実家の売却は、建物を手放すだけの仕事ではありません
こんにちは。
趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。
名古屋市の住宅街を歩いていると、誰も住んでいない家にも、その家族の暮らしが残っていることがあります。
少し色の薄くなった表札。
玄関脇に置かれた植木鉢。
物干し台の横に残る、錆びた洗濯ばさみ。
庭の隅に植えられた柿の木。
家の中へ入れば、柱には子どもの身長を測った鉛筆の線があり、台所の引き出しには輪ゴムや割り箸が、昨日まで使われていたように残っています。
不動産会社は、その家を「土地〇平方メートル、建物〇平方メートル、築〇年」と表します。
しかし、所有者様にとっての実家は、そのような数字だけでできているわけではありません。
「売却しなければいけないことは分かっています」
「でも、家の中を見ると決められなくなるんです」
「本当に、私の代で売ってしまってよいのでしょうか」
このような言葉を、私は何度も聞いてきました。
迷うのは、決断力がないからではありません。
大切な場所だから、簡単には決められないのです。
ただし、ここで一つ、実務に携わる者としてお伝えしたいことがあります。
家族の気持ちが止まっている間も、不動産の時間は止まりません。
建物は傷みます。
庭木は伸びます。
固定資産税や管理費は続きます。
税制には期限があります。
相続人の暮らしや健康状態も変わります。
この記事では、名古屋市で初めて実家の売却を考える方へ、売却を急がせるのではなく、後悔しない判断をするために確認したいことをお伝えします。
相続登記、家財整理、建物の状態、接道や境界、税金、不動産会社の選び方、売り出し方、兄弟姉妹との話し合い。
そして、価格表には載らない「親から受け継いだ家を手放す気持ち」についても、現場経験を交えてお話しします。
🟨 実家売却で最初に決めるべきなのは、売出価格ではありません。家族が何を大切にし、いつまでに、どのような状態へ進みたいのかです。
※本文の事例は、相談者様や物件を特定できないよう、複数の相談・売却経験をもとに所在地、人物、価格、会話、経緯等の一部を調整して構成しています。
実家売却で一番多い失敗は「安く売ること」ではない
不動産売却の失敗と聞くと、多くの方は次のようなことを想像します。
- 相場より安く売ってしまった
- 高い査定額を信じて長期間売れなかった
- 不動産会社選びを間違えた
- 税金を知らず、手取り額が減った
もちろん、どれも重要です。
しかし、相続した実家の相談で私が最も多く見る失敗は、もう少し前の段階で起きています。
それは、判断しない期間が長くなり、選べたはずの方法が選べなくなることです。
「四十九日が終わってから考えよう」
「一周忌までは触らないでおこう」
ここまでは、家族の時間として自然なことだと思います。
ところが、その後も、
「兄弟がそろう年末に話そう」
「来年、仕事が落ち着いてから片づけよう」
「もう少し土地価格が上がるかもしれない」
と続き、気づけば3年、5年と経過することがあります。
問題は、すぐ売らなかったことではありません。
その間、建物の状態、管理費、相続人の考え、使える制度を一度も確認しなかったことです。
🟥 「まだ売らない」という判断と、「何も調べない」は違います。残すなら、残すための管理と費用を決める必要があります。
なぜ実家は売却を先送りしやすいのか
1.手放すことが、親を忘れることのように感じる
実家の売却では、家と親の記憶が強く結びついています。
父親が直した雨どい。
母親が毎年咲かせた花。
家族が集まった居間。
それらがなくなると、親とのつながりまで消えてしまうように感じる方がいます。
しかし、売却することと、記憶を捨てることは同じではありません。
写真を残す。
建具や欄間を引き継ぐ。
庭木の一部を移植する。
家族で最後に食事をする。
近所の方へ挨拶をする。
不動産として手放しても、残せるものはあります。
2.売る・貸す・残すの正解が分からない
選択肢が一つなら、人は決めやすいものです。
実家には、売却、賃貸、自己利用、親族利用、建物を解体して土地活用、一定期間の保有など、複数の出口があります。
選択肢が多いほど、比較する材料がなければ決められません。
「貸せるかもしれない」
