからこそ、売却を急ぐ必要はありませんが、まず現在の状況を把握することが大切です。
空き家問題の解決は、いきなり答えを出すことではなく、正しい情報を得ることから始まります。
街歩き空き家マイスターが感じる現実
空き家は「問題」になる前に向き合うことが大切
空き家は、時間が経過するほど解決が難しくなる傾向があります。
建物の老朽化、相続人の増加、権利関係の複雑化など、時間の経過によって新たな問題が発生することもあります。
しかし、空き家は決して「負の財産」だけではありません。
正しい情報を得て、家族で話し合い、適切な選択肢を選ぶことで、新しい価値を生み出す可能性があります。
街を歩いていると、長年閉ざされたままの住宅を見ることがあります。
その一軒一軒には、必ず誰かの人生や家族の歴史があります。
だからこそ私は、空き家を単なる「処分すべきもの」として見るのではなく、
「これからどう活かしていくかを考える不動産」
として向き合うことが大切だと感じています。
空き家問題の解決は、売却や解体から始まるのではありません。
まずは現状を知ること。
そして家族で話し合い、選択肢を知ること。
そこから、本当の意味での空き家対策が始まるのだと思います。
ふどうさんのMAGOは名古屋市エリアを中心に不動産売却、空き家問題を専門とする不動産会社です。、専門家のアドバイスと革新的なアイディアで、お客様の悩みを解決いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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