こんにちは。
趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。
「この土地は、車が入りにくいので難しいですね」
売主様が最初の不動産会社から提示された金額は、約600万円でした。
場所は、名古屋市瑞穂区密柑山町。
敷地は約85坪。
築50年を超えた木造住宅が残る、いわゆる旗竿地でした。
道路に接する間口は狭く、細長い通路の奥にまとまった敷地があります。
確かに、整形地ではありません。
車の出入りにも工夫が必要です。
大型の工事車両が、そのまま奥まで入れるような土地でもありませんでした。
しかし、売主様には一つだけ納得できないことがありました。
「密柑山町で、85坪ある土地が、本当に600万円なのでしょうか」
その疑問から、今回の売却は始まりました。
最終的な成約価格は、約1,300万円。
最初に示された金額との差は、約700万円です。
ただし、この記事を、
「安い査定を断ったら、倍以上で売れた」
という単純な成功談にするつもりはありません。
600万円という金額にも理由がありました。
旗竿地には、本当に売りにくい条件があります。
実際、販売途中では、一度購入の話が止まりました。
それでも1,300万円で売却できたのは、旗竿地の弱点を隠したからではありません。
接道、車両進入、解体・建築条件を整理し、この土地を買える人ではなく、この土地を選ぶ理由がある人へ届け直したからです。
🟨 査定額が上がったのではありません。買取業者の出口価格と、一般の買主が暮らしに感じる価値を、同じ価格として扱わなかったことが結果につながりました。
※本記事は実際の相談・売却経験をもとに、相談者様および物件を特定できないよう、土地面積、価格、通路幅、時期、会話、経緯などの一部を調整して構成しています。
相続したのは「広いのに、入口が狭い実家」だった
売主様は、県外に住む50代の方でした。
ご両親が亡くなった後、密柑山町の実家を相続しました。
幼い頃から暮らした家です。
奥の庭には、お父様が植えた木が残っていました。
縁側から庭を眺めると、道路沿いの家とは違う静けさがあります。
敷地の奥に建物があるため、通行人の視線もほとんど届きません。
売主様にとって、その奥まった環境は欠点ではありませんでした。
むしろ、家族が落ち着いて暮らせた理由の一つでした。
ところが、売却査定を依頼すると、評価はまったく違いました。
担当者が最初に見たのは、85坪という面積ではありません。
道路から敷地へ入る細い通路でした。
「普通車の出入りがしづらいですね」
「建物を壊すにも費用がかかります」
「一般のお客様より、業者買取の方が現実的だと思います」
そう説明されたそうです。
提示された金額は、約600万円。
売主様は、その場で断ることも、受け入れることもできませんでした。
遠方から空き家を管理する負担があります。
庭木は伸び続けます。
固定資産税もかかります。
古い建物を残しておけば、台風や大雨のたびに心配になります。
「安くても、早く手放した方がいいのかもしれない」
そう考える一方で、
「土地の入口だけを見て、すべての価値を決められている気がする」
という違和感が残りました。
600万円は「間違った査定」だったのか
最初に、誤解のないようお伝えします。
600万円という金額が、根拠のない数字だったとは限りません。
話を聞くと、その金額は、実質的には不動産会社が現況で買い取り、解体や再販売のリスクを負うことを前提とした価格でした。
買取会社は、購入した後に次の費用やリスクを負います。
- 古家の解体費
- 狭い通路による小運搬などの追加費用
- 家財や庭木の撤去費
- 測量・境界確認の費用
- 建築可能性やインフラの調査費
- 再販売までの固定資産税や管理費
- 売れない期間の金利・保有リスク
- 再販売利益
そのため、買取価格が一般市場の想定成約価格より低くなるのは、通常の構造です。
問題は、
「600万円でしか売れない土地」
と、
「600万円なら業者がリスクを引き受けてすぐ買える土地」
が、同じ意味のように説明されていたことでした。
買取が悪いわけではありません。
売却時期を確定できる。
現況のまま相談できる。
売主側の負担を減らせる。
