【名古屋市昭和区八事の土地売却事例】「擁壁のやり直しが必要」と言われた土地が予想以上で売れた理由

こんにちは。

趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。

今回ご紹介するのは、名古屋市昭和区八事エリアにある、古い擁壁を抱えた相続不動産の売却事例です。

「この擁壁はかなり古いですね。やり直すと、売却価格より工事費の方が高くなるかもしれません」

相談者様が、最初に査定を依頼した不動産会社から言われた言葉です。

物件は、ご両親から相続した約80坪の土地でした。

地下鉄駅まで徒歩圏内で、周囲には落ち着いた住宅街が広がっています。土地の広さや立地だけを見れば、十分な需要が期待できる不動産です。

しかし、敷地と道路の間には、築造時期のはっきりしない古い擁壁がありました。

複数の不動産会社へ査定を依頼したところ、「擁壁の改修費が必要になる」「建築会社が敬遠する」「買主が限定される」と説明され、提示された査定額は相談者様の想定を大きく下回りました。

ところが、現地・行政・建築条件・地域需要をあらためて調べ、売却先を見直した結果、相談者様の想定に近い金額で売却することができました。

🟨 この事例で価格を変えたのは、土地そのものではありません。「擁壁のある土地を、誰に、どのように売るか」という評価と販売戦略でした。

※相談者様のプライバシー保護のため、土地面積や価格など一部の情報を調整しています。


名古屋市エリアで″売却サポート”に専門特化した
不動産売却のみを取り扱う専門店です。
空き家売却にともなう煩雑なお手続き、
空き家の遺品整理や不要品の買取まで一括してサポートしております。

〒457-0846
愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

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目次

八事では「高低差のある土地」が特別とは限らない

名古屋市昭和区の八事、南山町、広路町石坂、山手通、八雲町、妙見町周辺を歩くと、道路より高い位置に建つ住宅や、石積み・コンクリートなどの擁壁で支えられた宅地を見かけます。

八事周辺は丘陵地として発展してきた地域です。名古屋市の資料でも、昭和区・瑞穂区・天白区にまたがる八事丘陵は、自然の地形を生かした緑の多い丘陵地の街並みとして説明されています。

平坦な地域と比べれば、土地の高低差や擁壁は売却時の重要な確認事項です。

一方で、八事周辺では擁壁が存在する宅地そのものが極端に珍しいわけではありません。

そのため、「擁壁がある」という一つの条件だけで土地全体の価値を決めるのではなく、その地域でどのような土地が取引され、どのような購入者が探しているのかを考える必要があります。

