こんにちは。
趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、街歩き空き家マイスター、ふどうさんのMAGOの保木です。
名古屋市では、リニア中央新幹線の開業を見据えた名古屋駅周辺の整備をはじめ、栄、金山、熱田神宮周辺などで、さまざまなまちづくりが進められています。
こうしたニュースを見ると、
「名古屋市の土地は、これから値上がりするのではないか」
「再開発が完成するまで売却を待ったほうがよいのではないか」
「名古屋駅に近ければ、古い家でも高く売れるのではないか」
と考える方もいらっしゃると思います。
しかし、不動産売却の現場で感じるのは、再開発の期待と、個々の不動産に対する買主の評価は別の問題だということです。
同じ駅、同じ町内、場合によっては同じ道路沿いでも、不動産価格には大きな差が生まれます。
再開発の恩恵を受けやすいのは、単に計画地へ近い土地ではありません。
重要なのは、その土地が新しい人の流れや住宅・事業需要を取り込みやすく、実際に建物を建て、利用し、将来売却しやすい土地であるかどうかです。
この記事では、名古屋市を8年間歩きながら不動産を見てきた宅建士の立場から、リニアや再開発が土地価格に与える影響と、売却時に評価される土地・評価されにくい土地の違いを解説します。
結論|再開発だけで不動産価格が上がるわけではない
最初に結論をお伝えすると、再開発によって名古屋市全域の不動産価格が一律に上昇するわけではありません。
再開発は、街の利便性や魅力を高める重要な要素です。
しかし、個々の土地の売却価格は、主に次の条件を総合して決まります。
- 駅からの距離
- 交通手段と所要時間
- 前面道路の幅員
- 接道状況
- 間口と土地形状
- 建築できる建物の規模
- 用途地域などの法令制限
- 周辺の住宅・事業需要
- 境界や越境の状況
- 解体・造成・測量などに必要な費用
- 買主が住宅ローンを利用できるか
- 災害リスクや周辺環境
再開発は、土地の価値を支える「追い風」にはなります。
しかし、接道や土地形状など、その不動産自体が抱える問題をすべて解消してくれるものではありません。
2026年の名古屋市で注目される再開発・まちづくり
名古屋駅周辺|リニア開業を見据えた都市基盤の再編
名古屋市は、リニア中央新幹線の開業を見据え、名古屋駅周辺のまちづくりを進めています。
2026年3月には、名古屋駅東側の駅前広場を再編するデザイン計画と、駅西地区の将来像を示すまちづくり方針が公表されました。
名駅周辺では、単に新しい建物を建てるだけでなく、駅前空間の改善や歩行者の回遊性向上、東西の地域特性を生かしたまちづくりが検討されています。
ただし、リニア中央新幹線の開業時期には不確定な要素があります。
不動産の売却判断では、「開業すれば必ず値上がりする」という前提だけで長期間保有するのではなく、現在の需要、保有費用、建物の劣化なども含めて検討する必要があります。
栄地区|商業施設だけでなく、歩いて回れる街へ
栄地区では、久屋大通を中心とした公共空間の再整備や、公有地・民有地を活用した開発が進められています。
久屋大通南エリアについても再整備構想が策定され、事業化に向けた調査が行われています。また、旧教育館跡地を含む街区では、本格的な活用に向けた民間事業者への調査が進められています。
栄の変化で重要なのは、一つの大型施設ができることだけではありません。
地下鉄駅、地下街、商業施設、オフィス、公園などの間を人が歩きやすくなり、街を回遊する範囲が広がるかどうかです。
不動産価値への波及を見る場合も、「栄に近いか」だけでなく、駅や主要施設からの歩行動線に入っているかを確認する必要があります。
金山駅周辺|交通結節点としての可能性と計画の時間軸
金山は、JR、名鉄、地下鉄が利用できる名古屋市内有数の交通結節点です。
名古屋市は2025年2月に「金山駅周辺まちづくり計画」と「アスナル金山エリア再整備実施方針」を策定しました。
一方、2026年3月には、工事費高騰などを背景に再整備の検討・調整には一定期間が必要として、アスナル金山の営業期間を2035年度末まで延長する方針が示されています。
これは、再開発計画が公表されても、予定どおり直ちに事業化・完成するとは限らないことを示す一例です。
