「兄だけが固定資産税を払い続けていた」~相続人8人の空き家が売却できるまで~

「もう10年以上、私一人で固定資産税を払っています。」

初めてご相談いただいた際、長男のAさんは少し疲れた表情でそう話されました。

名古屋市内にある築50年以上の実家。

ご両親が亡くなった後、その家は誰も住まない空き家となりました。

しかし問題は、所有者が一人ではなかったことです。

相続人は兄弟姉妹合わせて8人。

それぞれが結婚し、県外や遠方で生活しており、実家に戻る予定のある人は誰もいませんでした。

それにもかかわらず、実家は10年以上放置され続けていたのです。

空き家問題というと、「建物の老朽化」や「管理不全」が注目されがちですが、現場で本当に多いのは“人の問題”です。

今回は、相続人8人の空き家が売却できるまでの実例をもとに、相続不動産が抱える現実についてお話ししたいと思います。

名古屋市エリアで″売却サポート”に専門特化した
不動産売却のみを取り扱う専門店です。
空き家売却にともなう煩雑なお手続き、
空き家の遺品整理や不要品の買取まで一括してサポートしております。

〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

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目次

誰も住まないのに誰も動かない

ご両親が亡くなった後、実家は空き家になりました。

最初の数年は、お盆や法事の際に兄弟が集まる場所として利用されていました。

しかし年月が経つにつれ、集まる機会も減少。

やがて家の中には誰も入らなくなりました。

それでも固定資産税の納税通知書だけは毎年届きます。

最初は、

「長男だから」

という理由でAさんが支払っていました。

ところが一年が二年になり、五年になり、十年になっても状況は変わりません。

兄弟たちも悪気があるわけではありません。

ただ、

「そのうち考えよう」

「今は忙しい」

「自分は遠方だから」

そうして問題が先送りされていったのです。

気付けば固定資産税だけで数十万円。

Aさんの中には少しずつ不満も積み重なっていました。

空き家は待ってくれない

空き家は人が住まなくなった瞬間から傷み始めます。

雨漏り。

雑草。

害虫。

近隣からの苦情。

今回の物件も例外ではありませんでした。

庭木は隣地にはみ出し、雨樋は外れ、外壁も傷み始めていました。

特に名古屋市内では住宅地が密集しているエリアも多く、空き家の管理不足は近隣トラブルにつながりやすい傾向があります。

現場でよく感じるのは、

「家は住まなくなると想像以上に早く傷む」

ということです。

そして、傷めば傷むほど売却条件も悪くなります。

相続人が多いほど話は難しくなる

相続人が二人でも意見がまとまらないことがあります。

それが八人となればなおさらです。

実際、

「売りたい」

という人もいれば、

「思い出があるから残したい」

という人もいました。

また、

「売るのは賛成だけど手続きは任せたい」

という方もいました。

空き家問題の難しさは、不動産そのものではありません。

人それぞれの事情や感情が絡み合うことです。

業界ではよく、

「共有名義は難しい」

と言われます。

確かにその通りです。

しかし私たちが現場で感じるのは、

共有名義だから難しいのではなく、話し合う機会がないから進まないケースが非常に多いということです。

「売れない」と言われた査定

Aさんは過去に何社かへ相談していました。

その中には大手不動産会社もありました。

しかし返ってきた答えは、

「相続人が多いので難しいですね」

「古すぎて建物価値はありません」

「早く処分した方がいいですよ」

というものでした。

確かに建物は老朽化していました。

しかし現地を確認すると、土地としての需要は十分見込めるエリアでした。

名古屋市内では、築年数よりも立地を重視する購入希望者も少なくありません。

にもかかわらず、相続関係が複雑というだけで消極的な査定が出されていたのです。

ここに業界の本音があります。

正直に言えば、相続人が多い案件は時間も手間もかかります。

効率だけを考えれば、もっと簡単な案件を扱った方が楽です。

だからこそ、こうした案件は後回しにされやすいのです。

一人ひとりと向き合うところから始まった

今回私たちが最初に行ったのは査定ではありませんでした。

相続人全員の状況を整理することでした。

誰がどこに住んでいるのか。

売却に反対している人はいるのか。

連絡が取れるのか。

まずはそこから確認していきました。

不動産売却というと価格ばかり注目されます。

しかし現場では、

「売る前の整理」

の方が重要なことも少なくありません。

結果として、全員が

「誰も住む予定がない」

という点では一致していました。

そこから少しずつ話が前に進み始めたのです。

実際に売却できた理由

最終的に売却できた理由はシンプルです。

不動産だけを見なかったことです。

土地の価値。

建物の状態。

市場動向。

もちろんそれらも重要です。

しかし今回の案件で本当に重要だったのは、

「相続人全員が納得できる形を作ること」

でした。

誰か一人だけが負担する状況を終わらせる。

放置し続ける不安をなくす。

そうした目的が共有されたことで売却へ進むことができました。

固定資産税は静かに家族関係を壊していく

現場で数多くの空き家相談を受けていますが、固定資産税の問題は想像以上に深刻です。

最初は、

「今年だけ払っておくよ」

から始まります。

しかし数年後、

「なぜ自分だけが払っているのか」

という不満へ変わります。

そして、その不満は不動産ではなく家族関係へ向かいます。

空き家問題は建物の問題ではありません。

人間関係の問題へ発展することがあるのです。

まとめ|空き家を放置しても問題は消えない

今回のケースは無事売却へ進むことができました。

しかし、もしさらに5年、10年放置していたらどうなっていたでしょうか。

建物はさらに傷みます。

固定資産税も払い続けなければなりません。

相続人も高齢化します。

連絡が取れなくなる人が出てくる可能性もあります。

空き家問題は、時間が解決してくれる問題ではありません。

むしろ時間が経つほど複雑になります。

もし現在、

「誰も住んでいない実家がある」

「兄弟で共有している不動産がある」

「固定資産税だけ払い続けている」

そんな状況であれば、一度現状を整理してみることをおすすめします。

不動産の価値は市場が決めます。

しかし家族の時間は戻ってきません。

だからこそ、空き家問題は早めに向き合う価値があるのです。

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