こんにちは。
趣味は街歩き。名古屋市の街を歩き続けて8年になる、空き家が大好きな宅建士、ふどうさんのMAGOの保木です。
「再建築不可なので、ほとんど価値はありません」
「建物を壊したら何も建てられないので、売却は難しいです」
相続した実家について、このような説明を受け、不安になって相談へ来られる方がいます。
確かに、再建築不可物件は一般的な住宅より売却の難易度が上がります。
住宅ローンを利用しにくい。
購入できる人が限られる。
建物を解体すると、新しい住宅を建てられない可能性がある。
修繕や活用にも制約が生じる場合がある。
こうした問題があるからです。
しかし、
再建築不可=売れない
ではありません。
実際には、現金購入の投資家、既存建物を利用したい人、隣地所有者、倉庫や事業用途を検討する人など、一般の住宅購入者とは異なる需要があります。
さらに調査を進めると、「再建築不可だと思われていたが、建築基準法上の道路に接していた」「接道条件を改善できる可能性があった」「第43条の認定・許可を検討できる通路だった」というケースもあります。
大切なのは、再建築不可という言葉だけで価格を決めることではありません。
なぜ再建築できないのか。改善できるのか。現状のまま誰が買うのか。どの費用と責任を売主が負うのか。
この記事では、再建築不可物件の基本、価格の考え方、売却先、解体前の注意点、名古屋市で確認したい道路調査、実際の失敗事例について解説します。
※本文の事例は、相談者様や物件を特定できないよう、複数の相談・売却経験をもとに所在地、価格、会話、経緯などの一部を調整して構成しています。

再建築不可物件とは何か
再建築不可物件とは、現在は建物が存在しているものの、建物を取り壊した後、原則として新しい建物を建てられない土地・建物を指す実務上の呼び方です。
代表的な理由は、建築基準法上の接道義務を満たしていないことです。
建築基準法では、建築物の敷地は、原則として建築基準法上の道路へ2メートル以上接しなければなりません。
そのため、見た目では道に面していても、次のような場合は再建築が難しくなる可能性があります。
- 前面の通路が建築基準法上の道路ではない
- 道路に接する間口が2メートル未満
- 他人の土地を通らなければ道路へ出られない
- 路地状部分の一部が隣地に含まれている
- 私道の権利や通行・掘削条件が整理されていない
- 現況と公図、測量図、登記が一致していない
ここで重要なのは、道路が舗装されているか、公道のように見えるかではありません。
建築基準法上、どの種類の道路または通路として扱われているかです。
名古屋市では、指定道路図で建築基準法第42条に基づく道路種別や、道路ではないものの一定条件で接道許可を検討できる「特定通路」を確認できます。
ただし、地図表示だけで個別の建築可否を確定できるとは限りません。敷地形状、接道長さ、建築計画、過去の許可などを含めて行政窓口や建築士へ確認する必要があります。
🟥 「細い道だから再建築不可」「昔から家があるから建て替えられる」という見た目だけの判断は危険です。
再建築不可になりやすい5つのパターン
1.道路に接していない土地
敷地が他人の土地に囲まれ、建築基準法上の道路へ直接接していないケースです。
通路を日常的に使えていても、その通路が敷地に含まれているとは限りません。
2.接道幅が2メートル未満
道路に接していても、間口が原則2メートル未満であれば接道義務を満たさない可能性があります。
塀と塀の間を自分で測った数値と、境界確定後の法的な接道長さが異なることもあります。
3.前面通路が建築基準法上の道路ではない
車や人が通っていても、法第42条の道路に該当しない通路があります。
私道持分を持っていることと、建築基準法上の道路であることも別の問題です。
4.長屋・連棟住宅の一部
隣家と壁や構造が一体になった連棟住宅では、単独で解体・建て替えできない場合があります。
接道だけでなく、建物の構造、区分、隣家の同意、切離し工事の安全性などを確認する必要があります。
5.接道条件以外の法令・敷地条件がある
市街化調整区域、敷地分割、既存不適格、用途制限、崖・擁壁など、接道以外の理由で希望する建物を建てられない場合があります。
「再建築不可」という説明を受けたら、まず何の規定が原因なのかを確認してください。

「再建築不可」と言われても、調査で結論が変わることがある
再建築不可物件の相談で、最初に行うべきことは査定ではありません。
道路と権利の調査です。
確認する主な資料
- 登記事項証明書
- 公図
- 地積測量図
- 確定測量図・境界確認書
- 建築計画概要書
- 建築確認済証・検査済証
- 道路台帳、指定道路図
- 私道の登記と持分
- 通行・掘削承諾書
- 過去の第43条許可・認定関係資料