そうした価値があります。
しかし、時間をかけて一般市場で買主を探す選択肢まで検討せず、買取価格だけを不動産の価値だと考える必要はありません。
🟥 買取価格と仲介による想定成約価格は、前提条件が違います。金額だけを横に並べるのではなく、誰が費用とリスクを負うのかまで比較する必要があります。
密柑山町を歩いてから、査定書を見直した
私は、査定書だけで結論を出さず、現地へ向かいました。
密柑山町周辺を歩くと、平坦で同じ形の区画が並ぶ新しい分譲地とは違う表情があります。
道路と敷地に高低差がある家。
古くからの石積みや擁壁が残る敷地。
奥まった場所に建つ住宅。
庭木を残した家。
土地の形も、道路との関係も一つひとつ異なります。
こうした地域では、整形地の坪単価へ一律の減価率を掛けるだけでは、実際の需要を捉えられないことがあります。
もちろん、密柑山町にあるから必ず高く売れるわけではありません。
同じ町内でも、道路、接道、高低差、擁壁、土地形状、建物状態によって条件は変わります。
ただ、少なくとも今回の土地は、
「旗竿地だから大幅に安い」
という一言だけで評価を終えてよい土地には見えませんでした。
現地で最初に見たのは、奥の85坪ではなかった
旗竿地を見るとき、奥の広さや日当たりだけを先に評価すると危険です。
私が最初に確認したのは、道路から奥の敷地へ至るまでの動線でした。
前面道路の状況
道路幅だけでなく、車が入口へ曲がる際に反対側へ振れる空間があるかを見ました。
向かい側の塀。
電柱。
路上駐車。
道路との段差。
数字上の通路幅が同じでも、これらの条件で車の入りやすさは変わります。
通路部分の幅と長さ
入口だけでなく、途中で狭くなっていないかを確認しました。
塀、軒、雨どい、給湯器などが車両動線へ影響していないかも見ます。
法的な接道
見た目として道に接していても、それだけで再建築可能とは断定できません。
前面道路が建築基準法上どのように扱われるのか。
敷地が必要な長さで接しているのか。
通路部分が売却対象地に含まれているのか。
境界やセットバックの問題はないか。
行政資料、登記、公図、測量資料などを確認する必要があります。
工事車両の進入
再建築できることと、希望する建物を通常の費用で施工できることは別です。
解体車両や重機がどこまで入れるのか。
資材を小型車両や人力で運ぶ必要があるのか。
生コンクリートの圧送距離が長くなるのか。
建築会社や解体業者の確認が必要になる場合があります。
🟨 旗竿地では、「法律上建てられるか」「実際に工事できるか」「毎日車を使えるか」を分けて調べなければなりません。
調査の結果、「車が入らない土地」ではなかった
現地で実際に車両動線を確認すると、最初の説明と少し違うことが分かりました。
確かに、大型車が余裕をもって出入りできる土地ではありません。
車種や運転技術によっては、何度か切り返しが必要になります。
来客用を含めて複数台の駐車を求める方には、向かない可能性があります。
しかし、
「車がまったく入らない」
わけでもありませんでした。
小型車やコンパクトカーであれば、道路側の状況を確認しながら進入できる余地がありました。
ここで大切なのは、都合よく「普通車でも問題ありません」と言い換えないことです。
車の大きさ。
最小回転半径。
向かい側の道路状況。
塀や電柱の位置。
運転する方の感覚。
これらによって評価は変わります。
そこで販売時には、単に「駐車可能」と表示するのではなく、現地で買主自身に車両進入を確認してもらう方針にしました。
不便さを否定するのではなく、どの程度の不便なのかを見えるようにする。
それが最初の修正でした。
奥へ入ると、評価が変わった
細い通路を抜けると、敷地の印象は大きく変わりました。
道路からは想像しにくい広がりがあります。
周囲に高い建物が少なく、日当たりも確保されていました。
道路沿いの騒音が届きにくく、通行人の視線も気になりません。
庭と建物の間にも余白があります。
古い家ではありますが、窓を開けると光と風が入りました。
整形地と比べれば、建築計画の制約はあります。
しかし、奥まった敷地だからこそ得られる静けさとプライバシーがあります。
ここで考えたのは、
「この土地を、整形地と同じ条件で探している人へ売ろうとしても選ばれない」
