「この空き家、本当に売れるのでしょうか?」
名古屋市内で空き家や訳あり物件を所有されている方から、私たちは日々こうした相談を受けています。
- 相続した実家
- 長年放置された空き家
- 再建築不可物件
- 接道問題のある土地
- 心理的瑕疵物件
- 共有持分
- 老朽化した古家
こうした不動産は、一般的には“売却が難しい物件”として扱われます。
実際、不動産会社によっては、
「これは厳しいですね」
「価値がありません」
「解体するしかないです」
と、最初から諦めるような説明をされることも少なくありません。
しかし、現場で数多くの訳あり物件を扱っていると、強く感じることがあります。
それは、
「物件に問題がある」のではなく、
「扱う側に経験値がない」
ケースが非常に多いということです。
そしてもう一つ。
訳あり物件の世界では、不動産会社によって査定額が驚くほど変わることがあります。
今回は、名古屋エリア特有の不動産事情も踏まえながら、
- 空き家・訳あり物件の実際
- 実際にあった査定差
- 買い叩かれないための注意点
- 信頼できる会社の見極め方
について、現場目線で率直にお話します。
名古屋は「訳あり物件」が非常に多い地域
名古屋市内で長年不動産を見ていると、地域特性が非常によく分かります。
特に多いのが、
- 昭和期の密集住宅地
- 接道条件の弱い土地
- 路地状敷地
- 古い長屋
- 再建築不可物件
です。
例えば、
- 熱田区
- 中川区
- 南区
- 瑞穂区
- 昭和区の一部
などでは、昔ながらの住宅街が今も多く残っています。
当時は問題なく建築できた住宅でも、現在の建築基準法では再建築できないケースは珍しくありません。
また、名古屋は比較的“地元所有意識”が強い地域でもあります。
そのため、
「親から相続したが、そのまま放置」
「遠方に住んでいて管理できない」
という空き家相談も非常に増えています。
そして問題なのは、こうした不動産ほど、
“不動産会社の力量差”
が極端に出るということです。
名古屋の不動産は、一本道路を入るだけで表情が変わる
私は不動産の仕事をしながら、約8年間、名古屋の街を歩いてきました。
南区、中川区、熱田区、港区、瑞穂区、中村区、西区、北区。
同じ区の中でも、一本道路を入るだけで街の表情が大きく変わります。
大通り沿いには新しいマンションが建っている。
そこから数分歩くと、昔ながらの住宅街が残っている。
さらに路地へ入ると、
古い長屋。
連棟式住宅。
幅の狭い道路。
私道。
袋小路。
旗竿地。
現在の建築基準では扱いが難しい土地。
そうした不動産が今でも残っています。
これは、名古屋という街の面白さでもあり、不動産売却の難しさでもあると思っています。
地図だけ見ていても分からない
私が街歩きを続けてきて感じるのは、
不動産は、地図と登記簿だけでは分からない
ということです。
例えば「前面道路4m」と資料に書いてある。
数字だけなら、それで終わります。
しかし現地へ行ってみると、
車は実際に入れるのか。
電柱が邪魔になっていないか。
道路と敷地に高低差はないか。
隣の建物との距離はどうなのか。
越境しているものはないか。
長屋なら、隣家との切り離しは現実的なのか。
周辺では建て替えが進んでいるのか。
空き家が増えているのか。
まったく違う情報が見えてきます。
さらに役所へ行けば、
「この道路は建築基準法上どう扱われているのか」
「再建築する方法は本当にないのか」
「過去にどのような扱いがされているのか」
という調査が必要になることもあります。
これが、訳あり物件の査定で机上査定だけを信用しすぎてはいけない理由です。
「売れない空き家」と言われた物件でも市場は存在する
空き家や訳あり物件は、確かに一般市場では売却難易度が高くなります。
理由は単純です。
一般の住宅購入層は、
- 住宅ローン
- 建て替え可能性
- 見た目
- 将来性
を重視するからです。
しかし、不動産市場は一つではありません。
実際には、
- 投資家市場
- リフォーム再生市場
- 賃貸運用市場
- 隣地所有者需要
- 事業者需要
など、別の市場が存在しています。
ここを理解している会社と、理解していない会社では、査定額が大きく変わります。
【実例】名古屋市南区|「解体しかない」と言われた空き家
実際にあった相談です。
相続後、10年以上空き家状態だった古家。
築年数も古く、接道条件も弱い。
他社では、
「建物価値はゼロです」
「解体して土地売却しかありません」
と言われ、査定額は約480万円。
しかし現地確認すると、私たちは別の見方をしました。
確かに一般エンドユーザー向けでは厳しい。
ただし、
- 賃貸需要があるエリア
- リフォーム前提なら収益化可能
- 投資家需要が見込める
という要素があったのです。
結果的に、
- 解体せず現況売却
- 投資家市場へ流通
- 再生前提提案
を行い、最終的には約930万円で成約しました。
もちろん、全ての物件がこうなるわけではありません。
しかし重要なのは、
「解体しかない」
と決めつけられていたことです。
つまり、
物件の問題というより、
“流通設計の問題”
だったのです。
なぜここまで査定差が出るのか?
