売れないと思っていた旗竿地が売れた日~空き家マイスターが感じるリアルな現実~

「先生、正直に言ってください。」

ご相談者様は少し苦笑いしながらそう言われました。

「こんな土地、本当に売れるんですか?」

机の上に広げられた公図を見ると、その土地は典型的な旗竿地でした。

道路から細い通路が伸び、その奥にまとまった敷地がある土地。

いわゆる「旗竿地」です。

不動産業界では一般的に評価が低くなりがちな土地です。

ご相談者様も、そのことをよくご存じでした。

なぜなら、すでに何社かの不動産会社へ相談していたからです。


名古屋市エリアで″売却サポート”に専門特化した
不動産売却のみを取り扱う専門店です。
空き家売却にともなう煩雑なお手続き、
空き家の遺品整理や不要品の買取まで一括してサポートしております。

〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

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目次

「難しいですね」と言われ続けた土地

その土地は、ご両親から相続した実家でした。

築40年以上の古家付き。

長年空き家になっていました。

駅から決して遠いわけではありません。

生活環境も悪くありません。

しかし旗竿地でした。

相談した不動産会社からは、

「ちょっと厳しいですね。」

「価格をかなり下げないと。」

「買取の方がいいかもしれません。」

そんな言葉を何度も聞いたそうです。

何度も同じような説明を受けるうちに、ご相談者様自身も思い込むようになりました。

「この土地には価値がない。」

と。


人は何度も言われると信じてしまう

私は空き家相談の現場でよく感じます。

本当に怖いのは、不動産の条件そのものではありません。

「売れない。」

「価値がない。」

「難しい。」

そんな言葉を何度も聞くことで、所有者自身がそう信じてしまうことです。

気が付けば、

査定価格よりも前に、

自分自身がその不動産の価値を諦めてしまうのです。


父が残した実家

現地へ伺った日、ご相談者様は庭を見ながら話してくださいました。

「父が自分で庭を造ったんです。」

「休みの日になると木を切ったりしていました。」

家の中にも家族の歴史が残っていました。

柱には子どもの頃の身長の記録。

押入れには古いアルバム。

居間には家族写真。

空き家になって何年も経っていましたが、その家には確かに家族の時間が残っていました。

しかし市場は思い出では評価してくれません。

だからこそ、ご相談者様は現実を受け入れようとしていました。

「安くても仕方ないですよね。」

そう話されていました。


本当に価値がないのだろうか

しかし現地を見ていると、私は少し違う印象を持ちました。

確かに旗竿地です。

整形地と比べれば不利な条件もあります。

車の出入り。

建築計画。

日当たり。

様々な制約があります。

しかし一方で、

周辺環境は良好でした。

駅も利用できる。

学校も近い。

買い物施設も充実している。

そして何より、奥まった敷地ならではの静けさがありました。

私は思いました。

この土地は、「誰に売るか」が重要な土地だと。


売主が見る欠点、買主が見る魅力

不動産売却ではよくあることです。

売主は欠点を見ます。

買主は魅力を見ます。

旗竿地の所有者は、

「車が入れにくい。」

と思います。

しかし購入希望者は、

「道路から離れていて静か。」

と考えることがあります。

売主は、

「形が悪い。」

と言います。

買主は、

「通行人の視線が気にならない。」

と感じることがあります。

価値とは不思議なものです。

見る人によって大きく変わります。


一組の若い夫婦

販売を開始してしばらく経った頃でした。

一組の若いご夫婦から問い合わせが入りました。

新築用地を探しているとのことでした。

現地をご案内した時、ご相談者様はあまり期待していませんでした。

どうせまた断られる。

そんな気持ちだったと思います。

しかしご夫婦の反応は予想外でした。

「静かですね。」

「落ち着きますね。」

「子どもを育てるには良さそうですね。」

そう話されたのです。


同じ土地なのに見え方が違う

私はその時、改めて思いました。

同じ土地を見ているのに、見えている景色が違うのだと。

ご相談者様は、

売れない土地。

評価の低い土地。

と思っていました。

一方、ご夫婦は、

家族で暮らす未来。

子どもが遊ぶ庭。

新しい生活。

を見ていました。

不動産の価値とは、現在だけではありません。

未来を想像できるかどうかでも決まるのです。


契約の日

そして購入申込みが入りました。

ご相談者様は何度も確認されました。

「本当にこの金額でいいんですか?」

「旗竿地ですよ?」

買主様は笑いながら言いました。

「私たちはこの土地が気に入ったんです。」

その言葉を聞いた時、ご相談者様の表情が少し変わりました。

驚きと安心が混ざったような顔でした。


「父に報告できます」

契約が終わった後、ご相談者様がぽつりと話されました。

「父に報告できます。」

その言葉がとても印象に残っています。

売却できたことが嬉しかったのではありません。

長年抱えていた責任から解放された安心感だったのだと思います。

相続した実家。

空き家になった家。

管理し続けなければならない土地。

その重荷をようやく次の世代へ引き継ぐことができたのです。


旗竿地は本当に売れないのか

結論から言えば、旗竿地だから売れないわけではありません。

もちろん整形地より有利とは言えません。

しかし、それだけで価値が決まるわけでもありません。

立地。

周辺環境。

土地面積。

接道状況。

購入者のニーズ。

様々な要素が重なって価値は決まります。

そして何より、

「誰に紹介するか。」

によって結果は大きく変わります。


空き家マイスターとして感じること

私はこれまで数多くの空き家や相続不動産を見てきました。

その中で感じることがあります。

本当に売れない不動産は、それほど多くありません。

むしろ多いのは、

所有者が諦めてしまっているケースです。

査定書には数字が書かれています。

しかし数字だけでは測れない価値もあります。

その土地を必要としている人は必ずどこかにいます。

問題は、その人と出会えていないだけなのです。


まとめ

今回の旗竿地は、所有者自身が「売れない」と思い込んでいた土地でした。

何社もの不動産会社から厳しい評価を受けていました。

しかし結果として、その土地を気に入ってくれる買主様が現れました。

不動産は条件だけで決まるものではありません。

そこに価値を感じる人がいるかどうかです。

もし相続した実家や空き家を見て、

「こんな土地は売れない。」

と思っている方がいるなら、一度立ち止まって考えてみてください。

それは本当に市場の評価でしょうか。

それとも、誰かに言われ続けて信じてしまった評価でしょうか。


空き家マイスターが感じるリアルな現実

売れなかったのは旗竿地ではありませんでした。

その土地の価値を信じる人に出会えていなかっただけでした。

そして売却の日、ご相談者様はようやく気付いたのです。

父が残してくれた土地には、最後までちゃんと価値があったのだと。

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