「リフォームすれば使えるかもしれない」
という可能性だけが残り、修繕費、家賃、管理費、空室期間を計算していないケースもあります。
3.まだ大きな問題が起きていない
雨漏りもない。
近隣から苦情もない。
税金も払えている。
そのため、今すぐ動く必要がないように見えます。
しかし、空き家の問題は、ある日突然ゼロから発生するというより、小さな変化が見えないところで重なっていくことが多いのです。
屋根の一部から雨が入る。
換気されない室内に湿気がこもる。
排水トラップの水がなくなり、臭いや虫が上がる。
庭木が越境する。
相続人の一人が病気になる。
小さな問題が重なり、売却しようとした時には費用と確認事項が増えています。
空き家所有者が抱える「見えない管理費」
空き家にかかる費用は、固定資産税だけではありません。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 電気・水道等の基本料金
- 草刈り、庭木剪定、清掃費
- 雨漏り、外壁、屋根、給排水等の修繕費
- 家財整理・残置物処分費
- 遠方から現地へ通う交通費
- 防犯、郵便物、近隣対応の手間
さらに、領収書に出ない費用があります。
台風の夜に実家の屋根が気になる。
知らない番号から電話が来ると、近所からの苦情ではないかと思う。
兄弟との会話で、実家の話題だけ避けるようになる。
所有者様が「困ってはいません」と話されていても、会話を続けると、
「本当は、ずっと頭の片隅にあります」
と打ち明けられることがあります。
空き家は、使っていない建物でありながら、所有者の心の中では場所を取り続けます。
街歩きで感じる、名古屋市の実家売却の特徴
名古屋市の空き家は、すべてが市場から必要とされていないわけではありません。
南区や港区では、道路、工業地との関係、浸水リスク、古い長屋や狭小地などを確認する場面があります。
緑区、名東区、千種区、昭和区、天白区などの丘陵地では、高低差、擁壁、階段、駐車場の造りが評価を左右します。
中川区や中村区の古い住宅地では、細い道路、私道、連棟建物、境界、隣家との距離が問題になることがあります。
一方で、築年数が古くても、駅に近い、生活利便性が高い、まとまった土地がある、庭や建具に魅力がある、リノベーションしやすい、といった理由で購入者が見つかることもあります。
つまり、
古いから価値がない
とも、
名古屋市内だからいつでも売れる
とも言えません。
私が現地で見るのは、建物の古さだけではありません。
道路の反対側に車を振る空間があるか。
雨の日に水がどこへ流れるか。
隣地の屋根や樹木が越境していないか。
境界標が残っているか。
朝と夕方で交通量がどう変わるか。
庭へ光が入るか。
古い家を残した場合、誰が魅力を感じるか。
机上査定の数字には出ないことが、現地には残っています。
🟨 実家の市場価値は、築年数だけでは決まりません。ただし、思い出だけでも決まりません。感情と市場の間に、現地調査という橋を架ける必要があります。
私の失敗談|「きれいにしてから売りましょう」と言ってしまった実家
以前、名古屋市内で、相続した築50年近い木造住宅の相談を受けたことがあります。
売主様は姉妹お二人でした。
お母様が亡くなった後、家には多くの家財が残っていました。
婚礼だんす。
古い食器。
和裁道具。
押し入れいっぱいの布団。
庭には、お母様が長年手入れしてきた植物がありました。
私は最初の相談で、一般的な考え方から、
「まず家財を処分して、室内を空にしてから販売した方が見てもらいやすいと思います」
とお伝えしました。
間違った提案ではありません。
荷物が多ければ室内が狭く見え、建物状態も確認しにくくなります。
ところが数週間後、売主様から電話がありました。
「片づけようとしたのですが、姉が泣いてしまって進まないんです」
私は、売却の準備を建物側から考え、家族の準備を十分に考えていませんでした。
家財を片づけるという行為は、業者にとっては作業です。
しかし家族にとっては、一つずつ親の持ち物を捨てる判断です。
食器一枚。
古い手紙一通。
使わなくなった裁縫箱一つ。
それぞれに時間が必要でした。
私は提案を変えました。
すべてを一度に空にするのではなく、
- 家族が残したいもの
- 親族へ確認するもの
- 売却時まで置いてよいもの