金山周辺の不動産を査定するときも、「再開発予定地だから」という期待だけではなく、現在の駅利用者、住宅需要、道路条件、用途地域などを確認する必要があります。
熱田神宮周辺|観光と地域の回遊性を高めるまちづくり
熱田神宮周辺では、観光客が駅や神宮周辺だけで滞留するのではなく、周辺地域を歩いて楽しめる街を目指した取り組みが進められています。
2026年度から2028年度までのアクションプログラムでは、回遊手段や経路、熱田らしい場所づくり、地域のにぎわいを生み出す担い手づくりなどが掲げられています。
ただし、観光客の増加が、そのまま周辺すべての住宅地の価格上昇につながるわけではありません。
店舗や宿泊施設などの事業需要と、戸建住宅を求める需要では、土地に求める条件が異なります。
再開発の恩恵を受けやすい土地の7つの特徴
1.駅から実際に歩きやすい
不動産広告の「駅徒歩○分」は、道路距離を一定の基準で換算した表示です。
しかし、買主は数字だけを見ているわけではありません。
- 信号や踏切が多くないか
- 歩道が整備されているか
- 夜間も歩きやすいか
- 坂道や高低差がないか
- 駅まで遠回りする必要がないか
- 大きな道路や線路を横断するか
同じ徒歩10分でも、実際の歩きやすさによって印象は大きく変わります。
私が査定時に現地を歩くのは、地図上の距離だけではわからない「駅までの質」を確認するためです。
2.人の流れが土地の前まで届いている
街を歩いていると、「人が立ち止まる道路」と「通過するだけの道路」があります。
再開発で来訪者が増えても、その人流が物件周辺まで広がらなければ、店舗や事業用地としての評価にはつながりにくいでしょう。
反対に、駅から主要施設までの動線上にあり、視認性が高い土地は、商業・事業用途から評価される可能性があります。
住宅地の場合は、人通りの多さよりも、駅や買い物施設へ安全に移動できる生活動線が重要になります。
3.前面道路と接道条件が良い
土地の評価で、駅距離と同じくらい重要なのが道路です。
- 建築基準法上の道路か
- 道路幅員はどの程度か
- 敷地が道路へ何メートル接しているか
- セットバックが必要か
- 普通車や工事車両が進入できるか
- 私道の場合、通行や掘削の承諾に問題がないか
前面道路が狭ければ、建築工事や解体工事の費用が高くなる場合があります。
再開発エリアに近くても、建物を建てにくい土地は、買主が負担する費用やリスクを差し引いて評価されます。
4.間口と土地形状に使いやすさがある
同じ面積でも、土地の形によって建築計画は変わります。
整形地で一定の間口があれば、建物や駐車場を配置しやすくなります。
一方、旗竿地、狭小間口、不整形地では、次のような問題が生じることがあります。
- 建物の配置が限定される
- 駐車計画が難しい
- 採光や通風を確保しにくい
- 解体・建築車両が入りにくい
- 建築できる床面積を十分に使えない
「土地が広いから高い」とは限りません。
買主が実際に使える面積と、建築計画の自由度が評価されます。
5.住宅以外の利用可能性がある
駅周辺や幹線道路沿いでは、住宅用地だけでなく、店舗、事務所、賃貸住宅などの事業用地として評価される場合があります。
このとき重要になるのが、用途地域、建ぺい率、容積率、高度地区、防火規制などです。
駅に近くても、希望する用途や規模の建物を建築できなければ、事業者の検討対象から外れることがあります。
再開発の恩恵を受けやすい土地とは、「何でも建てられる土地」ではなく、その地域で増える需要に合った利用ができる土地です。
6.境界や権利関係が整理されている
再開発によって地域への注目が高まっても、境界や権利関係に問題があれば、売買をすぐに進められません。
- 境界標が見つからない
- 隣地との越境がある
- 私道持分がない
- 共有者の同意が得られない
- 相続登記が終わっていない
- 借地・使用貸借などの関係が残っている
このような問題は、土地の価値がないという意味ではありません。
ただし、解決に必要な期間と費用が売却条件へ影響します。
7.現在の需要が確認できる
将来の計画より先に確認したいのが、現在、その土地を誰が買うのかという点です。
想定される買主には、次のような違いがあります。
