認知症になった母の家を売れなかった理由と、兄弟姉妹全員が県外に住む実家の末路

名古屋市エリアで″売却サポート”に専門特化した
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〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

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目次

~空き家マイスターが見た人生の物語~

「もっと早く相談していれば違ったのでしょうか。」

その言葉を聞いたのは、名古屋市内にある築48年の実家の相談を受けた時でした。

相談者は長男のAさん。

現在は東京在住です。

妹は大阪。

弟は福岡。

兄弟姉妹全員が愛知県を離れ、それぞれの家庭を持って暮らしていました。

実家には母親が一人で住んでいました。

父親は数年前に他界。

母親は気丈な人で、

「私はまだ大丈夫。」

そう言いながら暮らしていたそうです。

誰も、この後始まる長い空き家問題を想像していませんでした。


少しずつ増えていた違和感

最初は小さな変化でした。

電話で同じ話を何度もする。

約束を忘れる。

通帳を探している。

ガスを消したか不安になる。

子どもたちは、

「年齢のせいだろう。」

そう思っていました。

しかし違いました。

認知症は静かに進行していたのです。


一人暮らしの限界

ある日、近所の方から連絡がありました。

母親が道に迷っていたというのです。

さらに冷蔵庫には賞味期限切れの食品。

公共料金の支払い忘れ。

病院の受診忘れ。

兄弟で話し合い、施設入所を検討することになりました。


母を施設へ送り出した日

施設入所の日。

母親は何度も言いました。

「また家に帰るから。」

誰も否定できませんでした。

本当は分かっていました。

おそらくもう一人で暮らすことは難しい。

それでも家族は、

「また帰ろうね。」

としか言えなかったのです。

実家には家具も仏壇もそのまま残りました。

まるで母親が明日帰ってくるかのように。


空き家になった実家

その日から空き家生活が始まりました。

最初は何とかなると思っていました。

長男が数か月に一度帰省。

換気をする。

草を刈る。

郵便物を整理する。

しかし東京から名古屋。

決して近くありません。

仕事もあります。

家庭もあります。

思うように帰れなくなりました。


少しずつ傷んでいく家

空き家は人が住まなくなると急速に傷みます。

庭木は伸びる。

雑草は生える。

雨どいは詰まる。

湿気がたまる。

近隣からも心配の声が聞こえ始めました。

しかし兄弟全員が県外。

誰も十分な管理ができません。


売却という選択肢

数年後。

兄弟は話し合いました。

「売った方がいいのではないか。」

管理は限界。

固定資産税も負担。

誰も住む予定はありません。

そこで不動産会社へ相談しました。


初めて知った現実

ところが、そこで思わぬ説明を受けます。

「お母様名義ですよね。」

当然でした。

所有者は母親です。

相続は発生していません。

母親は存命です。

しかし認知症が進行していました。

施設職員とも意思疎通が難しい状態です。


家族でも売れない

長男は驚きました。

「私たち子どもですよ。」

「管理も全部しています。」

「施設費用も負担しています。」

しかし法律上は違います。

所有者本人の意思確認が必要です。

家族だから自由に売れるわけではありません。


委任状も書けない

では委任状をもらえば良いのか。

しかしそれも難しい状況でした。

認知症が進行し、

売却内容を理解することができない。

署名しても有効性に問題が生じる可能性がある。

ここで家族は初めて気付きます。

実家を売ることができない現実に。


成年後見制度

不動産会社から成年後見制度の説明を受けました。

家庭裁判所への申し立て。

後見人の選任。

場合によっては弁護士や司法書士が後見人になることもあります。

しかし手続きには時間も費用もかかります。

そして売却が必ず認められるわけではありません。


家は待ってくれない

手続きを進める間も、

空き家は存在し続けます。

固定資産税。

火災保険。

庭木管理。

修繕費。

家は待ってくれません。

時間だけが過ぎていきました。


兄弟の負担

最初は仲の良かった兄弟です。

しかし少しずつ負担感が出始めます。

「今回は誰が帰省する?」

「草刈りは?」

「費用はどうする?」

「固定資産税は誰が払う?」

誰も悪くありません。

全員が忙しい。

全員が県外。

しかし空き家だけはそこに残っています。


実家が家族を苦しめ始めた

本来、実家は家族の思い出の場所です。

しかし管理が長期化すると変わります。

懐かしい場所だったはずが、

心配の種になっていくのです。

電話が鳴るたびに、

「何かあったのではないか。」

そんな不安が続きます。


もっと早くできたこと

もし母親が元気なうちだったら。

意思能力が十分あった頃だったら。

家族で話し合えたかもしれません。

売却もできたかもしれません。

賃貸という選択肢もあったかもしれません。

しかし認知症は待ってくれません。

そして多くの家族は、

その時が来るまで準備をしないのです。


空き家問題の本質

私は空き家相談を受けるたびに思います。

問題は建物ではありません。

人です。

家族です。

人生です。

空き家になったから問題が始まるのではありません。

実はその前から始まっていることが多いのです。

親の高齢化。

介護。

認知症。

相続。

すべてがつながっています。


空き家マイスターが感じること

私が現場で感じるのは、

「売るか残すか」

ではありません。

もっと大切なのは、

「元気なうちに家族で話し合ったか」

です。

話し合いができていた家族は強い。

結果がどうであれ後悔が少ない。

しかし何も決めないまま時間が過ぎると、

選択肢はどんどん減っていきます。


まとめ

認知症になった親の家は、

家族であっても自由に売却できません。

成年後見制度が必要になることもあります。

時間も費用もかかります。

そしてその間も空き家は残り続けます。

だからこそ、

親が元気なうちの準備が大切なのです。


空き家マイスターが見た人生の物語

相談の帰り際、長男のAさんが言いました。

「母が元気だった頃、家の話なんてしたことがなかったんです。」

多くの家族が同じです。

縁起でもない。

まだ早い。

その気持ちはよく分かります。

しかし家の問題は、いつか必ず向き合う日が来ます。

その時に選択肢が残されているかどうか。

それは元気な今の話し合いにかかっています。

そして私は今日も、空き家の相談を受けながら、

その家の向こうにある家族の人生を見つめています。

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