現地で確認する内容
- 道路と敷地が実際に接する位置
- 通路の幅と長さ
- 境界標
- 塀、門、電柱、側溝などの障害物
- 車両・工事車両の進入
- 上下水道、ガス、電気の経路
- 隣地の利用状況と越境
- 建物の構造と利用可能性
机上資料と現況が一致しないこともあります。
だからこそ、「再建築不可なので一律に何割減」という査定ではなく、再建築できない原因を分解する必要があります。
第43条の認定・許可があれば建てられるのか
接道義務を満たさない敷地でも、一定の条件を満たす場合には、建築基準法第43条第2項の認定または許可によって建築できる可能性があります。
名古屋市は、第43条第2項第2号について、敷地周囲に広い空地があるなど、交通上、安全上、防火上および衛生上支障がなく、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したものについて、接道義務の特例を設けています。
ただし、これは「申請すれば必ず許可される」という制度ではありません。
- 通路の幅員と延長
- 通路の管理状態
- 避難・消防活動への支障
- 建築物の用途、規模、構造
- 関係権利者の承諾
- 将来にわたる通路の確保
などを個別に確認します。
過去に同じ敷地で許可を受けていても、新しい建築計画でも自動的に認められるとは限りません。
売却広告で安易に「43条許可で再建築可能」と断定せず、誰が、どの建物を、どの条件で建てるのかを踏まえて事前相談することが大切です。
🟨 第43条の認定・許可は、再建築不可物件を自動的に再建築可能へ変える魔法ではありません。個別の建築計画について判断を受ける制度です。
再建築不可物件の価格相場は、どのくらい下がるのか
最も多く聞かれる質問です。
インターネットでは、
「通常の土地価格より3割安い」
「半額程度になる」
などの情報を見かけます。
しかし、すべての再建築不可物件に同じ割合を当てはめることはできません。
価格は、再建築できないという一点だけでなく、次の条件によって変わるからです。
- 駅、商業施設、学校などへの距離
- 現在の建物を利用できるか
- 建物の雨漏り、傾き、設備状態
- 接道条件を改善できる可能性
- 第43条認定・許可を検討できるか
- 隣地所有者の取得需要
- 賃料と改修費から見た収益性
- 現金購入者が検討できる価格帯
- 解体、残置物、測量、補修費
- 私道や通行・掘削の権利
- 売却後に売主が負う責任
価格は「土地相場から減額」だけでは決まらない
一般的な住宅用地であれば、周辺の坪単価や成約事例から価格を考えます。
再建築不可物件では、それに加えて、次の複数の見方を使います。
1.既存建物の利用価値
建物を修繕し、住宅や賃貸物件として使えるなら、その利用価値を考えます。
ただし、大規模な改修が建築確認を伴うか、構造や法令上どこまで可能かは、建築士等への確認が必要です。
2.収益還元による見方
想定家賃から空室、管理、修繕、税金などを見込み、投資家が求める収益性から購入可能額を考えます。
3.隣地との一体利用価値
一般市場では低く評価されても、隣地所有者にとっては庭、駐車場、増築・建替え計画などに役立つ場合があります。
4.改善後の価値と必要経費
隣地の一部取得、通路整備、測量、権利整理によって条件が改善する場合は、改善後の価格から必要費用と交渉リスクを差し引きます。
5.買取価格
買取会社は、改修、解体、測量、権利調整、保有期間、再販売リスク、利益を見込んで価格を算出します。
そのため、仲介で時間をかけて売る場合の想定成約価格より低くなるのが一般的です。
🟩 再建築不可物件の相場とは、「周辺相場の何割」という一つの数字ではありません。誰が、何のために買い、どの費用とリスクを負うかによって生まれる複数の価格です。

価格相場を考えるモデルケース
例えば、周辺の再建築可能な土地が2,000万円前後で取引されている地域に、再建築不可の古家付き土地があるとします。
この物件を「再建築不可だから半額」と機械的に1,000万円で査定することはできません。
ケースA|建物を修繕し、賃貸運用できる
想定家賃、改修費、空室リスク、維持費から投資家の購入可能額を計算します。
立地と建物状態がよければ、土地だけの処分価格より高く評価される可能性があります。
ケースB|建物の利用が難しく、解体後も建築できない
利用方法が駐車場、資材置場、家庭菜園などに限られれば、購入層が大きく減り、価格も下がりやすくなります。
ケースC|隣地が一体利用を希望している
隣地にとって面積増加や土地形状改善の効果があれば、一般市場より高く評価される場合があります。
ケースD|接道条件を改善できる可能性がある
隣地の一部取得、境界整理、第43条の事前相談などにより建築の可能性が高まれば、評価が大きく変わることがあります。