🟩 八事の擁壁付き土地は、平坦地と同じ評価にはなりません。しかし、擁壁があるだけで「売れない土地」になるわけでもありません。


相談者様自身が「売れない」と思い込んでいた

今回の相談者様は県外にお住まいでした。

ご両親が亡くなられた後、実家は空き家となり、定期的に様子を見に来ていたものの、遠方からの管理には限界がありました。

そこで売却を考えたものの、最初の査定で擁壁の問題を強く指摘されます。

相談者様が最初におっしゃった言葉は、

「擁壁がありますから、たぶん売れないと思うんです」

というものでした。

このような思い込みは、決して珍しくありません。

「擁壁がある」
「高低差がある」
「古い建物が残っている」

こうした説明を受けると、所有者様自身が「価値の低い不動産なのだ」と考えてしまいます。

しかし、不動産売却の現場で感じるのは、価値がまったくない土地よりも、価値を判断するための調査が不足している土地の方が多いということです。


「古い擁壁」と「危険な擁壁」は同じではない

擁壁とは、高低差のある土地で土圧を受け止め、宅地を支えるための構造物です。

コンクリート造、石積み、間知ブロック積みなど、築造された時期や土地の状況によって構造が異なります。

擁壁は時間の経過や排水状況、地震などの影響を受けるため、ひび割れ、傾き、膨らみ、排水不良などの確認が必要です。

国土交通省も、宅地擁壁について、現地の状態や健全度に応じて補修・補強・再構築などの方針を検討するためのマニュアルを公表しています。

つまり、見た目が古いという理由だけで、直ちに全面的な造り直しが必要と判断できるものではありません。

反対に、外観だけを見て「問題ありません」と言い切ることもできません。

🟥 擁壁の安全性は、不動産会社が見た目だけで断定するものではありません。必要に応じて建築士、構造の専門家、造成工事の専門業者などへ確認することが重要です。


大谷石や石積みだから危険とは限らない

八事周辺の古い住宅地では、石積みや大谷石が使われている工作物を見かけることがあります。

大谷石は独特の風合いがあり、昭和期の住宅や外構に使われてきました。一方で、経年によって表面の風化や剥離が生じる場合があります。

石積みについても、石の種類だけで安全性を判断することはできません。

積み方、裏込め、基礎、排水、水抜き穴、傾き、ひび割れ、増し積みの有無などを確認する必要があります。

なお、敷地内の土を支える「擁壁」と、道路沿いに設置された「塀」は役割や構造が異なります。見た目が似ていても、同じものとして扱わないよう注意が必要です。


私たちが最初に行ったのは「工事」ではなく「調査」

今回の土地について、いきなり擁壁工事の見積もりを取ったわけではありません。

最初に行ったのは、現状の整理です。

現地では、擁壁の種類、ひび割れ、傾き、膨らみ、水抜き穴、排水状況、隣地や道路との位置関係を確認しました。

行政調査では、用途地域や建築制限だけでなく、造成・開発に関する資料の有無、現在の建築計画で確認すべき事項などを調べました。

さらに、接道状況、土地の形、周辺の成約事例、想定される建築プラン、八事周辺で土地を探している購入層についても整理しました。

名古屋市は、擁壁を含む宅地造成に関する技術指針や手続き資料を公表しています。ただし、行政資料の確認だけで既存擁壁の安全性が保証されるわけではありません。

行政調査で確認することと、専門家による構造・健全性の確認は、分けて考える必要があります。

その結果、当初言われていたように「最初から全面的な擁壁工事を行わなければ売れない」と決めつける必要はないことが見えてきました。


売主様が先に擁壁工事をしなかった理由

古い擁壁があると、売主様は「売る前に直した方がよいのでは」と考えがちです。

しかし、擁壁工事は金額が大きくなる可能性があります。工事方法も、買主が予定する建物の配置、基礎、駐車場、造成計画によって変わります。

売主様が先に工事をすると、買主の建築計画と合わず、工事の一部が無駄になることも考えられます。

そこで今回は、売主様が憶測で工事を進めるのではなく、擁壁の現況や把握できた資料を示し、購入希望者側が建築会社と検討できる販売方法を選びました。

🟨 売却前に工事をするべきかどうかは、「古いから」ではなく、その工事費以上に売却条件が改善するかで判断します。


買主が評価したのは擁壁だけではなかった

今回、購入を検討した建築関係者から、

「このエリアで、この広さの土地はなかなか出ません」

という言葉がありました。

買主側が評価したのは、擁壁の有無だけではありません。

地下鉄駅までの距離、土地の広さ、日当たり、周辺の住環境、建築計画の可能性などを総合的に見ていました。

擁壁に関する費用やリスクがなくなったわけではありません。

それでも、八事で一定規模の土地を取得できる価値が、擁壁に関する負担を上回ると判断されたのです。

これが、最初の査定と実際の売却結果に差が生まれた大きな理由でした。


査定価格に大きな差が出た理由

不動産の査定価格は、絶対的な正解ではありません。

同じ土地でも、担当者がどの買主を想定するかによって評価は変わります。

擁壁を主なリスクとして見る会社は、想定される工事費を大きく差し引き、安全側の価格を提示する傾向があります。

一方、地域需要や建築会社の購入可能性まで検討すれば、別の価格帯が見えてくる場合があります。

今回の事例を分かりやすくすると、次のような違いでした。

評価の視点主な判断
擁壁リスクを中心に見る改修費を大きく見込み、査定価格を抑える
土地需要も含めて見る立地・広さ・希少性・購入層と擁壁リスクを比較する
売却戦略まで考える建築会社や土地購入に慣れた層へ情報を整理して届ける

