【名古屋市の市街化調整区域】その土地、本当に売れませんか?「売却できる物件」の共通点と成功の裏側

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〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

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目次

「ゼロ円でもいりません」と言われた土地から始まった話

こんにちは。

趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。

「市街化調整区域なので、うちでは扱えません」

売主様が最初の不動産会社から受けた説明は、それだけでした。

相続したのは、名古屋市郊外にある古い建物付きの土地です。

周囲には住宅があり、道路もあります。少し先には新しい建物も見えます。現地だけを見れば、特別な土地には感じられません。

それでも都市計画図では、市街化調整区域。

別の会社へ相談すると、今度はこう言われたそうです。

「建て替えが難しいので、値段は付かないと思います」

売主様は、私に会ったときには、すでに価格の話をしなくなっていました。

「固定資産税と草刈りから解放されるなら、引き取ってもらうだけでもいいです」

その言葉を聞いたとき、私はすぐに「売れます」とは答えませんでした。

市街化調整区域の土地は、調べる前に期待を持たせる方が危険だからです。

しかし、「売れない」と決めるのも早すぎました。

その土地には、まだ確認されていないことがいくつもあったからです。

建物は、いつ、何の根拠で建てられたのか。

過去の許可記録は残っているのか。

接道、地目、農地性、インフラはどうなっているのか。

住宅としてしか売れない土地なのか。

隣地や周辺事業者にとって、別の価値はないのか。

市街化調整区域の売却では、価格を付ける前に、土地の「使える範囲」を調べなければなりません。

🟨 市街化調整区域だから売れないのではありません。何ができて、何ができず、何がまだ確認できていないのか。その境界が見えない土地ほど、買主が判断できず売れにくくなるのです。

この記事では、名古屋市の市街化調整区域が売れにくい理由、売却できる物件の共通点、建築・農地・融資の注意点、実務での失敗、専門家の役割、売主様が確認すべき資料について、現場目線でお伝えします。

※本文の事例は、相談者様や物件を特定できないよう、複数の相談・実務経験をもとに所在地、面積、人物、会話、経緯等の一部を調整して構成しています。


第1章|そもそも名古屋市の市街化調整区域とは

名古屋市の約93%は市街化区域。それでも境界の外側には別のルールがある

都市計画では、無秩序な市街化を防ぎ、計画的に街をつくるため、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分けています。

市街化区域は、すでに市街地を形成している区域、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域です。

市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。

名古屋市では市域の約93%が市街化区域ですが、中川区、港区、守山区、緑区などの一部には市街化調整区域があります。

市街化調整区域は「何もしてはいけない土地」ではありません。

しかし、市街化区域と同じ感覚で、住宅、店舗、倉庫などを自由に新築できる土地でもありません。

市街化調整区域では、許可不要とされるものを除き、開発行為に市長の許可が必要です。開発行為を伴わない建築や用途変更についても、内容により都市計画法上の建築許可が必要になります。

ここで注意したいのは、都市計画法上の許可と建築基準法上の建築確認は別だということです。

接道条件を満たしている。

建築基準法上は建てられそうだ。

それだけで、市街化調整区域内の建築が認められるとは限りません。

反対に、市街化調整区域だから一律に何も建てられないとも限りません。

土地の履歴、建築目的、許可基準、既存建物の経緯などを個別に確認する必要があります。

🟥 「売買できる」「建築できる」「希望用途に使える」は、三つの別の問題です。所有権を売買できても、買主が計画する建物や用途が認められるとは限りません。


市街化区域との違いを、売却実務で整理する

確認項目市街化区域市街化調整区域
都市計画上の基本姿勢市街化を進める区域市街化を抑制する区域
開発行為規模・内容により許可許可不要のものを除き原則許可が必要
建築・用途変更用途地域等の制限を確認都市計画法上の許可も個別確認
住宅ローン一般的な審査再建築性・担保性から慎重になる場合がある
農地農地法上の手続きが必要転用許可の可否をより慎重に確認
買主層住宅、事業、投資など比較的広い許可条件や用途を理解する買主に限定されやすい