- 自宅を建てたい一般の購入者
- 建売住宅を計画する不動産会社
- 賃貸住宅を建築する投資家
- 店舗や事務所を計画する事業者
- 隣地を広げたい隣接所有者
買主によって、重視する条件も購入できる価格も異なります。
再開発の恩恵を受けにくい土地の特徴
駅から遠く、交通手段が限られている
中心部の再開発が進んでも、駅から離れるほど直接的な効果は届きにくくなります。
ただし、駅から遠い土地が一律に売れないわけではありません。
駐車場を確保しやすく、道路環境や学校、買い物施設などが整っていれば、ファミリー層から評価される可能性があります。
重要なのは、その地域の生活が鉄道中心なのか、自動車中心なのかを見極めることです。
前面道路が狭く、車両が入りにくい
名古屋市内には、古くからの住宅地や木造住宅が密集する地域もあります。
前面道路が狭い土地では、セットバックによって有効宅地面積が減ったり、解体・建築費が割高になったりする場合があります。
再開発による地域の期待感よりも、土地固有の工事条件が価格へ強く影響することがあります。
再建築の条件が複雑
建築基準法上の道路に必要な長さで接していない土地は、原則として再建築が難しくなります。
ただし、前面道路が4メートル未満だからといって、直ちに再建築不可になるわけではありません。
道路種別や接道状況を行政窓口などで調査し、個別に判断する必要があります。
再建築不可または再建築条件が厳しい土地では、一般の住宅購入者が住宅ローンを利用しにくく、買主が投資家や隣地所有者などに限定される可能性があります。
解体・造成などの追加費用が大きい
売却価格を見るときは、土地の金額だけでなく、買主が取得後に負担する費用も考えなければなりません。
- 古家の解体費
- 残置物撤去費
- アスベスト調査・除去費
- 擁壁の改修費
- 地盤改良費
- 上下水道やガスの引込費
- 確定測量費
- 越境解消費
買主は、これらの費用を見込んで購入価格を検討します。
「周辺の更地が坪○万円で売られているから、自分の古家付き土地も同じ価格になる」とは限りません。
街歩きで感じる「同じ町内でも価格が変わる理由」
不動産の現地調査では、対象物件だけを見るのでは足りません。
私は可能な限り、駅から物件までの道や周囲の住宅地を歩くようにしています。
歩いてみると、地図や査定システムではわからない違いが見えてきます。
一本大きな道路を渡るだけで、街の雰囲気が変わることがあります。
同じ町内でも、一方は建て替えが進み、若い世帯の入居が増えている。もう一方では、空き家や月極駐車場が目立つ。そのような場所もあります。
また、昼間は静かな道路でも、朝夕には抜け道として交通量が増えることがあります。
反対に、駅に近くても夜間は暗く、買主が不安を感じる道もあります。
こうした街の変化や空気感を価格へ機械的に換算することはできません。
しかし、購入希望者が現地を見たときに感じる印象として、売却期間や成約価格へ影響する可能性があります。
名古屋市の不動産市場で進むのは「一律上昇」ではなく選別
今後の名古屋市の不動産市場では、すべての土地が同じように上昇するというより、需要を維持できる土地と、買主が限られる土地との差が広がる可能性があります。
例えば、次の2つの土地があったとします。
Aの土地
- 駅徒歩5分
- 整形地
- 一定の間口がある
- 前面道路が広い
- 境界が明確
- 住宅と事業の両方を検討できる
この土地は、一般購入者、不動産会社、投資家など、複数の買主が検討できる可能性があります。
Bの土地
- 駅から距離がある
- 旗竿地
- 前面道路が狭い
- 古家と残置物がある
- 越境や境界が未整理
- 再建築条件の確認が必要
この土地は、買主が限定され、購入後の費用も多く見込まれます。
同じ名古屋市内でも、売却条件に大きな差が出るのはこのためです。
ただし、Bの土地に価値がないということではありません。
一般の住宅購入者だけでなく、隣地所有者、再生事業者、投資家などへ買主の範囲を広げることで、出口が見つかる場合があります。
「再開発まで待てば高く売れる」とは限らない
売却相談でよく聞かれるのが、
「5年後まで待てば、もっと高くなりますか」
という質問です。
