こんにちは。
趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。
中古住宅を売却する方から、よく聞かれる質問があります。
「売った後に雨漏りが見つかったら、私が全部直さなければいけないのでしょうか」
「古い家なので、契約不適合責任を免責にできますか」
「現状のまま売ると書けば、もう責任は負わなくてよいですか」
どれも、売主様にとって切実な問題です。
中古住宅は、新築住宅とは違います。
屋根も外壁も設備も、長い時間を過ごしてきました。売主様が気づいていない劣化が、壁の中や床下、天井裏で進んでいることもあります。
だからといって、売主様が引渡し後に起きるすべての不具合について、無制限に責任を負うわけではありません。
反対に、契約書へ「契約不適合責任を免責する」と書けば、どのような問題も消えてなくなるわけでもありません。
🟨 契約不適合責任で本当に怖いのは、古い家を売ることではありません。売主・買主・仲介会社が、それぞれ違う家を思い描いたまま契約することです。
この記事では、契約不適合責任の基本、免責特約が認められる条件、売主が責任を免れない可能性があるケース、インスペクションや瑕疵保険の役割、引渡し後のトラブルを防ぐ実務について解説します。
契約直前、スマートフォンから出てきた「雨漏りの写真」
最初に、複数の相談経験をもとに再構成した事例をご紹介します。
物件は、名古屋市内にある築30年を超えた一戸建てでした。
売主様は数年前に相続し、しばらく空き家として管理していました。
現地を確認した日は、前日の雨がまだ軒先から落ちていました。
部屋へ入ると、二階の天井にうっすらと色の違う部分があります。
私は売主様へ聞きました。
「以前、ここから雨漏りしたことはありませんか」
売主様は、少し考えてから答えました。
「私は住んでいなかったので分かりません。親からも聞いていません」
物件状況報告書の「雨漏り」の欄には、「不明」と記載することになりました。
ところが、契約予定日の数日前。
売主様が古いスマートフォンを整理していると、室内に置かれたバケツと、濡れた天井を撮影した写真が見つかりました。
さらに、写真の日付から数日後には、屋根業者へ支払った修理代の記録も残っていました。
売主様は青ざめました。
「今さら買主さんへ伝えたら、契約がなくなりますよね」
私たちは、契約前に買主様へ事情を説明しました。
雨漏りが発生したと思われる時期。
修理をした形跡があること。
工事内容の詳細までは確認できないこと。
現在も完全に止まっているかどうかは断定できないこと。
写真と現況を見た買主様は、いったん検討を持ち帰りました。
ここで契約は終わると思いました。
しかし、数日後に返ってきた答えは意外なものでした。
「隠さずに説明してもらえたので、この状態を前提に購入します」
買主様は購入後の屋根点検費用を見込み、売主様と価格・責任範囲を調整したうえで契約しました。
問題がなくなったわけではありません。
雨漏りの可能性も残ったままです。
それでも、契約後に発覚するはずだった問題を契約前に共有したことで、トラブルの芽を小さくできました。
🟩 不具合を伝えると売れなくなるとは限りません。むしろ、伝えなかった不具合が後から見つかったときの方が、契約解除や損害賠償を含む深刻な問題へ発展しやすくなります。
※個人や物件を特定できないよう、複数の相談経験をもとに内容を再構成しています。
契約不適合責任とは「約束したものと違う」場合の責任
契約不適合責任とは、売主が引き渡した土地や建物が、種類・品質・数量について契約内容に適合していなかった場合に負う責任です。
2020年4月に施行された改正民法により、従来の「瑕疵担保責任」に代わって、契約内容への適合性を中心に考える制度へ変わりました。
言葉だけを見ると難しく感じますが、考え方は比較的明快です。
例えば、契約前に、
「過去に雨漏りがあり、補修済み。ただし再発しないことまでは保証しない」
と説明し、その内容を契約書や物件状況報告書へ反映していた場合。
買主は、その状態を理解したうえで購入したと考えることができます。
一方、
「雨漏りはありません」
と説明して引き渡した後、売主が以前から知っていた雨漏りが見つかった場合。
買主が受け取った建物は、契約時に説明された状態と違う可能性があります。
つまり、契約不適合責任では、
古いか、新しいか
だけでなく、
何を説明し、どの状態で引き渡すと約束したか
が重要になります。
買主は何を請求できるのか
契約不適合が認められる場合、買主には主に次のような手段があります。
| 買主の手段 | 内容 |
|---|---|
| 追完請求 | 修理、補修、代替物の引渡しなどを求める |