- 廃棄・買取・寄付を検討するもの
に分けました。
室内写真も、荷物がある状態で無理に公開せず、まずは購入対象となり得る方へ個別に説明する方法を取りました。
🟥 この案件での私の失敗は、片づけを提案したことではありません。売却の段取りを、家族の気持ちより先に進めようとしたことでした。
想定外だった買主|残してほしいと言われたのは建物ではなかった
この実家は、当初、古家を解体して土地として買いたい方を中心に考えていました。
建物は古く、設備もそのまま使える状態ではありませんでした。
その後、古い住宅を自分たちで改修したいというご夫婦が現れました。
私は、建具や庭、日当たりなど、建物の魅力を説明しました。
ところが、ご夫婦が最も長く見ていたのは、庭の端にある小さな木でした。
売主様に確認すると、お母様が姉妹の誕生を記念して植えた木だと分かりました。
買主様は、こう言われました。
「建物は修繕しながら考えます。でも、この木はできれば残したいです」
売主様のお姉様は、少し驚いた後、庭へ出て木を見ていました。
そして、
「家を買ってもらうというより、続きをお願いするような気持ちですね」
と話されました。
最終的には、建物の状態、修繕の必要性、契約条件を確認し、売買は無事に進みました。
もちろん、すべての古家に保存価値があり、希望どおり残してもらえるわけではありません。
買主が購入後に建物を解体することもあります。
庭木を残す約束が、将来にわたって容易に守れるとも限りません。
それでもこの案件では、価格以外に、売主様が納得できる理由が見つかりました。
実家売却で引き継がれるものは、建物そのものとは限りません。家族が大切にしてきた風景の一部が、次の暮らしへ残ることもあります。
売却前に確認したい7つの実務ポイント
1.所有者と相続登記
まず、登記事項証明書で現在の名義を確認します。
令和6年4月1日から相続登記は義務化され、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが原則です。
親名義のままでは、売買による所有権移転を円滑に進められません。
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議、戸籍、印鑑証明等の準備も必要です。
2.相続人全員の意向
売ることに賛成しているかだけでは足りません。
- いくらなら売却を受け入れられるか
- 建物を残したい人がいるか
- 家財整理を誰が担当するか
- 測量、解体、修繕費を誰が負担するか
- 売却代金をどのように分けるか
- 売却時期をいつまでとするか
を確認します。
「兄もたぶん賛成です」という状態で販売を始めると、購入申込みが入ってから止まることがあります。
3.建物の状態
築年数だけで判断せず、現地で確認します。
- 雨漏り、腐食、シロアリの可能性
- 基礎、外壁、屋根の状態
- 建物の傾き
- 給排水、電気、ガス設備
- 増改築の履歴
- 建築確認関係資料
- 耐震性、アスベストの可能性
不動産会社の目視だけで構造安全性を保証することはできません。必要に応じて建築士、インスペクター、施工会社等へ確認します。
4.道路・再建築の可否
家が建っていることと、同じように建て替えられることは別です。
前面道路が建築基準法上の道路か。
必要な接道長さを満たしているか。
セットバックが必要か。
私道持分や通行・掘削条件はどうなっているか。
これらは売却価格と購入者の融資判断に大きく影響します。
5.境界・越境
境界標、公図、測量図を確認します。
塀、軒、雨どい、樹木、配管、土間コンクリートなどが境界を越えている場合もあります。
確定測量が必要か、現況で引き渡すか、越境を解消するか、覚書を取得するかは、物件と買主の条件によって異なります。
6.税金と取得時資料
売却代金の全額に税金がかかるわけではありません。
譲渡所得は、原則として売却代金から取得費、譲渡費用、適用できる特別控除を差し引いて計算します。
親が購入した際の売買契約書、領収書、建築請負契約書などは重要です。
相続空き家については、一定の要件を満たす場合に譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例がありますが、建築時期、被相続人の居住状況、売却期限、売却価格、耐震・取壊し等の要件があります。
