こんにちは。街歩き空き家マイスターの保木です。季節は寒暖差がありますが名古屋の街は桜が咲き、ハクモクレンも満開になりました。桜もきれいですが、下を見ると踊子草やカタバミも奇麗です。 今日は春の陽気を感じながら緑区を街歩きです。
人口減少とともに全国的に増加の一途を辿る空き家問題。しかし、空き家は新しい活用方法を提案することで新たな価値を生む可能性があります。空き家に対する負のイメージからプラスの創造へ。本来空き家はポテンシャルを秘めたマーケットにもかかわらず、昨今の空き家に対するネガティブキャンペーンの一人歩きには違和感すら感じております。
この記事では空き家を有効活用していく前提として最低限しっておきたい空き家売却の予備知識をお伝えしながら読者の空き家に対しての関心を高めていきます。空き家売却の意思決定に役立つヒントを提供し、当ホームページの空き家コラムを読めば空き家に対する価値観が変わることでしょう。
其の上で空き家の売却は、空き家の売却以前に、相続や税金、残置物の存在などの問題を解消しなければならないことも少なくありません。空き家の課題や問題は千差万別のため、相談先に迷ってしまうこともあるでしょう。
空き家売却はどこに相談すればいい?
空き家の売却を検討している方にとって最適な相談先は不動産会社でしょか?筆者はそうは思いません。しかし、売却の前にリサーチをしていくと基本的には不動産会社への対応に行きつきます。
空き家であっても不動産売買の仲介に必要な重要事項書面や重要事項説明は、宅地建物取引士の独占業務です。しかしの売却の際に、「リフォームしたほうがよい」「建物を解体して更地にしたほうが高く売れる」など、助言をしてくる不動産会社もありますが、リノベーションをしなくても、十分に需要が見込める場合もあります。 また最初から売却ありきで対応する不動産会社には注意が必要です。
【不動産会社に相談する際の注意点】
空き家売却を不動産会社に相談するのはよいですが、不動産売買の仲介には不動産会社が必要であって、安易に選ぶのは避けるべきです。
①相談は最初から売却や買取りの話は避け、空き家を活かすにはどういう形がよいか、担当者に尋ねてみましょう。空き家を最大限に活かす様々な提案ができる会社、担当者かどうかを見極めるポイントになるでしょう。
②不動産会社には得意分野があります。不動産会社は売買の仲介に必要な独占的な業務を行いますが、すべての不動産会社が空き家の相談に適切に対応できるとは限りません。なかんずく、築古物件の取り扱いは時には経験とスキルが必要になります。空き家に精通した会社、担当者かどうかを見極めることも大切です。
【不動産会社に相談するメリット】
①「とにかく早く売りたい」「管理が大変なので一刻も手放したい」という場合は、不動産会社への相談が最も現実的です。
②「築古で建物に価値がない」「建物が古すぎて売れない」と思っていても、不動産会社に相談することで売主の目線以外の部分を評価してくれる場合があり、思ったよりも高めに売れることもあります。
自治体
ほとんどの自治体は空き家相談窓口を開設しています。サポート内容も自治体によって異なりますが、空き家の解体や残置物撤去などに補助金を交付している自治体も多く見られます。筆者はまず、不動産会社に相談をするよりも、自治体への相談をおすすめします。当然、自治体の「空き家」に対しての取り組みには温度差があります。期待はして相談にいったけど、「期待を裏切られてしまった」というケースもあると思います。自治体の担当者の対応も様々、マニュアルな回答ばかりで、時間と労費ばかりかかってしまうこともあるでしょう。
自治体の利用目的は空き家売却のアドバイスや、空き家利活用などの情報を得ることを期待するのではなく、自治体に相談することで、所有者の「空き家」に対するアンテナが張ることができる というこという点です。アンテナが張ることで、様々な情報が蓄積されることでしょう。そして、インプットした情報は心の余裕につながります。心の余裕から生み出される産物は、その後の不動産会社との交渉に大きく役に立ちます。売却前のリサーチとして積極的に活用すると良いでしょう。