| 代金減額請求 | 一定の要件のもと、代金の減額を求める |
| 損害賠償請求 | 契約不適合によって生じた損害の賠償を求める |
| 契約解除 | 契約目的を達成できない場合などに契約を解除する |
ただし、不具合が見つかれば必ずすべての請求が認められるわけではありません。
契約内容、不具合の程度、売主の認識、買主からの通知時期、修補の可能性、当事者の帰責性などによって結論は変わります。
また、種類または品質に関する契約不適合について、民法上、買主は原則として不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります。ただし、売主が引渡し時に不適合を知っていた場合や、重大な過失によって知らなかった場合には、この通知期間の制限が適用されないことがあります。
🟥 「引渡しから必ず1年間責任を負う」という意味ではありません。民法上の通知ルールと、契約で定める責任期間を混同しないことが重要です。
個人の売主なら契約不適合責任を免責にできるのか
個人間の中古住宅売買では、当事者の合意により、契約不適合責任の範囲や期間を制限したり、一定の責任を免除したりすることが可能です。
例えば、
- 土地・建物について契約不適合責任を負わない
- 建物の一定部分だけ責任を負う
- 責任期間を引渡し後の一定期間に限定する
- 設備について修補義務を負わない
- 既知の不具合を列挙し、その状態で引き渡す
といった設計が考えられます。
ただし、物件や取引条件によって適切な内容は異なります。
築年数だけを見て、
「築15年以上だから免責」
「築30年なら責任は一切ない」
と決まるものではありません。
物件の状態、価格、買主の利用目的、検査の有無、売主が保有している資料などを踏まえて決める必要があります。
免責特約は「消しゴム」ではない
免責特約について、私はよく次のように説明します。
免責特約は、過去を消す消しゴムではありません。契約後の責任範囲に線を引く定規です。
線を引く前に、何があるのかを明らかにしておかなければなりません。
民法では、売主が契約不適合責任を負わない旨の特約を設けた場合でも、売主が知りながら買主へ告げなかった事実などについては、その特約によって責任を免れることができないと定められています。
ここで大切なのは、
売主が知っている不具合を告知したら、必ず修理責任を負う
という意味ではないことです。
不具合の内容を正確に告げ、その状態を前提に価格や責任範囲を合意することは可能です。
問題になりやすいのは、知っていた事実を告げないまま、免責特約だけを設けた場合です。
🟥 「免責だから書かなくてよい」ではありません。「免責にするからこそ、分かっていることを具体的に書く」が実務の基本です。
失敗しやすい免責特約の作り方
1.「一切責任を負わない」とだけ書く
対象となる不動産、免責の範囲、設備の扱い、既知の不具合との関係が不明確なままでは、当事者の認識が一致しません。
短い条文が、強い条文とは限りません。
2.特約と物件状況報告書が矛盾している
契約書では契約不適合責任を免責にしているのに、物件状況報告書では雨漏りや設備故障について「なし」と断定している。
このような矛盾は危険です。
買主から見れば、「免責で買った」のか、「不具合がないという説明を信じて買った」のかが曖昧になります。
3.修繕したから告知しない
雨漏りやシロアリ被害を修理した場合でも、過去の発生事実や修繕履歴は重要な判断材料です。
修理したことと、将来再発しないことは同じではありません。
4.口頭で説明して終わる
契約前に説明していても、書面へ残っていなければ、後から「聞いた」「聞いていない」という争いになりかねません。
5.建物と設備を混同する
屋根、外壁、柱、床、給排水管などの建物部分と、給湯器、エアコン、コンロ、照明などの設備では、確認方法や責任の定め方が異なります。
設備表と物件状況報告書を分け、契約書との整合性を確認する必要があります。
免責特約の「考え方」の一例
個人間売買では、例えば次のような考え方を契約へ反映させます。
売主は、本物件の土地・建物について契約不適合責任を負わない。ただし、売主が契約不適合に関する事実を知りながら買主へ告げなかった場合を除く。
ただし、これだけをコピーして使用すれば安全になるわけではありません。
実際には、
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 建物の傾き
- 給排水管の故障
- 越境
- 土壌や地中埋設物
- 境界
- 設備故障
- 修繕履歴
- 買主が認識している現況
など、物件ごとの事情を契約書、重要事項説明書、物件状況報告書、設備表へ整合的に反映させる必要があります。
