~『高低差があるから売れない』と言われた相続不動産の真実~
はじめに
「この土地は擁壁をやり直さないと厳しいですね。」
相続した実家の査定を依頼した際、
売主様は最初の不動産会社からそう説明を受けたそうです。
場所は名古屋市昭和区広路町石坂。
地下鉄鶴舞線・名城線の八事駅から徒歩圏内。
昭和区の中でも人気の高い住宅地です。
ご両親が長年住まわれていた実家。
土地は約85坪。
建物は築50年以上。
相続後は誰も住まず、
数年間空き家となっていました。
売主様としては、
「立地も良いし、ある程度の価格で売れるだろう」
と思っていたそうです。
しかし現実は違いました。
最初の査定額は4,800万円
広路町石坂という立地を考えると、
売主様はもっと高い査定を想像していました。
ところが、
提示された価格は約4,800万円。
理由は明確でした。
・道路より高い土地
・古い擁壁
・建替え時の追加工事
・造成費の可能性
つまり、
「高低差」が最大の減額要因になっていたのです。
擁壁工事600万円という説明
査定担当者はこう説明しました。
「将来建替えをする場合、擁壁工事が必要になる可能性があります」
「買主はその費用を見込みます」
「そのため査定額も下がります」
確かに一理あります。
しかし、
私はこの話を聞いて違和感を覚えました。
本当に広路町石坂でその評価なのか
現地を確認してまず感じたのは、
土地そのものの魅力でした。
南向き
日当たり良好
高台立地
眺望良好
閑静な住宅街
交通量も少ない
八事駅徒歩圏
利便性も高い
つまり、
高低差というマイナス要因以上に、
プラス要因が多かったのです。
広路町石坂という地域の特殊性
ここが非常に重要です。
昭和区広路町石坂は、
もともと丘陵地形を活かした街並みです。
そのため、
平坦な土地ばかりではありません。
周辺には、
- 石積み擁壁
- RC擁壁
- 雛壇状宅地
- 高台住宅
が数多く存在します。
つまり、
高低差は地域特性の一部でもあるのです。
査定額が安くなる典型パターン
実は高低差土地でよくある査定です。
高低差あり
↓
減額
擁壁あり
↓
減額
築古空き家
↓
減額
解体費必要
↓
減額
結果
4,800万円
問題点だけを積み上げる査定です。
しかし、
市場はそんなに単純ではありません。
業界の本音
正直に言うと、
擁壁や高低差のある土地は調査が面倒です。
行政調査
建築制限確認
擁壁確認
造成履歴調査
買主への説明
通常の土地よりも手間がかかります。
そのため、
最初から保守的な査定になることがあります。
私たちが最初に確認したこと
価格ではありません。
まず、
「本当に擁壁工事が必要なのか」
を調査しました。
・行政資料確認
・高低差状況確認
・周辺建築事例確認
・建築士との協議
・道路との関係確認
すると、
査定時に説明されていた内容と、
実際の状況には大きな差がありました。
本当の買主は誰なのか
ここが今回最大のポイントです。
一般的な住宅購入者だけを想定すると、
高低差はマイナスです。
しかし、
広路町石坂では違います。
問い合わせが多かったのは、
注文住宅を検討する層でした。
「この高低差を活かした家を建てたい」
「眺望を活かせそう」
「道路からの視線が気にならない」
つまり、
高低差を魅力として見ていたのです。
高級住宅地では評価基準が変わる
八事エリア周辺では、
平坦地だけが評価されるわけではありません。
むしろ、
プライバシー性
眺望
開放感
街並み
を重視する購入者も多くいます。
そのため、
単純な造成費だけで価格を決めると、
本来の価値を見落としてしまうのです。
「擁壁工事600万円」の根拠を調査した
前編でも触れましたが、
売主様が最初に相談した不動産会社からは、
「擁壁工事が必要になる可能性があります」
「造成費が600万円以上かかると思います」
と説明されていました。
しかし実際に調査を進めると、
話はそれほど単純ではありませんでした。
私たちはまず、
現地調査だけではなく、
行政調査や周辺建築事例の確認を行いました。
現地で確認した擁壁の状況
今回の土地には、
昭和50年代頃に施工されたと思われるコンクリート擁壁が存在していました。
確かに新しい擁壁ではありません。
しかし、
・大きな傾きはない
・著しい膨らみはない
・崩壊の兆候もない
という状態でした。
もちろん建築計画によっては追加工事が必要になる可能性もあります。
しかし、