🟩 査定価格の差は、土地の差ではなく、「欠点を価格から引くだけか、欠点を踏まえて買える人を探すか」という戦略の差から生まれることがあります。


擁壁案件は「査定すること」より「説明すること」が難しい

少し業界の本音をお話しします。

擁壁付き土地は、一般的な平坦地より調査項目が多くなります。

現地を確認し、行政資料を調べ、必要に応じて専門家や建築会社へ意見を聞き、買主へ分かりやすく説明しなければなりません。

不明点を残したまま高い価格を付ければ、契約直前に問題が判明して交渉が止まるおそれがあります。

一方で、調査をせずに「擁壁があるから安い」と処理すれば、売主様が本来得られた可能性を失うかもしれません。

適正な査定とは、単に高い金額を提示することではありません。

価格を上げる要素と下げる要素の両方を調べ、その根拠を説明できることだと考えています。


擁壁のある土地を売る前に避けたい4つの判断

1.一社の査定だけで価値を決める

擁壁、高低差、旗竿地、再建築の制限などがある不動産は、担当者の経験によって評価が変わりやすい分野です。

査定額だけでなく、擁壁の何を確認し、どの購入層を想定した価格なのかを聞く必要があります。

2.売却方針を決める前に工事を始める

売主様が工事費を負担しても、その分だけ売却価格が上がるとは限りません。

買主の建築計画によっては、購入後に工事を行った方が合理的な場合もあります。

3.古い建物を急いで解体する

既存建物がある土地では、解体後の建築条件や擁壁の扱いを事前に確認することが大切です。

更地にすれば必ず売りやすくなるとは限りません。

4.「古い擁壁だから売れない」と思い込む

擁壁は重要なリスクですが、土地価値を構成する一つの要素です。

立地、広さ、形状、日当たり、周辺需要などと合わせて判断しなければなりません。


擁壁付き土地の売却で確認したいポイント

擁壁のある土地を売却する場合、最低限、次の内容を整理します。

建築確認や造成関係の資料が残っているか。擁壁が敷地境界の内側にあるか。目立つひび割れ、傾き、膨らみ、排水不良がないか。建て替え時に既存擁壁を利用できる可能性があるか。そして、補修・補強・再構築を行う場合、費用を誰がどの段階で負担するのかという点です。

すべてを売主様だけで判断する必要はありません。

まず不明点を洗い出し、必要な部分を行政、建築士、土地家屋調査士、造成・擁壁の専門業者などへ確認することが実務的な進め方です。


空き家が大好きな宅建士として感じること

昭和区や千種区を歩いていると、擁壁や高低差を生かして建てられた住宅に出会います。

平坦な土地にはない眺望や日当たり、道路からの視線を受けにくい配置などが魅力になっている家もあります。

もちろん、高低差があれば工事費や維持管理の負担を無視することはできません。

しかし、マイナス面だけを切り取って土地全体の価値を決めるのも適切ではありません。

八事、南山町、山手通、広路町石坂などには、長い時間をかけて形成されてきた住環境があります。

だからこそ、擁壁の状態を正しく確認すると同時に、その場所だからこそ生まれる需要も見落としてはいけないと感じます。


まとめ|擁壁ではなく、不動産全体を評価する

今回の土地は、当初、古い擁壁があることを理由に低い査定を受けていました。

しかし、現地調査、行政調査、建築条件、地域需要、購入者層を整理したことで、別の売却方法が見えてきました。

擁壁に関するリスクが消えたから売れたのではありません。

リスクを把握し、購入を検討できる相手に必要な情報を伝えたことで、土地本来の価値が評価されたのです。

🟥 擁壁付き土地では、問題を隠して高く売ることも、十分に調べず安く売ることも避けなければなりません。

🟩 大切なのは、マイナス要素を正しく説明しながら、それを上回る土地の魅力を評価できる買主へ届けることです。


名古屋市昭和区・千種区で擁壁のある土地を所有している方へ

ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、空き家や相続不動産、売却に工夫が必要な土地のご相談を承っています。

古い擁壁がある土地、高低差の大きい宅地、旗竿地、再建築が難しい可能性のある物件、私道や境界に問題がある不動産などについても、現地と資料を確認しながら売却方法を検討します。

「擁壁を全部やり直さないと売れないと言われた」

「査定価格が会社によって大きく違う」

「解体や擁壁工事を先に行うべきかわからない」

「県外に住んでいて、相続した実家を管理できない」

このような段階でも構いません。

まずは工事を始める前に、擁壁の状態、土地の法的条件、地域需要、想定される購入者、売却後の手取り額を整理することが大切です。

「擁壁があるから売れない」と諦める前に、その土地が持つ本当の価値を、別の角度から見直してみませんか。

対応エリア

名古屋市南区・昭和区・千種区・瑞穂区・熱田区・天白区・緑区・港区・中川区・中村区・中区・名東区・守山区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。

※擁壁の安全性、既存擁壁を利用した建築の可否、必要な補修方法などは、擁壁の構造、築造時期、現況および建築計画によって異なります。不動産会社の現地確認だけで断定せず、必要に応じて行政や建築士、構造・造成の専門家へご相談ください。

※本記事は実際の相談経験をもとに、個人を特定できないよう土地面積、価格、経緯などの一部を調整して構成しています。

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