🟨 特約の目的は、売主だけを守ることではありません。「どこまでが価格に含まれ、どこからを買主が引き受けるのか」を明確にすることです。
複雑な不具合や高額な修繕リスク、紛争の可能性がある場合は、弁護士など法律専門家による個別確認が必要です。
売主が宅建業者の場合はルールが違う
不動産会社などの宅地建物取引業者が売主となり、宅建業者ではない買主へ販売する場合には、個人間売買と同じように広く免責できるわけではありません。
宅地建物取引業法第40条により、民法上のルールより買主に不利となる特約は、原則として無効です。
例外として、契約不適合について買主が売主へ通知すべき期間を「引渡しの日から2年以上」とする特約は認められます。
したがって、
「売主が宅建業者でも完全免責」
という契約は、原則としてできません。
一方、「法人が売主ならすべて免責できない」とも限りません。
法人であることと、宅建業者であることは別だからです。
さらに、事業者が消費者へ売却する契約では、消費者契約法との関係も検討する必要があります。故意または重大な過失による損害賠償責任を免除する条項などは、無効となる可能性があります。
| 売主・買主の関係 | 免責を考える際の主な注意点 |
|---|---|
| 個人売主・個人買主 | 合意による調整は可能。ただし、知りながら告げなかった事実などに注意 |
| 宅建業者売主・非宅建業者買主 | 宅建業法第40条による買主保護がある |
| 事業者売主・消費者買主 | 消費者契約法が問題になる可能性がある |
| 事業者間取引 | 契約内容、交渉経緯、当事者の専門性などを個別に確認 |
🟥 「個人」「法人」「宅建業者」「事業者」は、同じ意味ではありません。売主と買主の属性を確認してから契約条件を設計します。
私が契約条項より時間をかける「物件状況報告書」
契約不適合責任というと、契約書の特約ばかりが注目されます。
しかし私が実務で時間をかけるのは、その前段階です。
売主様と一緒に、物件状況報告書を確認します。
「雨漏りは、本当に一度もありませんか」
「天井のクロスを張り替えた理由を覚えていますか」
「シロアリ防除の保証書は残っていますか」
「給湯器を交換したのは何年前ですか」
「台風の後に、屋根業者を呼んだことはありませんか」
最初は「特に何もありません」と答えていた売主様が、話を進めるうちに思い出すことがあります。
「あのとき、二階の天井に染みがあった」
「床下へ薬剤をまいてもらった」
「排水管が詰まって、一部を交換した」
これは、売主様が隠そうとしていたとは限りません。
長年暮らした家では、修理が日常の一部になっています。
本人にとっては小さな出来事でも、初めて購入する人にとっては重要な情報になるのです。
私がおすすめしているのは、シンプルな方法です。
🟩 迷ったら書く。分からなければ「なし」ではなく「不明」と書く。
「不明」は逃げではありません。
確認できないことを、確認できないと正確に伝えるための情報です。
街歩きで見つける、書類に載っていない違和感
名古屋市内を歩いていると、中古住宅の状態は建物だけでなく、周辺の地形や街並みからも見えてきます。
道路より低い敷地。
敷地の裏側を通る水路。
隣地から流れ込む雨水。
擁壁の水抜き穴。
軒先だけ新しく塗り直された外壁。
一階の基礎付近に残る変色。
こうしたものを見つけたからといって、すぐに雨漏りや浸水、構造上の問題があると断定はできません。
しかし、「なぜここだけ違うのだろう」という疑問を持つきっかけになります。
机上の資料と現地の違和感を照らし合わせ、売主様へ聞き、必要なら専門家へつなぐ。
それが仲介会社の役割です。
不動産会社は建物の構造安全性を保証する専門家ではありません。
しかし、専門家へ確認すべき兆候を見過ごさず、契約へ反映させる立場にはあります。
インスペクションを実施すれば安心なのか
建物状況調査、いわゆるインスペクションは、一定の講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁など構造耐力上主要な部分や、屋根など雨水の浸入を防止する部分の状況を調査する制度です。
売却前に実施すれば、売主様だけでは把握できなかった劣化や不具合の兆候を整理し、買主へ客観的な情報を提供しやすくなります。
ただし、インスペクションは建物のすべてを解体して確認する調査ではありません。
国土交通省も、建物状況調査は瑕疵の有無を判定するものではないなど、調査には限界があることを明示しています。
したがって、
「インスペクション済みだから、将来の不具合は絶対にない」
とは言えません。
インスペクションは保証ではなく、契約時点における現況把握の手段です。
インスペクションと瑕疵保険は別のもの