空き家を売却する場合の3つの方法
仲介による空き家の売却も1つではありません。空き家の状況や地域のニーズを踏まえ、中古物件として売るか、土地として売るか、そして更地にして売るかを検討しましょう。
中古物件として売却
最も手間や費用がかからず、高く売れることに期待できるのは、現状のまま中古物件として売却する方法です。ただし、現状のまま売却できるかどうかは、状態や市場状況などにもよります。
古家付き土地として売却
相続した空き家を売却する場合、中古住宅として売却することも可能ですが、古い建物になると価値がつかないことがあります。このような場合、古家付き土地(ふるやつきとち)として売却するほうが売りやすいかもしれません。建物に価値がつかない空き家は「古家付き土地」として取り引きされることが一般的です。 一般的な木造住宅では明確な基準はありませんが、築35年以上ともなれば多くの場合、土地として取り引きされることが実情です。
上記で説明しました中古物件として売り出す場合、土地だけでなく建物の価値も含めて売却を進めます。一方、古家付き土地では、建物の価値をゼロとして土地価格のみで売り出します。
古家付き土地として売るか、中古物件として売るかは、建物の状態や市場状況・買主ニーズなどを踏まえて慎重に判断する必要があります。
契約不適合責任が免責になることも
契約不適合責任とは、買主と双方でかわした契約の内容が、引き渡した後に欠陥が発覚した場合に売主様に問われる責任です。
例えば、雨漏りなどを告知せずに売却してしまうと、この場合売主は損害賠償請求などリスクを負います。
しかし、築古物件は経年劣化による不具合が生じやすく、建物の欠陥や劣化状況を全て把握するのは難しいでしょう。
買主も当然、経年による不具合は前提としていることから、契約不適合責任を免責にすることが可能になります。
古家付き土地売却の最大のメリットは契約不適合責任を免責でき、建物の管理義務を果たさずに売却できる点にあります。
ただし、契約不適合責任を免責できるかは買主との交渉をする必要があり、仮に免責する場合、特約を明記が必要という点は注意しておきましょう。
リノベーションをしたい人向けに売却することができる
売主では叶えられなかった建物が再生していき、建物が生まれ変わるチャンスを得られます。昨今のDIYブームに伴い空き家を購入し自分の好きなようにリフォームやリノベーションをおこなう方が増えています。売主目線では見つけられなかった場所に新たな価値を見出し、想わぬ付加価値を見出してくれるかもしれません。
解体して売却
見るからにボロボロの空き家や今にも倒壊しそうな空き家は、解体しなければ売れない可能性があります。しかし建物を解体して更地にしてから売り出すには、空き家の解体費用が発生します。
中でも1960年代から1970年代に建てられた建物の場合はアスベストが使用されていることもあります。アスベストが使用されている場合は、特別な作業が必要になりその分より多くのコストがかかるので解体費用は高額になりがちです。見積もりの時にしっかり確認しておくようにしましょう。
空き家を解体するのに費用が伴い、 固定資産税も高くなります。更地化にすると住宅用地特例の優遇措置が外れることになり、固定資産税では、小規模住宅用地(住宅1戸につき200平方メートルまで)では6倍になります。又、売れるまでに時間がかかれば税金の維持費が伴います。
解体して更地にするメリット
・買い手が見つけやすくなる。
・土地の欠陥を事前に把握しやすい
土地によっては、地中に浄化槽やがれきなどの埋設物が埋まっていたり、土壌が汚染されていた場合、更地にすることで土地に潜んでいる問題を把握しやすい点
空き家を売却する上で必要な不動産の知識
境界線を明確にしておく
築年数が古い建物の土地や、先祖代々相続されてきた土地の場合、境界が確定されておらず、土地の面積が不明確な場合があります。
不動産売却では、売主は境界線を明確にしておく「境界明示義務」というものがあります。