ただし、交渉成立や認定・許可を前提に査定額を確定してはいけません。実現可能性と費用を慎重に確認します。
再建築不可物件を買うのは誰か
再建築不可物件を一般的な新築住宅用地として広告しても、反響は限られます。
重要なのは、物件に合った購入者へ届けることです。
1.現金購入できる投資家
既存建物を改修し、賃貸運用する投資家です。
取得価格、改修費、想定家賃、空室リスクを数字で判断します。
2.既存建物を自分で利用したい人
リフォームして居住したい方、アトリエ、事務所、倉庫などへの利用を考える方です。
用途変更や大規模改修が可能かは、事前確認が必要です。
3.隣地所有者
再建築不可物件では、隣地が最も高く評価できる買主になることがあります。
庭や駐車場の拡張、親族用地、将来の一体利用など、隣地だけが得られる価値があるためです。
4.再生事業者・専門買取会社
難しい権利関係や改修、再販売の経験を持つ事業者です。
売却スピードや契約条件を優先する場合に選択肢になります。
5.建築・権利条件を改善できる事業者
隣地交渉、測量、通路整備などを行い、土地価値の改善を目指す事業者です。
一般の売主様が自ら交渉するより進めやすい場合がありますが、その費用とリスクは買取価格へ反映されます。
私の失敗談|「投資家へ出せば売れる」と考えてしまった
以前、名古屋市内の再建築不可と思われる古家について相談を受けました。
駅から徒歩圏内で、周辺には賃貸住宅もありました。
私は当初、
「一般の住宅購入者は難しくても、投資家なら検討できる」
と考えました。
確かに方向性は間違っていませんでした。
しかし、投資家へ紹介すれば売れるというほど単純ではありません。
問い合わせは入りましたが、現地確認後に話が止まりました。
理由を聞くと、買主候補が知りたかったのは、単に価格や想定家賃ではありませんでした。
- 建物をどこまで修繕できるのか
- 再建築できない根拠は何か
- 通行・掘削の権利はあるのか
- 上下水道管はどこを通っているのか
- 雨漏りや傾きはないか
- 将来、売却するときの出口はあるのか
こうした情報が整理されていなかったのです。
私は「投資家はリスクを取る人」と考えていました。
しかし正しくは、
投資家は、分からないリスクを嫌い、計算できるリスクを検討する人
でした。
その後、道路、権利、配管、建物状態、想定改修費、賃料、売却時の注意点を整理し直しました。
価格を下げる前に、買主が計算できる資料をそろえたことで、具体的な交渉へ進めるようになりました。
🟥 再建築不可物件は、買主を変えるだけでは売れません。買主が判断できる情報へ、物件を組み立て直す必要があります。
再建築不可物件を売却する7つのコツ
コツ1|再建築不可の根拠を確認する
不動産会社の口頭説明だけでなく、道路種別、接道長さ、敷地範囲、過去の建築資料を確認します。
コツ2|建物を解体する前に相談する
再建築不可物件は、建物が残っているから利用価値がある場合があります。
解体後は元に戻せません。建物の危険性、維持費、利用可能性を確認してから判断してください。
コツ3|修繕可能性を過大に説明しない
「リフォームなら何でもできる」とは限りません。
工事内容によって建築確認や法令上の検討が必要になるため、建築士や行政へ確認します。
コツ4|住宅ローン以外の買主を想定する
現金投資家、隣地所有者、事業者など、一般住宅とは異なる市場へ届けます。
コツ5|悪い情報を早い段階で開示する
再建築不可、私道、通行・掘削、雨漏り、傾きなどを後から説明すると、契約直前で話が流れます。
不利益な情報ほど、購入検討の早い段階で伝えることが大切です。
コツ6|仲介と買取を手取りで比較する
売出価格だけでなく、仲介手数料、測量、残置物、修繕、維持費、売却期間、契約上の責任を差し引いて比較します。
コツ7|隣地への提案を慎重に検討する
隣地は有力な買主候補ですが、最初から隣地だけに頼ると価格交渉で不利になることがあります。
一般市場や買取価格も把握したうえで、売主様の了承を得て丁寧に進めます。

絶対に避けたい5つの失敗
1.再建築不可という言葉だけで、極端に安い価格を受け入れる
立地、建物利用、賃料、隣地需要、改善可能性を調べてから判断します。
2.相続後すぐに建物を解体する
解体によって既存建物の利用価値を失い、土地の用途が大きく限定される場合があります。
3.「昔も許可が出たから大丈夫」と説明する
過去の許可と今回の建築計画は別です。最新の計画について確認します。
4.再建築可能であるかのように広告する
認定・許可や隣地交渉が未成立の段階で断定すると、買主との重大なトラブルにつながります。
5.価格だけで買取会社を選ぶ
残置物、測量、契約不適合責任、境界、引渡条件、違約時の取り扱いまで比較してください。