既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の検査と保証が組み合わされた保険です。
加入には一定の検査基準を満たす必要があり、加入後に対象となる欠陥が見つかった場合には、契約内容に応じて補修費用などが保険金の対象になることがあります。
| 制度 | 主な役割 |
|---|---|
| インスペクション | 契約前の建物状況を把握する |
| 既存住宅売買瑕疵保険 | 検査に加え、対象となる欠陥の補修費用等を保険でカバーする |
| 仲介会社独自の保証 | 会社・商品ごとに対象部分、期間、上限額、免責事項が異なる |
弊社でも、物件の状態や利用条件に応じて保証制度をご案内できる場合があります。
ただし、保証が付いていても、すべての不具合が対象になるわけではありません。
対象部分、保証期間、支払限度額、免責金額、検査条件を確認する必要があります。
契約不適合責任は「価格」と切り離せない
売主様にとって、広い免責特約は安心材料に見えます。
しかし買主様から見れば、購入後の修繕リスクを引き受ける契約です。
そのため、免責範囲が広くなるほど、
- 値引き交渉が強くなる
- 購入判断に時間がかかる
- 住宅ローンや保証の利用条件を慎重に確認される
- 購入希望者が限定される
可能性があります。
反対に、インスペクションや保険、一定期間の保証を付けることで、買主が安心し、価格を維持できることもあります。
ただし、保証費用をかければ必ず高く売れるわけではありません。
建物の状態が悪く、買主が全面的なリフォームを予定している場合には、現況のまま価格を調整した方が合理的なこともあります。
🟨 責任を広く負えば高く売れる、免責にすれば損をする、という単純な関係ではありません。誰がどのリスクを負い、その負担を価格へどう反映するかという設計です。
契約を守る「4枚の地図」
私は、中古住宅の売却を安全に進めるためには、4枚の地図が必要だと考えています。
1.現況の地図
現地確認、写真、設備の作動確認、必要に応じたインスペクションによって、現在の状態を整理します。
2.記憶の地図
売主様が把握している不具合、修理歴、事故、近隣との申し合わせなどを確認します。
領収書、保証書、工事写真、メール、過去の保険請求資料も手掛かりになります。
3.契約の地図
何を契約内容とし、何を現況のまま引き渡し、どの範囲を売主が負担するかを文章にします。
契約書、重要事項説明書、物件状況報告書、設備表の内容を一致させます。
4.引渡し後の地図
不具合が見つかった場合の連絡先、通知方法、現地確認の手順、修補を行う場合の業者選定などを事前に決めます。
🟩 トラブルを防ぐ契約は、難しい法律用語を増やした契約ではありません。契約後に「次に何をするか」が分かる契約です。
中古住宅の売主が契約前に確認したい実務チェックリスト
建物関係
- 雨漏りや漏水の現在・過去の発生
- シロアリ被害や防除履歴
- 建物の傾きや床の沈み
- 屋根、外壁、ベランダの修繕履歴
- 給排水管の詰まりや漏水
- 火災、浸水、事故などの履歴
- 増改築やリフォームの内容
設備関係
- 給湯器、コンロ、換気扇の作動
- エアコン、照明、食器洗浄機の所有権
- 故障している設備
- 残す設備と撤去する設備
- 説明書、保証書、リモコンの有無
土地・周辺関係
- 境界標の有無
- 塀、軒、配管、樹木などの越境
- 私道の通行・掘削に関する取り決め
- 雨水や排水に関する近隣との申し合わせ
- 地中埋設物を把握しているか
- 過去の測量資料が残っているか
書類関係
- 建築確認済証、検査済証
- 設計図書
- 修繕工事の見積書・請求書
- インスペクション報告書
- 耐震診断書
- 保険証券
- 管理に関する近隣との覚書
全部そろわなければ売却できないわけではありません。
残っているものと残っていないものを整理し、確認できない事項は「不明」と伝えることが大切です。
引渡し当日に行いたい最終確認
契約時には動いていた設備が、引渡し前に故障することもあります。
空き家では、凍結、停電、長期間の不使用によって設備の状態が変わることもあります。
可能であれば引渡し前に、売主・買主・仲介会社で現地を確認します。
- 残置物が撤去されているか
- 契約時から建物状態に変化がないか
- 鍵の本数
- 設備の作動状況
- 水道・電気・ガスの扱い
- 境界標
- 引き継ぐ書類
- メーター類の数値
- 庭木や越境の状況
写真も残しておくと、引渡し時点の状態を確認しやすくなります。
不動産売却は、契約書へ署名した日に終わるものではありません。
無事に代金を受け取り、所有権を移転し、約束した状態で鍵を渡して初めて一区切りとなります。
よくある質問