訳あり物件では、数百万円単位の査定差が出ることがあります。
これは決して珍しい話ではありません。
理由はシンプルです。
不動産会社によって、
「見ている市場」
が全く違うからです。
一般仲介型の会社
多くの会社は、
- 一般エンドユーザー
- 住宅ローン利用者
- 通常流通市場
しか見ていません。
そのため、
- 古い
- 汚い
- 再建築不可
- 接道問題あり
となると、一気に消極的になります。
結果、
「価値が低い」
という査定になりやすい。
現場型・実務型の会社
一方、訳あり物件を日常的に扱っている会社は、
- 投資家需要
- 収益化
- 再生可能性
- エリア特性
- 隣地交渉
- リフォーム出口
まで考えます。
つまり、
“誰に売るか”
から逆算しているのです。
ここが、査定差の正体です。
「再建築不可だから安い」は半分正解、半分間違い
再建築不可物件は確かに一般市場価格より下がります。
しかし問題は、
“どこまで下げるべきか”
です。
ここを雑に査定する会社が非常に多い。
現場では、
「再建築不可=価値なし」
「再建築不可だから○割減」
のような極端な査定を見かけることがあります。
しかし実際には、
- 収益性
- 賃貸需要
- 立地
- エリア特性
- 隣地状況
によって価値は大きく変わります。
つまり、再建築不可という“単語”だけで査定してはいけないのです。
業界の本音|多くの会社は「面倒な物件」を避けたがる
ここは業界の本音ですが、訳あり物件を嫌がる会社は非常に多いです。
理由は簡単です。
効率が悪いからです。
- 調査量が多い
- トラブルリスク
- 時間がかかる
- 権利関係が複雑
- クレームリスク
通常仲介より圧倒的に手間がかかります。
そのため、多くの会社は、
「安くても早く処分」
へ誘導しやすい。
つまり、
売主利益より、
“会社側の効率”
が優先されることがあるのです。
危険な業者の特徴
訳あり物件では、業者選びが極めて重要です。
特に以下のような会社には注意が必要です。
不安を過剰に煽る
「これは相当危険です」
「価値ありません」
「今すぐ売却しないと」
必要以上に不安を与える会社は危険です。
売主心理を崩し、安値契約へ持ち込む典型例です。
即決を迫る
「今日ならこの価格です」
「今月だけです」
本当に適正価格なら、比較検討されて困る理由はありません。
査定根拠が曖昧
「経験上こんな感じです」
訳あり物件ほど、査定根拠説明が重要です。
そこを曖昧にする会社は信用できません。
買取しか提案しない
もちろん買取も選択肢の一つです。
しかし、
- 仲介
- 投資家流通
- 再生提案
- 隣地交渉
など、本来は複数選択肢があるはずです。
最初から「安い買取しか無理」と決めつける会社には注意が必要です。
現場経験がある会社ほど「都合の悪い話」もする
本当に経験がある会社は、耳障りの良いことばかり言いません。
- 売却リスク
- 時間がかかる可能性
- 想定価格幅
- 法律上の問題
- 将来リスク
これらも説明します。
なぜなら、
“契約を取ること”より、
“最終的な売主利益”
を重視しているからです。
逆に、
「絶対高く売れます」
「すぐ売れます」
と断定ばかりする会社ほど危険です。
不動産はそんなに単純ではありません。
【実例①】名古屋市熱田区|再建築不可の長屋
相続後、長年空き家となっていた長屋物件。
他社では、
「再建築不可なので土地価値が出ません」
「解体しても厳しいです」
と言われ、査定額は約350万円。
しかし現地確認すると、
- 名古屋中心部へのアクセス
- 賃貸需要
- 長屋再生ニーズ
が見込めるエリアでした。
特に熱田区周辺は、古い街並みを活かしたリノベーション需要も存在します。
そこで、
- 解体前提ではなく
- “再生物件”として
- 投資家市場へ流通
を実施。
結果、約780万円で成約しました。
再建築不可という言葉だけで価値を決めてしまうと、本来の市場価値を見落とす典型例でした。
【実例②】名古屋市中川区荒子町|ゴミ屋敷化した相続空き家
相続後、10年以上放置されていた空き家。
室内には大量残置物。
雨漏りも発生。
他社では、
「解体しかありません」
「土地値もかなり厳しい」
と言われ、査定額は約480万円。
しかし現地調査を行うと、