ということでした。
車を2台、3台とめたい方。
大型車を毎日使う方。
道路から建物がよく見える家を希望する方。
工事費を少しでも抑えたい方。
こうした方へ無理に勧める土地ではありません。
一方で、
- 道路から離れた静かな環境を求める方
- 外からの視線を避けたい方
- 庭や中庭を重視する方
- 車への依存度が高くない方
- 既製の建売住宅ではなく建築計画を工夫したい方
- 土地の形より密柑山町周辺で暮らすことを優先する方
にとっては、検討する理由があります。
査定で必要だったのは、欠点を小さく見せることではありません。
欠点を受け入れられる買主像を、具体的にすることでした。
「600万円から1,300万円へ上がった」のではない
今回の金額差を説明するとき、私は「土地の価値が途中で倍になった」とは考えていません。
比較していた市場が違いました。
| 比較項目 | 約600万円の提案 | 約1,300万円の成約 |
|---|---|---|
| 主な買主 | 再販売を前提とする買取業者 | 自ら利用する一般の買主 |
| 売却速度 | 比較的早い | 買主探索と調査に時間が必要 |
| 解体・再販売リスク | 買取業者が負担 | 買主が利用計画を踏まえて判断 |
| 価格の見方 | 費用・リスク・利益を差し引く | 立地・静けさ・広さも評価 |
| 車両条件 | 再販売時の弱点として評価 | 自分の生活に許容できるかで判断 |
| 売主の手間 | 抑えやすい | 調査・説明・内覧対応が必要 |
600万円は、短期間で問題を引き受ける事業者目線の価格でした。
1,300万円は、調査資料を確認し、土地の特徴を自分の暮らしに合うと判断した買主の価格でした。
どちらかが必ず正しく、どちらかが必ず間違っているわけではありません。
売主様が何を優先するかによって、選ぶ出口は変わります。
🟥 「最も高い金額」が、いつでも最善とは限りません。時間、費用、責任、成約可能性を含め、最終手取りと負担で比べる必要があります。
最初の販売では、私たちも入口の説明が足りなかった
調査後、一般市場での販売を開始しました。
物件の広さ、密柑山町の住環境、日当たり、奥まった静けさを伝えました。
しかし、最初から順調だったわけではありません。
問い合わせは入るものの、通路の写真を見た段階で検討をやめる方がいました。
「SUVは入りますか」
「工事車両は大丈夫ですか」
「本当に再建築できますか」
同じ質問が続きました。
当初の広告では、奥の敷地の写真を多く使い、通路については寸法と文章で説明していました。
嘘を書いたわけではありません。
しかし、買主が最も不安に感じる部分を、十分に判断できる形で見せていませんでした。
そこで、販売資料を見直しました。
- 道路から通路へ入る角度が分かる写真
- 通路の途中と奥側から見た写真
- 現況寸法と測定位置
- 法的な道路・接道について確認できた範囲
- 車種によって進入性が異なること
- 解体・建築会社による個別確認が必要なこと
- 買主の車で現地確認できること
を、早い段階で共有するようにしました。
🟥 旗竿地で入口を小さく見せ、奥の広さだけを強調すると、内覧時に期待との落差が生まれます。弱点は後から説明するほど大きな不信になります。
1組目の購入希望者|申込み直前に建築会社が止めた
販売開始後、子育て世代のご夫婦が現れました。
密柑山町周辺で土地を探しており、敷地の広さと静かな環境を気に入ってくださいました。
ご夫婦は小さなお子様が道路へ飛び出しにくい点も、旗竿地の利点として見ていました。
現地案内後、購入申込みに向けて話が進みました。
売主様は、
「思っていたより早く決まるかもしれませんね」
と安心された様子でした。
ところが、買主側の建築会社が現地を確認した後、空気が変わりました。
通路が狭いため、解体と新築工事に追加費用がかかる可能性がある。
希望していた建物配置と駐車計画では、使い勝手が悪くなる。
家族用と来客用を合わせた複数台駐車が難しい。
そう説明されたのです。
土地の購入価格だけを見れば予算内でした。
しかし、建築費と外構費を含めると、資金計画が合いませんでした。
結果として、ご夫婦は購入を見送りました。