境界明示義務とは購入後に買主と隣地の所有者とでトラブルになるのを避けるためのものです。境界線があいまいな土地をそのまま売却してしまうと、越境物の問題や予期せぬマイナス要素が発生し契約不適合責任に発展する可能性があり境界を確定することは大切な要素となります。
まずは「境界標」の有無を確認することです。境界標がなければ、土地の境界確定の測量が必要です。 測量は、土地家屋調査士に依頼することになりますが、相続した土地の場合、相続税や譲渡所得税に影響があるため、あらかじめ仕業と連携することも必要です。
売買契約の時に、「売主の責任と負担において引渡し期日までに行う」との取り決めをすることが多いようですが、不動産会社に依頼しておけばやってくれるだろうと考えは危険です。売買契約書には境界が確定しなかった場合や、引渡し期日に間に合わな方場合の取り決めを記載しておく必要があります。
再建築可能かどうか確認しておく
名古屋市でも木造密集地域や狭隘路エリアには再建築不可エリアがたくさんあります。再建築不可エリアには空き家が密集しています。なぜなら、再建築(建て替え)ができず買い手がつかないからです。再建築不可となる理由はいろいろありますが、その中で一般的なのは、交通上、安全上、防火の観点から建築基準法の最低限の基準を満たしていない場合です。特に、建築基準法第43条の「接道義務」というものがあります。家の前の道路が4m以上あり、尚且つ家の間口がその道路に2m以上接していなければなりません。再建築不可物件であることを知らずに更地にしてしまうと、売却が困難になってくるのであらかじめ、リサーチしておくことが必要でしょう。
ゴミを処分する
なんとなく空き家のままにしている理由の一つにゴミや残置物の問題があります。空き家を売却する場合、不動産売却においては引き渡し前までに売主は家には何もない状態で引き渡さなければなりません。(空き家買取は例外)
空き家を片付ける方法は2つあります。まず自分で処分をする場合 自力で片づけるよりも親族や友人に協力してもらいましょう。メリットとしては、費用が抑えられる点です。自分で処分する場合は 自治体のゴミ回収・粗大ゴミ回収を利用する 。ネットオークションを利用する 。 リサイクルショップに持ち込む。
処分が思うように進まないことには、故人の思い入れのものを捨てることに躊躇するという理由がります。他人にとってはただの茶碗でも本人にとってみれば家族との思い出が詰まった品。それを整理するということはとても大きな決断が必要になるのです。「気持ちの整理がつくまでそのままにしておきたい」「生まれ育った家だから、そのままにしておきたい」と思うことは人間の衝動として当たり前のことだと感じます。
空き家を売却する前に相続や税金の問題がクリアになっているかどうか。
空き家を売却するためにもっとも解決しなければならない問題に相続があげられます。相続問題の解決には、労力と費用、そして時間がかかります。そして、相続は人間の感情が伴うものですので、親族間の予期せぬトラブルに発展するケースが多大にあります。不動産の相続の問題点には「分割のしにくさ」、「評価の難しさ」にありますのでより慎重な対応が求められます。そのためにもあらかじめ相続に関する正しい知識を持ち、備えることが重要です。また、既に相続問題が発生してしまっている場合、その問題を整理して、どのような問題があって、誰に何をどのように相談すれば良いかをリサーチして把握していることが非常に重要になってきます。
相続登記「不動産の名義人変更」
相続不動産がある場合には、不動産の名義を被相続人から相続人に変更しなければ不動産売却はできません。この名義を変更する手続きのことを「相続登記」といいます。
遺産分割協議
相続人が複数人いる場合は相続登記を行う前提として、遺言書がない限り遺産分割協議書を作成しなければいけません。これはその土地の所有者を誰が引き継ぐか、いわば契約書!「土地建物は誰のものか」をハッキリさせる必要があります。名義を被相続人から相続人の誰にするか決めなけらばいけません。相続人をお母さんだけにする場合や兄姉弟妹の共有のものにすることも可能です。