個人が中古住宅を売る場合、必ず契約不適合責任を負いますか
必ず無制限に負うわけではありません。個人間売買では、当事者の合意によって責任の範囲や期間を調整したり、免責としたりできる場合があります。ただし、売主が知りながら告げなかった事実などについては、免責特約があっても責任を免れない可能性があります。
「現状有姿」と書けば契約不適合責任はなくなりますか
「現状有姿」という表現だけで、当然にすべての契約不適合責任が免除されるとは限りません。何を現況として買主が認識し、どの責任を免除するのかを具体的に整理する必要があります。
過去の雨漏りは、修理済みでも告知した方がよいですか
告知することをおすすめします。発生時期、場所、修理内容、現在の状況、再発の有無を、分かる範囲で記載します。分からない内容を推測で断定しないことも重要です。
古い設備はすべて修理してから売るべきですか
必ずしも修理する必要はありません。設備表に故障状況を記載し、修補義務を負わない条件で買主と合意する方法もあります。修理費用と売却価格への影響を比較して判断します。
インスペクションをすれば免責特約は不要ですか
別の問題です。インスペクションは現況を把握する手段であり、責任範囲を決める契約ではありません。調査結果を踏まえて、告知内容と契約条件を設計します。
どの専門家へ相談すればよいですか
建物の状態は建築士や既存住宅状況調査技術者、境界は土地家屋調査士、登記は司法書士、税金は税理士、法的紛争や複雑な特約は弁護士が主な相談先です。不動産会社は、売却全体を整理し、必要な専門家へつなぐ役割を担います。
まとめ|売主を守るのは、強い免責文言より正確な情報
契約不適合責任を必要以上に恐れる必要はありません。
中古住宅には、経年劣化や修繕が必要な部分があって当然です。
重要なのは、その状態を隠して新しい住宅のように売ることではなく、中古住宅としての現況を整理し、買主と共有したうえで価格と責任範囲を決めることです。
免責特約を設ける。
責任期間を限定する。
インスペクションを行う。
瑕疵保険を利用する。
現況のまま価格を調整する。
どの方法にも、メリットと負担があります。
契約不適合責任への備えとして、売主様に覚えておいていただきたいのは次の4点です。
- 現況を確認し、写真や資料を残す
- 知っていることは正確に告知する
- 契約書、物件状況報告書、設備表を一致させる
- 不具合発生時の連絡・確認方法を決めておく
🟥 問題を隠すための免責特約は、売主を守りません。
🟩 問題を共有したうえで責任の境界線を引く免責特約が、売主と買主の双方を守ります。
雨漏りがある家より怖いのは、雨漏りを知っている人と知らない人が、契約後に初めて向き合うことです。
契約前に話せる問題は、交渉できます。
価格へ反映できます。
修理するか、そのまま引き渡すかを選べます。
しかし、引渡し後に初めて発覚した問題は、感情的な対立へ発展しやすくなります。
だから私は、契約書の文章を作る前に、売主様の話を聞き、現地を見て、古い資料を探します。
不動産売却で最後に売主様を守るのは、強そうに見える一文ではありません。
「伝えるべきことを、契約前に伝えた」という積み重ねです。
名古屋市で中古住宅・空き家の売却をご検討中の方へ
ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、中古住宅、空き家、相続不動産、売却に工夫が必要な土地のご相談を承っています。
「雨漏りを修理したことがある」
「古い家なので、引渡し後の責任が心配」
「契約不適合責任を免責にして売りたい」
「インスペクションや瑕疵保険を利用するべきか迷っている」
「物件状況報告書へ何を書けばよいか分からない」
このような段階でも構いません。
建物の状態、修繕履歴、販売価格、買主層、契約条件を整理し、売主様と買主様の双方が納得できる売却方法を検討します。
不具合があるから売れないのではありません。
何が起きているか分からず、説明できない状態の方が、売却を難しくします。
まずは現況を知ることから始めてみませんか。
対応エリア
名古屋市南区・港区・緑区・瑞穂区・熱田区・昭和区・天白区・中川区・中村区・中区・千種区・名東区・守山区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。
※本記事は令和8年9月時点の法令および公表情報をもとに、一般的な不動産売買実務について解説したものです。契約不適合責任や免責特約の有効性は、売主・買主の属性、契約条項、告知内容、交渉経緯、不具合の内容などによって異なります。個別の法律判断については弁護士へご相談ください。
※本文の事例は、個人や物件を特定できないよう、複数の相談経験をもとに経緯等を再構成しています。