売主様は落ち込みました。
「やはり、最初の会社が言ったように売れない土地なのでしょうか」
しかし、この辞退は、土地に価値がないことを意味していません。
この買主の希望する暮らし方と、土地条件が合わなかったのです。
ここで価格を大きく下げる前に、買主像をもう一度見直しました。
想定外の買主は、車を所有していなかった
次に問い合わせをいただいたのは、ご夫婦二人で暮らす予定の方でした。
現地へ来られたとき、車ではなく、最寄り駅から歩いて来られました。
最初に奥様が尋ねたのは、駐車台数ではありませんでした。
「道路から家が見えにくいのは、このままですか」
私は、一瞬、質問の意図が分かりませんでした。
これまでの購入希望者は、入口が狭いことを気にしていました。
しかし、このご夫婦は反対でした。
道路から玄関や庭が見えにくいことを、魅力に感じていたのです。
ご夫婦は当時、日常的に自家用車を使用していませんでした。
将来必要になった場合も、小型車一台を想定していました。
希望していたのは、大きな駐車場のある家ではありません。
道路から少し離れ、庭と室内のつながりを楽しめる静かな住まいでした。
ご主人は奥の敷地へ入ると、しばらく庭を見ていました。
「入口が細い分、ここまで入ると街中という感じがしませんね」
不動産会社が減点していた部分が、このご夫婦にとってはプライバシーをつくる入口になっていました。
同じ通路です。
同じ幅です。
それでも、暮らし方が変われば意味が変わります。
2組目の買主には、最初に悪い話をした
ただし、買主様が車を重視していないからといって、旗竿地の問題を軽く扱うことはできません。
私たちは、最初の段階で次の点を説明しました。
- 車種によっては進入が難しいこと
- 来客用を含む複数台駐車には制約があること
- 解体・建築時に小運搬等の追加費用が生じる可能性
- 建築計画は買主側の建築会社による現地確認が必要なこと
- 現況の境界・接道について確認できた内容
- 古家の状態と売主側で保証できない事項
そして、買主様が依頼する建築会社にも、契約前に現地を見てもらいました。
建物配置。
基礎。
資材搬入。
駐車位置。
庭の残し方。
一つずつ検討していただきました。
建築会社からは、通常の整形地と同じ工事費では考えない方がよいという説明もありました。
買主様は、それでも購入を即決しませんでした。
資金計画を組み直し、建物規模も見直しました。
数週間後、土地と建物の総額が許容範囲に収まる見通しが立ち、購入申込みをいただきました。
買主様が購入した理由は、旗竿地の弱点を気にしなかったからではありません。
弱点を把握し、自分たちの暮らしなら受け入れられると判断できたからです。
🟩 難しい土地ほど、「大丈夫です」と安心させるのではなく、何を確認すれば判断できるかを示すことが大切です。
1,300万円でまとまった本当の理由
最終的な成約価格は、約1,300万円でした。
価格がまとまった理由は、一つではありません。
1.買取価格と市場価格を分けて考えた
業者が再販売リスクを負う価格を、不動産の唯一の価値だと考えませんでした。
2.法的条件と物理的条件を調べた
接道、道路、境界、車両進入、解体・建築の問題を一つにまとめず、分けて確認しました。
3.旗竿地に向かない買主へ無理に売らなかった
大型車や複数台駐車を重視する方には、土地の弱点を正直に伝えました。
4.奥まった敷地の価値を伝えた
日当たり、静けさ、視線の届きにくさ、庭の余白を、実際の暮らしとして提案しました。
5.買主の建築会社を早期に巻き込んだ
契約直前に建築上の問題が発覚しないよう、検討初期に現地確認をお願いしました。
6.価格だけでなく総予算で判断してもらった
土地代だけを安く見せず、追加工事の可能性を含めて資金計画を立ててもらいました。
つまり、1,300万円になった最大の理由は、密柑山町という名前だけでも、85坪という広さだけでもありません。
この土地の不便さを理解したうえで、それ以上の価値を感じる買主へ届いたことです。
「密柑山町だから高く売れる」とは言い切れない
今回の結果だけを見て、密柑山町の旗竿地なら必ず高く売れると考えるのも危険です。
同じ町内でも、不動産の条件は異なります。