税務判断は、契約や解体を決める前に税務署または税理士へ確認してください。
7.家財と重要書類
家財処分を急ぐ前に、次のものを探します。
- 権利証・登記識別情報
- 購入時の売買契約書、領収書
- 建築確認済証、検査済証、図面
- 測量図、境界確認書
- 固定資産税納税通知書
- リフォーム、増改築、修繕記録
- 賃貸借、通行、越境等の覚書
- 遺言書や相続関係書類
重要書類が、古い封筒やたんすの引き出しから見つかることは珍しくありません。
🟥 家財整理で最初に捨ててはいけないのは、紙です。古い契約書一枚が、税金や境界、建物履歴の説明を変える場合があります。
実家を売る4つの方法|価格だけで決めない
1.中古住宅として売る
建物を利用したい購入者へ売却する方法です。
立地、間取り、建具、庭、管理状態などが評価される可能性があります。
一方で、建物状況、修繕費、耐震性、契約不適合責任、住宅ローンの利用可能性を整理する必要があります。
2.古家付き土地として売る
建物を残したまま、土地としての利用を中心に販売します。
売主様が先に解体費を負担せず、買主がリノベーションと解体を比較できます。
ただし、「古家付き土地」と表示すれば建物について何も説明しなくてよいわけではありません。
把握している不具合や事故、越境、設備状況等は適切に告知・説明します。
3.解体して更地で売る
土地の形状や高低差が分かりやすくなり、新築希望者が検討しやすくなることがあります。
しかし、再建築の可否、解体費、アスベスト、地中埋設物、固定資産税への影響、相続空き家の税制を確認せずに解体すると、選択肢を失う可能性があります。
4.不動産会社へ買い取ってもらう
売却時期を決めやすく、残置物や建物不具合を含めて現況で相談できる場合があります。
一方、不動産会社は解体、修繕、測量、再販売、保有期間等の費用とリスクを負うため、一般市場の想定成約価格より低くなるのが通常です。
買取価格の高低だけでなく、
その価格で、売主が何をしなくてよいのか
を確認してください。
「高く売る」と「手元に多く残る」は同じではない
実家売却では、査定額だけを見ると判断を誤ることがあります。
例えば3,000万円で売れる提案でも、解体、測量、家財処分、修繕、仲介手数料、維持管理費が必要かもしれません。
2,700万円の提案でも、現況渡しで、残置物、測量、契約上の責任について売主負担が小さい場合があります。
比較したいのは次の項目です。
| 比較項目 | 仲介・古家付き | 仲介・更地 | 不動産買取 | 保有・活用 |
|---|---|---|---|---|
| 想定価格・収入 | ||||
| 解体・修繕費 | ||||
| 家財処分費 | ||||
| 測量・登記費 | ||||
| 仲介手数料等 | ||||
| 維持管理費 | ||||
| 税金の見込み | ||||
| 完了までの期間 | ||||
| 売主が負う責任 | ||||
| 最終手取り・収支 |
🟩 よい売却とは、最も高い査定書を選ぶことではありません。費用、時間、責任を差し引いた後に、家族が納得できる出口を選ぶことです。
不動産会社選びで確認したいこと
高額査定の根拠を聞く
査定額は、会社がその価格で買う約束ではありません。
周辺の売出価格だけでなく、成約事例、土地形状、道路、建物状態、想定する買主、販売期間をどのように反映したか確認します。
古家の扱いを一つに決めつけない
「古いから解体」
「思い出があるから必ず残す」
どちらも、調査前に結論を決めるのは危険です。
中古住宅、古家付き土地、更地、買取の比較を依頼してください。
他社からの買主紹介を受け入れるか確認する
専任媒介でも、他社の購入希望者を積極的に案内する会社か確認します。
レインズの登録証明書、販売報告、問い合わせ、内覧、他社紹介、購入申込みの内容を共有してもらいます。
値下げ以外の提案があるかを見る
売れないとき、原因は価格だけとは限りません。
写真が暗い。
道路や建物の説明が不足している。
境界や再建築への不安が整理されていない。
買主ターゲットが違う。
内覧前に庭や室内の印象を整える必要がある。
反響データを見ながら、次の一手を説明できる会社を選びます。
実家売却で避けたい10の失敗