この表は一般的な整理です。

実際には、同じ市街化調整区域でも土地ごとに条件が異なります。


第2章|住宅地に見えるのに、なぜ同じように建てられないのか

私が街歩きで感じる「境界線の不思議」

守山区の外縁部を歩くと、丘陵と農地の間に住宅が点在しています。

緑区では、昔からの集落、畑、新しい住宅地が近い距離に並ぶ場所があります。

中川区や港区の西部へ行けば、田畑、水路、資材置場、物流関係の土地、昔からの住宅が混在しています。

都市計画図の境界線は、現地の道路に太い線で描かれているわけではありません。

一本の道を挟んで、市街化区域と市街化調整区域が分かれることもあります。

だから所有者様は、隣の新築住宅を見てこう思います。

「隣に建っているのだから、うちも建てられるでしょう」

しかし隣地には、隣地の事情があります。

市街化区域に入っているのかもしれません。

線引き前からの土地所有や建築に関係する許可を得たのかもしれません。

過去の開発許可区域に含まれているのかもしれません。

建築目的や申請者の要件が違うのかもしれません。

地区計画など別の制度に基づいている可能性もあります。

外から同じように見えることは、法的条件が同じである証明にはなりません。

🟨 名古屋市は一つの自治体でも、一筆ごとの土地の履歴は一つではありません。「行政の温度差」ではなく、判断の前提条件が異なる可能性を最初に考えることが大切です。


「家がある」と「同じ家を建て直せる」は別

市街化調整区域で最も多い誤解の一つです。

現在、住宅が建っている。

電気も水道も使っている。

固定資産税も宅地として払っている。

それでも、将来の建て替えが当然に認められるとは限りません。

既存建物が適法に建築されたか。

どの許可基準に基づいたか。

現在の建物と次の建物で、用途や規模が変わらないか。

建築する人の資格や土地所有の経緯が要件になっていないか。

敷地を分割・拡張していないか。

接道や災害リスクなど、現在の基準を満たせるか。

確認する内容は多岐にわたります。

また、「既存宅地」という言葉にも注意が必要です。

市街化調整区域の旧来の既存宅地確認制度は、平成12年の都市計画法改正により廃止されています。

過去に既存宅地の確認を受けた記録や従前の経緯が検討材料になる場合はありますが、

「昔から宅地だから、誰でも自由に再建築できる」

という意味ではありません。

🟥 「既存宅地です」という一言を、再建築保証のように使ってはいけません。確認すべきなのは言葉ではなく、許可・確認の記録と、現在の計画に適用される基準です。


第3章|なぜ市街化調整区域は売れにくいのか

壁1|建築の不確実性

買主が住宅を建てたいとしても、許可の見通しが分からなければ購入判断はできません。

「おそらく大丈夫です」では、土地代、建築費、諸費用を負担する決断は難しいでしょう。

特に、購入後に行政相談を始める販売方法では、買主が大きなリスクを背負います。

可能な範囲で売却前または購入検討の早い段階に、対象地、予定用途、建築計画を整理して行政や専門家へ確認する必要があります。

壁2|金融機関の慎重な評価

住宅ローンや事業融資では、借主の返済能力だけでなく、不動産の担保性も確認されます。

再建築の条件が不明確。

許可が買主や用途に結びついている。

将来の流通性が読みづらい。

こうした物件では、金融機関が融資額、期間、担保評価を慎重に判断することがあります。

ただし、「市街化調整区域なら住宅ローンは使えない」と一律に断定することもできません。

既存建物の適法性、再建築の見通し、物件の状態、申込人、金融機関の審査方針によって結果は異なります。

壁3|農地法

登記地目や現況が農地の場合、都市計画法だけを確認しても足りません。

市街化調整区域内の農地を住宅敷地、駐車場、資材置場など農業以外の用途へ変更する場合、原則として農地転用の許可が必要です。

売買を伴う転用であれば、農地法第5条の手続きを検討します。

さらに農用地区域に含まれる場合は、農用地区域からの除外を含め、別のハードルが生じることがあります。