再建築不可物件を売る前のチェックリスト
- 建築基準法上の道路種別を確認したか
- 道路への接道長さを確認したか
- 境界標や測量図があるか
- 私道持分はあるか
- 通行・掘削承諾は確認できるか
- 過去の建築確認や第43条許可資料があるか
- 建物の雨漏り、傾き、腐食を確認したか
- 上下水道・ガス管の経路を確認したか
- 隣地との越境はないか
- 解体前に建物利用の可能性を検討したか
- 一般市場、投資家、隣地、買取を比較したか
- 売却価格ではなく最終手取りを比較したか
すべてを売主様だけで調べる必要はありません。
ただし、何を確認せずに売却するのかは理解しておく必要があります。
まとめ|再建築不可物件は「売れない物件」ではなく、買主と説明方法が限られる物件
再建築不可物件は、一般的な住宅と同じ方法では売りにくい不動産です。
住宅ローンを使いにくい。
建物を取り壊した後の利用が限られる。
改修、通行、配管、私道など、確認項目が多い。
将来の再売却も考える必要がある。
そのため、価格が下がりやすく、売却期間が長くなる可能性があります。
しかし、売れないと決まったわけではありません。
既存建物を利用する人。
賃貸運用を考える投資家。
一体利用できる隣地所有者。
権利・建築条件を整理できる事業者。
その物件だからこそ価値を感じる買主がいる場合があります。
また、調査によって道路や接道の認識が変わることもあります。
🟥 再建築不可を隠し、普通の住宅のように売ることはできません。
🟩 しかし、再建築不可という一つの言葉だけで、すべての価値を失ったと考える必要もありません。
不動産会社の仕事は、根拠なく「売れます」と言うことではありません。
再建築できない理由を調べる。
改善可能性を確認する。
建物の利用価値を考える。
買主になり得る人を変える。
費用、時間、責任を含めた複数の出口を並べる。
そして、売主様が納得して選べる状態をつくることです。

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ふどうさんのMAGOは、名古屋市南区を拠点に、再建築不可物件、接道不良、旗竿地、私道に接する土地、連棟住宅、相続空き家などの売却をお手伝いしています。
次のような段階でも構いません。
- 他社から再建築不可だから売れないと言われた
- 査定価格が会社によって大きく違う
- 前面の通路が建築基準法上の道路か分からない
- 接道幅が2メートルあるか確認できていない
- 第43条の認定・許可を検討できるか知りたい
- 私道持分や通行・掘削の権利が分からない
- 解体してから売るべきか迷っている
- 隣地へ相談したいが進め方が分からない
- 家財を残したまま売りたい
- 仲介と買取のどちらがよいか比較したい
最初から「売れる」「売れない」と断定することはできません。
まず、道路、接道、境界、私道、建物状態、配管、過去の建築資料を確認します。
そのうえで、既存建物の利用、投資家への販売、隣地提案、専門買取、条件改善など、考えられる出口を比較します。
建物を壊した後では戻せません。
安い査定を受け入れる前に、そして解体を始める前に、まだ確認されていない価値がないかを調べてみませんか。
対応エリア
名古屋市南区・港区・緑区・瑞穂区・熱田区・昭和区・天白区・中川区・中村区・中区・千種区・名東区・守山区をはじめ、名古屋市全域および愛知県内に対応しています。
※接道義務、再建築の可否、第43条の認定・許可、私道の通行・掘削、改修可能な範囲などは、道路種別、敷地形状、権利関係、建物および具体的な建築計画によって異なります。個別の建築可否は、名古屋市、建築士などへ確認してください。
※本文の事例は、相談者様および物件を特定できないよう、複数の相談・実務経験をもとに所在地、価格、会話、経緯などの一部を調整しています。
参考にした公的情報
- 名古屋市「接道許可(建築基準法第43条)」
https://www.city.nagoya.jp/jigyou/toshikeikaku/1018015/1018021/1018056/1018062.html - 名古屋市「指定道路図」
https://www.city.nagoya.jp/jigyou/toshikeikaku/1018015/1018021/1018476/1018477.html - 名古屋市「建築基準法上の道路について」
https://www.city.nagoya.jp/jigyou/toshikeikaku/1018015/1018021/1018476/1034588.html - 国土交通省「接道規制のあり方について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001894185.pdf