- 建築基準法上の道路へ接しているか
- 接道長さを確保できているか
- 通路の最も狭い部分はどこか
- 境界が確定しているか
- 道路と敷地に高低差があるか
- 擁壁や階段があるか
- 上下水道やガス管がどこを通るか
- 重機や工事車両が入れるか
- 奥の有効宅地面積がどれだけあるか
- 日当たりや隣家との距離はどうか
- 古家を利用できる可能性があるか
これらによって、評価は変わります。
また、売却時期や競合物件、建築費、金利環境によっても買主の判断は変わります。
一つの成約事例を、そのまま別の土地へ当てはめることはできません。
だからこそ、「旗竿地は整形地の何割減」と機械的に決めるのではなく、個別に調べる必要があります。
査定額が大きく違うとき、売主様が聞くべきこと
旗竿地や相続空き家では、不動産会社によって査定額が大きく違うことがあります。
高い査定を選べばよいわけでも、低い査定が誠実とは限りません。
売主様には、次の点を確認していただきたいと思います。
「この金額は、仲介で売れる予想価格ですか。それとも御社の買取価格ですか」
「どの成約事例と比較しましたか」
「旗竿地として、どの条件を減額しましたか」
「接道や再建築について、どこまで調査しましたか」
「解体・建築費はいくら見込んでいますか。その根拠は何ですか」
「どのような買主を想定していますか」
「売れなかった場合、価格以外に何を見直しますか」
査定額は、約束された売却価格ではありません。
大切なのは、数字の高さより、その数字に至る調査と販売方法です。
旗竿地を売る前に、先に解体するべきか
売主様から、
「古い家を壊して、土地を見やすくした方が売れますか」
と聞かれることがあります。
旗竿地では、特に慎重な判断が必要です。
通路が狭いと、大型重機やトラックが奥まで入れず、解体材の小運搬が必要になることがあります。
その分、整形地より解体費が高くなる可能性があります。
また、再建築の可否や建築条件を確認せずに既存建物を解体すると、建物を利用する選択肢を失うことがあります。
買主の建築計画によっては、既存建物を残したまま調査した方がよい場合もあります。
一方で、建物に危険な劣化があり、近隣へ影響する可能性がある場合は、安全対策を優先すべきこともあります。
したがって、
「築50年だから解体」
ではなく、
「現況、安全性、接道、解体費、販売価格、買主層を比較して判断する」
という順番が必要です。
売主利益は、成約価格だけでは決まらない
今回、約1,300万円で成約しました。
しかし、1,300万円という数字だけで成功を判断することはできません。
仲介手数料。
登記費用。
測量費。
家財整理費。
庭木の剪定費。
必要に応じた修繕や安全対策。
売却までの固定資産税と管理費。
こうした費用を差し引いて、最終手取りを考える必要があります。
また、販売期間中の近隣対応や遠方からの管理が大きな負担になる方には、価格が低くても早期買取が適する場合があります。
売主様によって、利益の意味は違います。
最高価格を目指したい方。
期限を優先したい方。
建物を残したい方。
家財をそのまま引き渡したい方。
近隣へ知られず売りたい方。
価格、時間、手間、責任を並べて、何を優先するかを決める必要があります。
私がこの売却で反省したこと
今回の売却は、最終的に約1,300万円でまとまりました。
しかし、最初から正しい販売方法を選べていたわけではありません。
私も当初は、奥の広さや日当たりを見せれば、土地の魅力は伝わると考えていました。
ところが、買主が最初に判断したいのは、そこではありませんでした。
車が入るのか。
建て替えられるのか。
工事費がどれだけ増えるのか。
自分が将来売るときに困らないか。
その不安へ先に答えなければ、奥の魅力まで見てもらえません。
1組目の買主が建築会社の確認後に離れたことで、説明の順番を変える必要があると気づきました。
🟥 土地の魅力を熱心に伝えることと、買主が判断できる情報を渡すことは同じではありません。
今回の成約は、旗竿地を魅力的な言葉で飾った結果ではありません。
入口の不便さを先に示し、それでも検討できる人へ奥の価値を伝えた結果です。
まとめ|600万円と1,300万円の間にあったもの