「建物を建てない資材置場だから大丈夫」

とは限りません。

造成、盛土、舗装、排水、出入口工事、農地転用、条例、近隣環境などの確認が必要です。

壁4|需要の狭さ

市街化区域の宅地なら、戸建住宅を建てたい多くの人が購入候補になります。

市街化調整区域では、使える用途や許可条件によって候補者が絞られます。

候補者が少ないことは、価値がゼロという意味ではありません。

ただし、一般住宅地と同じ広告を出して待つだけでは、必要とする人へ届きにくいということです。

壁5|所有者自身の疲れ

売却活動が長くなると、草刈り、固定資産税、建物管理、近隣対応が続きます。

不動産会社へ相談するたびに「難しい」と言われると、所有者様は次第に価格よりも解放を求めるようになります。

「もう、いくらでもいいです」

この状態で最初に出た買取価格だけを受け入れると、本来比較できたはずの選択肢を失うことがあります。

市街化調整区域の売却で最初に整理すべきなのは、土地だけではありません。

売主様がどれだけ疲れているか、いつまで管理を続けられるかも重要です。


第4章|売却できる物件に共通する5つのこと

共通点1|「できること」と「できないこと」が分かれている

売れる物件は、何でもできる土地とは限りません。

むしろ、制限があっても説明できる土地です。

  • 現在の建物がどの許可・確認で建てられたか
  • 建て替えにどのような確認が必要か
  • 予定用途について行政へ何を相談したか
  • どの部分が未確認か
  • 買主側で何を再確認する必要があるか

買主は「絶対に大丈夫」という保証だけを求めているわけではありません。

自分が負うリスクの範囲を知りたいのです。

共通点2|過去の資料が集められている

市街化調整区域では、現在の都市計画図だけでなく、過去の経緯が重要になる場合があります。

建築確認済証、検査済証。

開発許可、建築許可の通知書。

開発登録簿。

古い図面。

固定資産税関係資料。

農地転用の許可書。

土地取得時の契約書。

相続した家の押入れから出てきた一枚の許可書が、調査を大きく進めることもあります。

名古屋市では、開発許可の内容を一般の方が確認できるよう、開発登録簿の閲覧所を設けています。参考マップだけで確定せず、必要に応じて登録簿の閲覧や写しの取得を検討します。

共通点3|用途が現実的である

「資材置場向き」と広告へ書くだけでは足りません。

大型車が入れるのか。

道路幅と曲がり角はどうか。

住宅地に近く、騒音やほこりが問題にならないか。

造成や農地転用が可能か。

排水先があるか。

夜間利用に支障はないか。

住宅なら、許可、接道、インフラ、融資を確認します。

駐車場なら、出入口、舗装、排水、需要を確認します。

事業用地なら、建築用途、交通、周辺環境、許認可を確認します。

🟨 用途は広告会社が命名するものではありません。法令、現地、採算を確認したうえで、買主が実現可能性を判断するものです。

共通点4|買主が具体的である

市街化調整区域で「幅広く一般公開する」ことは必要です。

しかし、それだけでは成約しないことがあります。

買う可能性があるのは誰か。

  • 隣地所有者
  • 周辺で事業を営む会社
  • 建設・土木関係事業者
  • 駐車や資材保管の場所を探す事業者
  • 既存建物を利用できる個人・法人
  • 許可要件を満たす可能性のある住宅需要者
  • 農地として取得・利用できる人

「誰でも買える土地」と見せるのではなく、「この条件を理解し、この使い方を検討できる人」へ届けます。

共通点5|価格が用途から逆算されている

市街化区域の住宅地単価をそのまま掛け、市街化調整区域だから一律に何割か引く。

それだけでは適正価格になりません。

買主が見込むのは、土地代だけではないからです。

  • 許可・設計・調査費
  • 測量・境界確定費
  • 農地転用等の手続き費用
  • 造成・盛土・排水・舗装費
  • 上下水道等の引込費
  • 解体・残置物処分費
  • 融資条件
  • 利用開始までの時間
  • 将来の売却リスク