将来の価格を確実に予測することはできません。
また、売却を待つ間にも、次の費用やリスクが発生します。
- 固定資産税・都市計画税
- 建物の管理費
- 草木の剪定費
- 雨漏りや外壁などの修繕費
- 火災保険料
- 建物劣化による解体費用の増加
- 市場金利や住宅ローン環境の変化
- 家族構成や相続関係の変化
特に空き家の場合、価格上昇を待っている間に建物が劣化し、結果として売却条件が悪くなることもあります。
将来の期待値だけでなく、
待つことで得られる可能性のある利益
と
待つ間に発生する費用・リスク
を比較することが重要です。
不動産売却で重要なのは「未来予測」より現在価値の分析
リニアや再開発のニュースは、名古屋市の将来性を考えるうえで重要です。
しかし、不動産売却では、将来の予想だけを査定価格に上乗せすることはできません。
まず確認すべきなのは、現在の市場でその不動産を誰が、何のために買うのかです。
実務上は、次の順番で整理します。
- 道路・接道・用途地域などを調査する
- 境界・越境・相続登記などの問題を確認する
- 建物を残す場合と解体する場合を比較する
- 想定される買主を複数考える
- 周辺の売出価格ではなく成約事例を確認する
- 売却に必要な費用を差し引いて手取り額を計算する
- 現在売る場合と保有を続ける場合を比較する
査定価格が高いか低いかだけではなく、その価格で誰が購入するのか、どの程度の期間で売却できるのかまで考える必要があります。
まとめ|再開発の「近さ」ではなく、需要とのつながりを見る
名古屋市では、名古屋駅、栄、金山、熱田神宮周辺などで、リニア開業を見据えた再開発やまちづくりが進められています。
ただし、
「再開発エリアだから高く売れる」
「駅に近いから必ず価格が上がる」
「完成まで待てば得をする」
と一律に判断することはできません。
再開発の恩恵を受けやすい土地には、次のような共通点があります。
- 新しい人流や生活動線につながっている
- 駅まで実際に歩きやすい
- 道路・接道条件が良い
- 間口と土地形状が使いやすい
- 地域の需要に合った建物を計画できる
- 境界や権利関係が整理されている
- 複数の買主が検討できる
これからの名古屋市の不動産売却で必要なのは、再開発のニュースを追うことだけではありません。
街を見る力
土地を見る力
現在の買主を見る力
この3つを組み合わせ、その不動産に合った売却方法を考えることが大切です。
名古屋市で不動産売却をご検討の方へ
ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、土地、戸建て、空き家、相続不動産の売却をお手伝いしています。
私は査定システムの数字だけで判断せず、実際に現地と周辺を歩き、次の点を確認することを大切にしています。
- 最寄り駅までの経路
- 周辺の人と車の流れ
- 前面道路と接道状況
- 土地の間口と形状
- 建て替えや新築の動き
- 空き家や駐車場の増減
- 周辺施設と生活環境
- 想定される買主の需要
また、一般的な土地だけでなく、旗竿地、狭小間口、再建築不可の可能性がある土地、私道に接する土地、境界や越境に問題がある土地、長期間放置された空き家についても、資料と現地を確認しながら出口を検討します。
「再開発まで売却を待つべきか」
「今の査定価格が適正かわからない」
「古い建物を解体してから売るべきか」
「他社から売却は難しいと言われた」
このような段階でも構いません。
現在の価格だけでなく、保有を続ける費用や将来のリスクも整理し、所有者様に合った売却方法を一緒に考えます。
名古屋市の不動産売却、空き家、相続不動産でお悩みの方は、ふどうさんのMAGOへお気軽にご相談ください。
対応エリア
名古屋市南区・港区・緑区・瑞穂区・熱田区・昭和区・天白区・中川区・中村区・中区・千種区・名東区・守山区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。
※本記事は2026年9月時点で公表されている情報をもとに作成しています。再開発計画、事業時期および内容は、工事費、事業者との調整その他の事情により変更される可能性があります。また、将来の不動産価格や売却価格の上昇を保証するものではありません。