- 土地面積は比較的大きい
- 接道条件良好
- 賃貸戸建需要あり
という特徴がありました。
また中川区荒子エリアは、比較的“価格帯を抑えた戸建需要”が根強い地域でもあります。
そこで、
- 解体ではなく現況流通
- リフォーム前提投資家へ提案
を実施。
結果、約980万円で成約。
「汚い=価値がない」ではなく、“誰に売るか”が重要だと分かる事例でした。
【実例③】名古屋市南区岩戸町|心理的瑕疵を抱えた空き家
室内で孤独死が発生していた空き家。
売主様は、
「事故物件だから無理ですよね…」
とかなり不安を抱えられていました。
他社査定は約400万円。
しかし実際には、
- 名古屋市南区の賃貸需要
- 利回り重視投資家
- リフォーム再生需要
がありました。
心理的瑕疵物件は確かに一般市場では難易度が上がります。
しかし、不動産市場は一般ユーザーだけではありません。
結果、
- 告知整理
- 投資家向け販売
- 価格戦略調整
を行い、約760万円で成約。
「事故物件=価値ゼロ」という単純な話ではないことを、現場では強く感じます。
【実例④】名古屋市瑞穂区大喜町|共有持分の相続トラブル案件
兄弟間で共有状態になっていた相続不動産。
他社では、
「共有持分はかなり難しいです」
「ほぼ値段つきません」
と言われていました。
しかし現地確認すると、
- エリア需要が強い
- 隣地との関係性
- 将来的な整理可能性
が見込める案件でした。
共有持分は確かに通常不動産より難しい。
ですが、“難しい”と“無価値”は別問題です。
最終的に、
- 権利整理調整
- 投資家提案
- 将来出口設計
を行い、当初査定より大幅に高い条件で売却。
共有持分は、実務経験の差がそのまま査定差になる世界だと感じます。
【実例⑤】名古屋市昭和区南分町|古家付き土地として処分されかけた案件
築年数の古い木造住宅。
他社では、
「建物価値ゼロ」
「更地にした方がいい」
と言われていました。
しかし現場で見ると、
- 古家再生ニーズ
- 昭和区特有の立地人気
- リノベーション需要
が十分ありました。
名古屋市昭和区は、“古さ”より“立地”が重視されやすいエリアでもあります。
そこで、
- 古家付き現況販売
- リノベ前提提案
を実施。
結果、解体費をかけずに高値売却。
業界では今も、
「古い=壊す」
という発想が根強いですが、現場ではそう単純ではありません。
【実例⑥】名古屋市港区当地町|「売れない」と言われた狭小地
間口が狭く、形状も悪い土地。
他社では、
「一般住宅は厳しい」
「かなり安くなります」
と言われていました。
しかし港区エリアは、
- 価格帯重視需要
- 小規模投資
- 倉庫利用
- 事業利用
など、独特のニーズがあります。
そこで、
“住宅用地”ではなく、
“事業・投資目線”
で流通を組み立てました。
結果、当初査定を大きく上回る条件で成約。
不動産は、“何として使うか”で価値が変わる典型例でした。
ふどうさんMAGOの考え方
私たちは、空き家や訳あり物件を「処分不動産」とは考えていません。
重要なのは、
- どの市場へ流通させるか
- 誰に届けるか
- どんな出口を組むか
です。
実際、他社で難しいと言われた案件でも、
- 投資家市場
- 再生市場
- 地域需要
- 名古屋特有の流通特性
を踏まえ、売却できるケースは数多くあります。
もちろん、全てが高額売却できるわけではありません。
しかし少なくとも、
「訳ありだから安い」
「空き家だから価値がない」
そんな一律査定は行いません。
不動産には、
相続。
家族。
人生背景。
想い出。
様々な事情があります。
だからこそ、マニュアル査定ではなく、“現場経験”が必要だと考えています。
まとめ|訳あり物件ほど「誰に相談するか」で結果が変わる
空き家。
再建築不可。
訳あり物件。
これらは確かに簡単な不動産ではありません。
しかし本当に問題なのは、
「物件」ではなく、
「扱う側の経験不足」
であるケースが非常に多いのです。
もし現在、
- 売れないと言われた
- 査定額が安すぎる
- 買取を急かされている
- 本当に適正価格か分からない
そんな不安がある場合は、一社だけで判断しないことをおすすめします。
訳あり物件ほど、“誰に相談するか”で結果は大きく変わります。