想定用途から収益や便益を考え、必要費用とリスクを差し引く。

市街化調整区域の価格は、近隣事例だけでなく、「利用可能性」から逆算する視点が必要です。


第5章|私の失敗談——「資材置場なら売れる」と先走った

以前、名古屋市西部の市街化調整区域にある土地について相談を受けました。

現況は草地に近く、周囲には農地と事業用地が混在していました。

住宅用地としては難しそうでしたが、近くには建設関係の会社があり、道路からも近く見えました。

私は現地を一度歩き、こう考えました。

「住宅が難しくても、資材置場なら需要があるかもしれない」

方向性そのものは間違いではありません。

しかし私は、用途の可能性を考えることと、その用途を実現できることを、頭の中で近づけすぎました。

詳しく確認すると、土地は農地としての手続きが問題になりました。

前面道路は地図で見た印象より狭く、大型車の出入りには切り返しが必要でした。

雨の日に再訪すると、低い部分へ水が集まっていました。

近隣には住宅もあり、頻繁な車両出入りを前提とした利用には慎重な検討が必要でした。

最初の見立てのまま、

「資材置場に向いています」

と広告していたら、買主へ誤った期待を持たせていたかもしれません。

売主様へは、正直に訂正しました。

「資材置場の可能性はありますが、現時点で適地とは断定できません。農地転用、車両動線、排水、周辺への影響を確認してから販売方法を決めさせてください」

売主様は少し落胆されました。

私も、早く出口を示したい気持ちが先に出ていたと反省しました。

調査をやり直した結果、大型車が頻繁に出入りする資材置場ではなく、周辺で小規模な事業をしている方による、車両台数を抑えた利用の検討へ方向が変わりました。

用途、必要な手続き、整備費用を確認し、実現しない場合の解除条件も含めて協議しました。

結果として話は進みましたが、成功の理由は私が最初に用途を思いついたことではありません。

最初の思いつきを一度捨て、雨の日にも現地へ戻り、使えない可能性まで調べたことでした。

🟥 市街化調整区域では、良さそうな用途を見つけた瞬間が、最も危ないことがあります。「使えそう」を「使える」に変えるには、法令、現地、費用の三つを確認しなければなりません。