1.相続人の合意前に販売を始める
買主が現れてから家族会議を始めると、条件調整が止まります。
2.名義を確認しない
親や祖父母名義のままでは、売却前に複数の相続手続きが必要になる場合があります。
3.査定額だけで会社を選ぶ
高く売り出すことと、高く成約することは違います。
4.再建築の可否を確認せず解体する
古い建物が残っていることが、利用方法の一つを支えている場合もあります。
5.重要書類まで処分する
購入時資料がなくなると、税務上の取得費や建物履歴の説明に影響する可能性があります。
6.家財を家族に無断で捨てる
金銭価値のない品でも、家族にとっては代わりのない物かもしれません。
7.庭木や建具の価値を確認しない
すべてが売却価格へ上乗せされるわけではありませんが、買主の印象や売主の納得につながることがあります。
8.税制を契約後に調べる
売却時期、売り方、取壊しの時期で特例の適否が変わる場合があります。
9.近隣へ何も知らせず工事を始める
測量、解体、越境、私道利用では近隣の協力が必要になることがあります。
10.売却後の気持ちを考えない
決済が終われば不動産取引は完了します。
しかし、家族の気持ちが同じ日に整理されるとは限りません。
写真、鍵、表札、庭木、仏壇、アルバムなど、何を残すかを売却前に決めておくことも大切です。
私が最初の面談で「いくらで売りたいですか」と聞かない理由
実家売却の相談で、私は最初から希望価格だけを聞かないようにしています。
先にお聞きしたいのは、次のようなことです。
「この家が空き家になった経緯を教えていただけますか」
「いつまでに方向性を決めたいですか」
「建物や庭で、残したいものはありますか」
「相続人の皆様は、どこまで話し合っていますか」
「価格、時間、手間、建物を残すことのうち、何を優先しますか」
希望価格は、その後です。
同じ3,000万円で売れる家でも、所有者様が求める売却は違います。
少し時間がかかっても建物を使う人へ売りたい方。
施設費用のため、期限を優先したい方。
県外に住み、家財を含めて任せたい方。
兄弟間の争いを避け、条件の分かりやすさを優先したい方。
売主様の利益は、価格だけでは決まりません。
今すぐ売らなくてもできる「最初の30日」
結論が出ていなくても、次の確認はできます。
1週目|家と書類を見る
- 建物内外の写真を撮る
- 雨漏り、臭い、傾き、庭木、郵便物を確認する
- 権利証、契約書、図面、測量図、税通知書を探す
- 水道、電気、保険の契約状況を確認する
2週目|人を整理する
- 相続人と登記名義を確認する
- 家族それぞれの希望を聞く
- 残したい家財を決める
- 近隣との懸案事項を整理する
3週目|不動産を調べる
- 現地査定を依頼する
- 道路、境界、再建築、建物状態を確認する
- 中古、古家付き、更地、買取の価格を比較する
- 売却費用と最終手取りの概算を出す
4週目|売らない場合も比較する
- 1年間保有する費用を計算する
- 賃貸する場合の修繕費と賃料を確認する
- 家族利用の具体的な時期を決める
- 売却する場合の期限と条件を決める
この30日で売却を決める必要はありません。
「分からないから決められない」という状態を、「比較して決められる」状態へ変えることが目的です。
よくある質問
Q.実家の中に家財が残っていても査定できますか
はい。査定自体は可能です。
家財をすべて処分してから相談する必要はありません。建物状態を確認するため、一部移動や追加確認が必要になる場合はあります。
Q.古い家は解体してから査定した方がよいですか
先に解体しないことをおすすめします。
中古利用の可能性、解体費、再建築の可否、税金、買主の希望を比較してから判断します。
Q.兄弟の一人が売却に反対しています
共有不動産全体の売却には、原則として共有者全員の合意が必要です。
価格だけでなく、管理負担、将来費用、利用予定、売らない場合の期限を整理して話し合います。対立が深い場合は、弁護士等への相談も検討してください。
Q.親が買ったときの金額が分かりません
売買契約書、領収書、通帳、住宅ローン資料、建築請負契約書などを探します。
取得費を証明できない場合の税務上の取扱いがありますが、税額へ大きく影響する可能性があるため税理士等へ確認してください。
Q.近所に知られず売れますか