単純に名義をお母さんだけにする場合は素人でも作成することが可能です。しかし、記載に不備があると「不動産の名義人変更」手続を行う際に支障を及ぼすことがあります。また、兄弟姉妹の共有持ち分にする場合や家族感で意見が異り話し合いが必要だと想定される場合は不測のトラブルを回避するために弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。
最後に、名古屋市緑区在住 Aさんの体験 空き家売却体験
Aさんの弟(64歳)が亡くなったのは、2020年3月。路上で倒れ意識が戻らないまま、入院先の病院で亡くなってしまいました。弟は身寄りがなく、両親は既に他界しておりました。
葬儀は無事終わりましたが、弟の遺産をどうするのか、話し合いしなければなりません。弟には妻子はいないので、Aさん、姉(68歳)と2人が、遺産を相続することになります。問題は弟が1人で住んでいた実家のことです。
弟は名古屋市緑区の一戸建てに住んでいました。約50坪の土地に建つ。建築年数は約60年ですが、この家はAさんたちにとっては実家でもあったのです。
「両親がこの場所に家を建て、ここで僕たち兄弟姉妹が生まれ、育ったのです。姉と僕が家を出たあと、その後、両親と弟の3人がここで暮らし、両親が亡くなったあとも弟が1人で住んでいたのです」
Aさんと姉は話し合い、実家を売却しようと決断しました。この決断の背景には、相続の問題を自分たちの子供に背負わせたくないとの理由でした。
「空き家のまま放置しておくと、建物が劣化して周りの景観にも悪影響が出る。そしてなにより、空き家管理が大変。家を売るのが一番いいという結論でした。」
空き家売却を相談したのは不動産会社ではなく地元の信用金庫だった
Aさんがまっ先に相談したのは、弟がお世話になっていた地元の信用金庫でした。
信用金庫の切りもりの下、遺産分割協議を作成
不動産と相続知識が豊富な担当者に恵まれ、最初は姉との共有名義にするなど、相続にまつわる様々な提案をしていただきましたが最終的に一旦僕の名義にして売却することに決めました。と、「第三者が中に入ってくれてよかったと思います。姉と僕身内だけでは遺産相続の話をしていたらもしかしたらうまくいかなかったかもしれません。」
「相続登記が済ませ、実家の売り出しでした。不動産会社の査定による売り出し価格を設定、実家の建物は築年数が60年経過しているため、土地の価格はゼロ、古家付き土地として売り出すことにしました。」
大変だったのは家財道具の片づけ、遺品整理そして庭の草刈り
無事買主が決まり、引き渡し日までには家の中のすべてのものを片づけなければなりません。
しばらくの間は引き渡しまでAさんは家の後片付けと庭に管理が続きました。そして迎えた引き渡しの日。親が築き上げ、弟が守ってきた実家を手放してしまうことになって、とても罪悪感を感じたと、Aさんは振り返ります。
両親が苦労して手に入れた家なので売ってしまうのは忍びなかった、できれば実家への愛着ゆえ「よほどのことがない限り簡単に手放したくない」という感情があっての決断だったことでしょう。しかし「これからの人生」を考え熟慮を重ねて得た結果であったと感じます。
ふどうさんのMAGOは名古屋市南区の不動産売却、相続、空き家問題を解決する不動産会社です。
(対応エリア)
名古屋市南区、名古屋市 港区、名古屋市 緑区、名古屋市千種区、名古屋市熱田区、名古屋市名東区、名古屋市 昭和区、名古屋市 瑞穂区、名古屋市中村区、名古屋市 中川区、名古屋市 守山区、名古屋市中区、名古屋市 天白区、刈谷市、岡崎市、一宮市、豊田市、半田市、あま市、豊川市、津島市、碧南市、豊橋市、瀬戸市、安城市、岩倉市、犬山市、知立市、江南市、小牧市、稲沢市、春日井市、大府市、知多市、常滑市、尾張旭市、高浜市、新城市、西尾市、岩倉市、豊明市、長久手市、蒲郡市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、みよし市、東海市、日進市、愛知県全域