第6章|想定外の展開——企業より先に手を挙げたのは隣の農家だった

別の相談では、売主様は事業者への売却を希望していました。

土地が広かったため、物流、資材置場、駐車場など、法人利用を想定していたからです。

ところが、接道、造成費、農地関係の手続きを整理すると、売主様が期待した価格で大規模な事業利用を成立させるのは簡単ではありませんでした。

複数の会社へ情報を届けましたが、返ってくるのは厳しい金額ばかりでした。

売主様は、

「やっぱり調整区域の土地は、業者に安く買われるしかないんですね」

と話されました。

その土地を再び歩いたとき、隣地側に農作業用の細い出入口が見えました。

隣地所有者へ売却を迫るのではなく、売主様の了承を得て、現在の利用で困っていることがないかを伺いました。

すると、隣地の方は以前から、農機具の動線と耕作地のまとまりに悩んでいました。

土地全部は必要ありません。

しかし、一部または一体的な利用を検討できれば、作業効率が変わる可能性がありました。

一般市場では「建築しにくい土地」です。

隣地から見れば、「農地を使いやすくする土地」でした。

最終的には農地法上の手続き、境界、分筆の要否、費用負担を確認し、売主様が想定していなかった相手との協議が進みました。

この経験で、改めて感じました。

市街化調整区域の価値は、建物を建てられるかだけで決まらない。

ただし、隣地なら必ず高く買うわけでもありません。

相手にとっての便益、必要な手続き、測量・分筆費、代替手段を比較して初めて価格が見えてきます。

🟩 売れない土地と、まだ必要としている人へ届いていない土地は違います。市場の中心から外れた土地ほど、隣接関係や地域の使われ方が価値を左右します。


第7章|専門家は何を見るのか

不動産会社

都市計画、許可履歴、接道、地目、境界、インフラ、需要、価格、契約条件を整理し、誰へどのように売るかを考えます。

不動産会社が単独で建築許可や農地転用を保証することはできません。

行政・開発指導担当

都市計画法上の開発・建築許可について、計画と資料に基づき確認します。

「この土地は売れますか」ではなく、対象地、既存建物、過去の許可、予定用途、建物計画を示して相談することが重要です。

建築士・建築会社

希望する建物の用途、規模、配置、接道、インフラ、造成、工事可能性を検討します。

都市計画法上の許可だけでなく、建築基準法その他の規制も確認します。

行政書士

開発許可や農地転用など、担当分野の許認可申請を支援します。資格者によって取扱分野が異なるため、同種案件の経験を確認します。

土地家屋調査士

境界、現況測量、確定測量、分筆、地目に関係する登記などを担当します。

建築許可の可否や擁壁の安全性を判断する専門家とは役割が異なります。

農業委員会・農政担当

農地の権利移転、農地転用、農用地区域等について確認します。

金融機関

買主の返済能力だけでなく、物件の担保評価、再建築性、許可条件、建物の適法性などを審査します。

🟨 市街化調整区域では、専門家を増やせば解決するわけではありません。「誰に、何を、どの資料で聞くか」を整理する人が必要です。


第8章|売却前に集めたい15の資料・確認事項

  1. 登記事項証明書と公図
  2. 地積測量図、確定測量図、境界確認書
  3. 都市計画情報と区域区分
  4. 建築基準法上の道路種別、幅員、接道長さ
  5. 開発許可・建築許可の通知書
  6. 開発登録簿、土地利用計画図等
  7. 建築確認済証、検査済証、建築計画概要書
  8. 建物図面、増改築・用途変更の履歴
  9. 線引き時期と土地所有・利用の履歴
  10. 登記地目と現況、農地性
  11. 農地法上の許可・届出履歴
  12. 農業振興地域・農用地区域等の該当性
  13. 上下水道、ガス、電気、排水先
  14. 洪水、内水、土砂災害、盛土等の公的情報
  15. 固定資産税、維持管理費、解体・造成費

すべての資料が残っているとは限りません。

重要なのは、資料がないことを隠さず、どの方法で補うかを考えることです。

「許可書がない」ことだけで直ちに違法と断定することも、「役所に記録があった」ことだけで現在の計画が認められると断定することもできません。


第9章|売却成功までの7段階

第1段階|売主様の希望を価格以外も含めて聞く

いつまでに売りたいか。

管理をどこまで続けられるか。

建物を残したいか。

近隣へ知られず売りたいか。

測量や造成へ先に費用を出せるか。

相続人全員の合意があるか。

第2段階|土地と建物の履歴を集める

権利証や登記識別情報だけでなく、古い許可書、建築図面、農地関係書類、契約書、写真を探します。

第3段階|現地を複数の時間・天候で歩く

道路幅。

大型車の動線。

水の流れ。

近隣住宅との距離。

土地の高低差。

雑草を刈る前でなければ分からない湿り方もあります。

私は市街化調整区域ほど、晴れた昼だけでなく雨の後にも見る価値があると考えています。

第4段階|法令と許可履歴を調べる

都市計画情報、開発登録簿、建築関係資料、農地関係、道路、インフラを確認します。

第5段階|出口を複数つくる

売却・活用案主な確認点
既存住宅として売る適法性、利用可能性、再建築、融資、修繕
住宅用地として売る許可要件、接道、建築計画、インフラ
事業用地として売る用途、開発・建築許可、交通、周辺環境
駐車場・資材置場用途農地転用、造成、排水、出入口、近隣影響
農地として売る取得資格・農地法手続き、営農条件
隣地へ提案する一体利用価値、境界、分筆、交渉条件
不動産会社の買取価格、免責範囲、残置物、測量、決済時期