広告方法を限定して販売することは可能です。
ただし、公開範囲を狭めるほど購入者との接点が減り、価格や期間へ影響する可能性があります。秘密性と販売機会を比較して決めます。
Q.相続した家をすぐ売ると税金が高くなりますか
一概には言えません。
譲渡所得税の所有期間は、原則として被相続人の取得時期を引き継ぎます。相続空き家の特別控除や取得費加算の特例など、期限のある制度もあるため、売却前に個別確認が必要です。
まとめ|実家を売ることは、親の暮らしを否定することではない
実家を売却すると、登記上の所有者は変わります。
建物は改修されるかもしれません。
解体され、新しい住宅が建つかもしれません。
長年見慣れた風景が変わることもあります。
それを寂しいと感じるのは当然です。
しかし、誰も住まないまま建物が傷み、家族が管理の不安を抱え続けることだけが、親の家を大切にする方法ではありません。
次に暮らす人へ渡す。
土地として新しい家族へつなぐ。
役割を終えた建物を安全に整理する。
家族が管理できる間は残す。
どの答えも、事情と準備が伴っていれば間違いではありません。
実家売却で避けたい本当の失敗は、安く売ったことだけではありません。
知らないまま壊したこと。
話し合わないまま時間が過ぎたこと。
書類を確認せず処分したこと。
家族の気持ちを置き去りにしたこと。
そして、選択肢があった時に、一度も現状を調べなかったことです。
🟥 実家を、思い出だけで市場へ出すことはできません。
🟩 しかし、不動産として整理する過程に、家族の思いを置いていくことはできます。
私は街を歩き、空き家を見つけるたびに考えます。
この家では、どのような時間が流れていたのだろう。
なぜ今、誰も住んでいないのだろう。
建物を残せる可能性はないか。
土地として必要とする人はいないか。
所有者様は、本当は何に迷っているのだろう。
不動産会社の仕事は、思い出に価格を付けることではありません。
現地を調べる。
難しい点を隠さず伝える。
複数の出口を比べる。
所有者様が自分の意思で選べるようにする。
そして、親から受け継いだ家を、後悔の少ない形で次へつなぐことです。
実家を売るということは、家族の歴史を消すことではありません。
その家が果たしてきた役割を認め、次の時間へ渡すことなのだと、私は考えています。
名古屋市で相続した実家の売却をご検討中の方へ
ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、相続不動産、空き家売却、築古住宅、再建築が難しい土地、旗竿地、私道・境界・擁壁などに問題がある不動産のご相談をお受けしています。
次のような段階でも構いません。
- 実家を売るか残すか決められない
- 兄弟姉妹の意見がまとまらない
- 家財が多く、どこから手を付ければよいか分からない
- 建物を解体するべきか迷っている
- 相続登記が終わっていない
- 親が購入した際の書類が見つからない
- 古い家にも価値があるか確認したい
- 遠方に住み、管理へ通えない
- 他社から土地価格だけで査定された
- 仲介と買取の最終手取りを比較したい
最初から売却を勧めることが目的ではありません。
登記、建物、道路、境界、家財、税務、管理費、家族の希望を整理し、中古住宅、古家付き土地、更地、買取、保有・活用の可能性を比較します。
まだ結論が出ていなくても大丈夫です。
「売るかどうか」の前に、「今、この家がどのような状態にあるのか」を一緒に確認してみませんか。
対応エリア
名古屋市南区・港区・緑区・千種区・熱田区・名東区・昭和区・瑞穂区・中村区・中川区・守山区・中区・天白区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。
※相続登記、共有、遺産分割、税務、建物の安全性、再建築の可否、境界、越境等は個別事情によって異なります。必要に応じて司法書士、税理士、弁護士、土地家屋調査士、建築士、行政等へご確認ください。
※本記事は令和8年9月時点の法令・公表情報と実務経験をもとに作成しています。制度や必要書類は変更される場合があります。
※本文の事例は、相談者様および物件を特定できないよう、複数の相談・売却経験をもとに所在地、人物、価格、会話、経緯等の一部を調整しています。