即座に
「擁壁を全面やり直さなければならない」
という状況ではありませんでした。
実は昭和区では珍しくない
ここが非常に重要です。
広路町石坂、
南山町、
山手通、
妙見町、
八雲町。
これらのエリアは、
もともと丘陵地形を利用して街が形成されています。
そのため、
擁壁付き宅地は珍しい存在ではありません。
むしろ、
周辺を歩くと、
石積み擁壁やコンクリート擁壁を伴う住宅が数多く存在します。
つまり、
買主もある程度その地域特性を理解しているのです。
石積み擁壁とRC擁壁
昭和区では古い石積み擁壁も多く見られます。
特に八事周辺では、
昭和30年代から40年代に造成された宅地も少なくありません。
今回の土地はRC擁壁でした。
そのため、
購入希望者の中には、
「石積みより安心感がある」
と評価する方もいました。
不動産会社によっては、
擁壁というだけで一律に減額します。
しかし実際には、
擁壁の種類や状態によって評価は大きく異なります。
買主が評価したのは別の部分だった
私たちは販売活動の中で、
購入検討者の反応を分析しました。
すると興味深い傾向がありました。
誰も
「擁壁があるから欲しい」
とは言いません。
当然です。
しかし、
購入希望者が評価したのは、
擁壁ではなく、
その土地が持つ魅力でした。
① 高台立地
道路より高い位置に建物を建てられる。
② 眺望
周辺を見渡せる開放感。
③ 日当たり
南向きで陽当たり良好。
④ プライバシー性
道路から室内が見えにくい。
これらは、
平坦地では得られないメリットです。
業界の本音
実は、
高低差土地は評価が真っ二つに分かれます。
経験の少ない査定担当者
↓
リスクを見る
経験のある担当者
↓
特徴を見る
という傾向があります。
もちろんリスク確認は必要です。
しかし、
リスクだけで価格を決めてしまうと、
本来の価値を見落とします。
問い合わせが増えた理由
私たちは広告の見せ方も工夫しました。
「擁壁あり」
ではなく、
「高台立地」
「眺望良好」
「八事駅徒歩圏」
「注文住宅向き」
という表現で販売しました。
すると反応が変わりました。
購入検討者からは、
「どんな家が建てられますか?」
「設計事例はありますか?」
という相談が増えたのです。
なぜ査定額より1,500万円高く売れたのか
今回の数字を整理すると、
最初の査定額
4,800万円
弊社査定
6,000万円前後
最終成約価格
6,300万円
差額
1,500万円
となりました。
もちろん、
魔法のような話ではありません。
土地は変わっていません。
擁壁も変わっていません。
変わったのは、
その土地の見方です。
査定担当者が見たもの
高低差
↓
減額
擁壁
↓
減額
解体費
↓
減額
結果
4,800万円
市場が見たもの
八事エリア
広路町石坂
高台立地
眺望
住環境
結果
6,300万円
この違いが価格差になりました。
相続不動産で起こりやすいこと
今回のようなケースは珍しくありません。
相続された土地の場合、
売主様は地域相場を知らないことが多いからです。
そのため、
最初の査定額を見て、
「そんなものか」
と信じてしまうケースがあります。
しかし実際には、
数百万円、
時には1,000万円以上の差が生じることもあります。
まとめ
今回の広路町石坂の事例でお伝えしたいことがあります。
それは、
高低差があるから価値が低いわけではない。
ということです。
昭和区、
特に
- 広路町石坂
- 南山町
- 山手通
- 妙見町
- 八雲町
といった住宅地では、
高低差や擁壁も街並みの一部です。
そのため、
平坦地と同じ基準で評価すると、
本来の価値を見誤ることがあります。
名古屋市昭和区で高低差土地・擁壁土地・相続空き家をお持ちの方へ
「擁壁があるから売れない」
「造成費がかかるから価値がない」
「高低差があるから安い」
そう言われたとしても、
それが市場の評価とは限りません。
不動産の価格は、
欠点だけで決まるものではありません。
立地、
住環境、
需要、
そして買主の考え方によって大きく変わります。
特に昭和区のような住宅地ブランドの強いエリアでは、
査定する人によって数百万円から1,000万円以上の差が生じることもあります。
だからこそ、
「なぜ安いのか」だけではなく、
「なぜ高く評価できるのか」
まで説明してくれる不動産会社へ相談することが、不動産売却で後悔しないための大切なポイントなのです。