第6段階|価格ではなく最終手取りと確実性を比較する

高い申込みでも、許可、融資、農地転用を条件とし、長期間結論が出ない場合があります。

低い申込みでも、現金購入、現況引渡し、残置物承継など、売主様の負担が小さい場合があります。

売買価格、必要経費、期間、解除条件、契約不適合責任、管理負担を並べて比較します。

第7段階|契約条件に未確定事項を反映する

許可や融資が未確定なら、誰が、いつまでに、何を申請し、認められない場合にどうするかを契約で整理します。

売却を急ぐあまり、曖昧な口約束のまま進めてはいけません。


第10章|市街化調整区域の売却で避けたい10の失敗

1.市街化調整区域というだけで価格をゼロにする

制限は大きくても、既存建物、隣地需要、農地利用、事業上の必要性など、別の価値が残る場合があります。

2.家が建っているから再建築できると説明する

既存建物の存在と、次の建築の可否は分けて確認します。

3.「既存宅地」を万能な言葉として使う

旧制度は廃止されています。履歴と現行基準を確認してください。

4.農地を先に造成する

許可前の盛土、砂利敷き、舗装などが問題になる可能性があります。着手前に確認します。

5.資材置場なら何でも使えると思う

農地転用、造成、排水、出入口、騒音、交通、条例等を確認します。

6.解体してから調査する

既存建物が利用価値や許可履歴の手掛かりになる場合があります。解体前に確認します。

7.役所へ「売れますか」とだけ聞く

行政は市場価格を判断する場所ではありません。予定用途と計画を具体化して質問します。

8.一社の買取価格だけで決める

買取が最適な場合もありますが、仲介、隣地提案、農地利用等と条件を比較します。

9.許可見込みを契約書へ反映しない

許可が得られない場合の解除、費用負担、原状回復、期限を整理します。

10.高い査定を調査力だと思う

市街化調整区域で重要なのは、最初の数字より、その数字の前提を説明できることです。


よくある質問

市街化調整区域の土地は売買できますか

売買自体が一律に禁止されているわけではありません。ただし、農地の場合は権利移転や転用に農地法上の許可等が必要になることがあります。また、購入後の建築・用途変更が認められるかは別途確認が必要です。

古い住宅があれば、買主も建て替えできますか

建物があるだけでは判断できません。建築・開発許可の履歴、用途、敷地、申請者要件、接道、現行基準などを個別に確認します。

既存宅地なら再建築できますか

旧来の既存宅地確認制度は廃止されています。過去の確認や土地利用履歴が検討材料になることはありますが、「既存宅地」という呼び名だけで再建築可能とは判断できません。

資材置場や駐車場なら許可はいりませんか

一律には言えません。建物を建てなくても、農地転用、造成、盛土、舗装、排水、出入口、条例等の手続きや確認が必要になる場合があります。

市街化調整区域では住宅ローンを利用できませんか

利用できる場合もあります。ただし、適法性、再建築性、担保評価、買主の属性、金融機関の方針によって審査結果が異なります。契約前の早い段階で金融機関へ相談することが重要です。

行政へ相談すれば建てられるようにしてもらえますか

行政は法令と基準に基づいて判断します。個人的な事情だけで許可されるものではありません。対象地、過去の資料、具体的な建築・利用計画を準備して相談します。

売却前に建物を解体した方がよいですか

先に解体すると、既存建物としての利用可能性や調査の手掛かりを失う場合があります。再建築、許可履歴、建物状態、解体費、税務への影響を確認してから判断してください。

市街化調整区域の査定は無料でできますか

一般的な査定は可能ですが、行政協議、測量、建築・許認可の専門判断などには別途費用が発生する場合があります。どこまでが査定に含まれるか、事前に確認することが大切です。