名古屋市瑞穂区密柑山町のこの土地は、約85坪の旗竿地でした。
車の進入には制約があります。
解体や建築では、追加費用が生じる可能性があります。
すべての購入者に向く土地ではありません。
最初に示された約600万円は、そうした費用と再販売リスクを差し引いた買取目線の価格でした。
一方、約1,300万円で購入した方は、車を最優先していませんでした。
道路から離れた静けさ。
外からの視線が届きにくいこと。
奥にある土地の広がり。
庭を生かせること。
密柑山町周辺で暮らすこと。
そこに価値を感じました。
600万円から1,300万円へ、土地の形が変わったわけではありません。
通路が広がったわけでもありません。
古家を大規模改修したわけでもありません。
変わったのは、
- 買取価格と市場価格を分けたこと
- 法律・施工・生活上の問題を分解したこと
- 不便さを隠さず、早く説明したこと
- その不便さを許容できる買主へ届けたこと
- 買主の建築会社に、契約前に確認してもらったこと
でした。
🟥 旗竿地だから安い、という言葉だけで価値を決めることはできません。
🟩 ただし、旗竿地だから高く売れるわけでもありません。弱点を調べ、説明し、その特徴を必要とする人へ届いて初めて価格になります。
不動産会社の仕事は、高い査定書を出して期待させることではありません。
また、難しい土地だからと低い価格で早く終わらせることでもありません。
何が不便なのか。
何が確認できているのか。
追加費用はどこに生じるのか。
誰にとって価値があるのか。
それらを整理し、売主様が複数の出口を比較できる状態にすることです。
今回の700万円の差は、土地に隠された魔法の価値ではありません。
誰が、何の目的で買うのかを考え抜いた結果として生まれた差だったのだと思います。
名古屋市瑞穂区で旗竿地・相続空き家の売却をお考えの方へ
ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、瑞穂区を含む名古屋市内の旗竿地、相続空き家、接道や境界に確認が必要な土地、古家付き不動産などの売却をお手伝いしています。
次のような段階でも構いません。
- 旗竿地だから安いと言われた
- 車が入らないので買取しかないと言われた
- 査定額が会社によって大きく違う
- 接道幅が足りているか分からない
- 再建築できるのか確認できていない
- 解体費が高いと言われたが、根拠が分からない
- 古家を残して売るか、解体するか迷っている
- 県外に住んでいて、相続した実家を管理できない
- 他社から価格を下げる以外の提案がない
- 買取価格と仲介価格の違いを比較したい
机上査定だけで「旗竿地だから何割減」と判断するのではなく、現地を確認します。
道路の幅。
車が曲がる角度。
向かい側の塀や電柱。
通路の最狭部分。
境界と接道。
工事車両の動線。
奥の有効宅地。
日当たり。
庭や建物の状態。
そして、その土地を必要とする可能性のある買主層。
そのうえで、仲介、買取、古家付き売却、解体後売却などを比較し、最終手取り、時間、費用、責任を整理します。
「車が入りにくいから売れない」と決める前に、その不便さがどの程度なのか、そして誰なら受け入れられるのかを一緒に確認してみませんか。
対応エリア
名古屋市瑞穂区・南区・昭和区・熱田区・天白区・緑区・港区・中川区・中村区・中区・千種区・名東区・守山区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。
※接道義務、再建築の可否、セットバック、建築可能な用途・規模、車両進入、解体・建築費などは、道路種別、接道状況、敷地形状、境界、建築計画および地域の条例等によって異なります。不動産会社の目視だけで断定せず、必要に応じて名古屋市、建築士、建築会社、解体業者、土地家屋調査士などへご確認ください。
※査定価格は成約を保証するものではありません。本記事の価格差は個別事例であり、他の不動産に同様の結果を保証するものではありません。
※本記事は2026年9月時点の公表情報と実務経験をもとに作成しています。本文の事例は、相談者様および物件を特定できないよう、土地面積、価格、通路幅、時期、会話、経緯などの一部を調整しています。