まとめ|市街化調整区域は「売れない土地」ではなく、順番を間違えると売れなくなる土地

市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。

建築や開発に制限があり、農地法や金融機関の審査も関係します。

一般的な住宅地より、売却に時間と調査が必要になることは事実です。

しかし、

市街化調整区域だから価値がない。

古い家だから建て替えられない。

農地だから誰も買わない。

そう決めるのは、調査をした後でも遅くありません。

売却できる物件には共通点があります。

何でもできることではありません。

できることと、できないことが分かれている。

過去の許可や利用履歴が整理されている。

現実的な用途が見えている。

その用途を必要とする買主へ届いている。

費用とリスクを反映した価格になっている。

つまり、売却力を左右するのは、土地の肩書きよりも判断材料の整い方です。

私は街を歩くたびに、土地は道路の内側だけで完結していないと感じます。

隣の農地。

向かいの会社。

昔からの水路。

車が曲がる角。

雨の日に水が集まる場所。

押入れに残された古い許可書。

それらがつながったとき、机上査定では見えなかった出口が見つかることがあります。

もちろん、調べても希望する使い方が難しい土地はあります。

高い価格では売れないこともあります。

それを曖昧にして期待だけを持たせることは、専門家の仕事ではありません。

一方で、調査もせず「調整区域なので無価値です」と終わらせることも、土地の可能性を奪います。

🟥 不動産会社の仕事は、売れない理由を一つ見つけて査定を終えることではありません。

🟩 何が障害なのかを分け、誰なら判断できるのかを考え、売主様が選べる出口をつくることです。

その土地、本当に売れませんか。

答えは、広告の中ではなく、現地と資料の間にあります。


名古屋市で市街化調整区域の土地・空き家を売却したい方へ

ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、市街化調整区域、相続空き家、農地を含む土地、再建築が難しい不動産、旗竿地、私道・境界に問題がある物件などの売却をお手伝いしています。

次のような段階でも構いません。

  • 市街化調整区域だから売れないと言われた
  • 家があるのに再建築できるか分からない
  • 既存宅地と言われたが根拠資料がない
  • 開発許可や建築許可の履歴を確認したい
  • 農地を資材置場・駐車場として売りたい
  • 住宅ローンが通らず契約直前で話が流れた
  • 相続した土地の地目や境界が分からない
  • 買取価格が低く、受け入れるべきか迷っている
  • 隣地や地元事業者への提案も検討したい
  • 県外に住んでいて草刈りや建物管理ができない

最初から「売れます」「建てられます」と断定することはできません。

都市計画、過去の許可、建築、接道、農地性、境界、インフラ、災害情報、周辺利用を整理したうえで、仲介、買取、隣地提案、農地利用、事業用途などを比較します。

価格だけではなく、売却までの期間、必要経費、許可の不確実性、契約条件、管理負担を含め、売主様が納得できる出口を一緒に考えます。

「市街化調整区域」という文字だけで諦める前に、その土地がまだ説明されていないだけではないか、確認してみませんか。

対応エリア

名古屋市南区・港区・緑区・千種区・熱田区・名東区・昭和区・瑞穂区・中村区・中川区・守山区・中区・天白区をはじめ、名古屋市全域および刈谷市、岡崎市、一宮市、豊田市、半田市、あま市、豊川市、津島市、碧南市、豊橋市、瀬戸市、安城市、岩倉市、犬山市、知立市、江南市、小牧市、稲沢市、春日井市、大府市、知多市、常滑市、尾張旭市、高浜市、新城市、西尾市、豊明市、長久手市、蒲郡市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、みよし市など愛知県内に対応しています。

※開発・建築・用途変更の可否は、土地の位置、履歴、既存建物、予定用途、申請者、敷地・接道、災害リスク、関係法令、名古屋市の現行基準等によって異なります。本記事だけで判断せず、具体的な計画をもとに名古屋市および関係専門家へご確認ください。

※農地の売買、権利移転、転用には農地法その他の手続きが必要になる場合があります。許可等を得る前に造成、盛土、舗装、利用開始をしないよう、農業委員会や専門家へご相談ください。

※金融機関の融資判断は、物件、買主、建築計画、担保評価、各金融機関の審査方針等により異なります。

※本文の事例は、相談者様および物件を特定できないよう、複数の相談・実務経験をもとに、所在地、面積、人物、会話、経緯等の一部を調整しています。


参考にした公的情報

  • 名古屋市「市街化区域・市街化調整区域」
  • 名古屋市「開発許可制度」
  • 名古屋市「市街化調整区域内における開発許可・建築許可」
  • 名古屋市「開発許可制度のあらまし」
  • 名古屋市「名古屋市開発行為の許可等に関する運用基準」
  • 名古屋市「開発登録簿について」
  • 名古屋市「農地の転用の許可申請(市街化調整区域)」
  • 名古屋市「都市計画情報提供サービス」
  • 愛知県「農地転用の許可について」

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