はじめに|「建物価値は0円ですね」と言われた相続長屋
「建物に価値はありません。」
相続した実家の査定を依頼した際、売主様が最初に言われた言葉でした。
物件は名古屋市中川区にある築年数不明の長屋住宅。
お父様が亡くなられた後に相続された不動産です。
建築時期はおそらく昭和30年代後半。
長年家族が暮らしてきた思い出の家でした。
しかし相続後は誰も住む予定がなく、
空き家となっていました。
建物は老朽化が進み、
雨漏りも発生。
室内には長年の生活用品も残されたままでした。
さらに長屋特有の問題があります。
隣家と壁がつながっているのです。
そのため売主様自身も、
「こんな家は売れないだろう。」
と思われていました。
実際に複数の不動産会社へ査定を依頼したところ、
返ってきた答えは厳しいものでした。
「建物価値はありません。」
「長屋は難しいですね。」
「解体も簡単ではありません。」
「査定額はほぼゼロです。」
しかし最終的には買主が見つかり、
無事に売却することができました。
今回は、
査定額0円と言われた中川区の長屋が売却できた実例をご紹介します。
相続から始まった空き家問題
今回のご相談者様は、
県外に住む長男様でした。
お父様がお亡くなりになった後、
実家を相続したものの、
ご自身はすでに持ち家がありました。
当然ながら住む予定はありません。
しかし、
相続したからといって、
不動産の管理義務がなくなるわけではありません。
毎年届く固定資産税の納税通知書。
火災保険。
草木の管理。
建物の劣化。
誰も住まない家なのに、
お金だけが出ていきます。
最初は、
「そのうち売ろう。」
と思っていたそうです。
しかし気が付けば、
5年。
そして10年近くが経過していました。
中川区に今も残る連棟式建物
最近ではあまり見かけなくなりましたが、
中川区には今も連棟式住宅が数多く残っています。
特に、
昭和30年代から50年代に建築された住宅街では珍しくありません。
かつては、
隣同士が助け合いながら生活する地域コミュニティの中心でもありました。
しかし時代は変わりました。
所有者が高齢化し、
相続が発生し、
空き家になっていく。
現在では長屋問題と空き家問題が重なり、
大きな社会課題になっています。
長屋が敬遠される本当の理由
長屋と聞くと、
多くの方は
「売れない」
というイメージを持っています。
実際、
不動産会社の中にもそう考える担当者は少なくありません。
理由はいくつかあります。
まず、
建物が古い。
そして、
隣家と壁がつながっている。
さらに、
接道条件によっては再建築不可の可能性もあります。
一般的な戸建住宅と比較すると、
確かに売却の難易度は上がります。
しかし、
ここで大切なのは、
「難しい」と
「価値がない」は違うということです。
査定額0円の本当の意味
売主様が最もショックを受けたのは、
「査定額0円」
という言葉でした。
しかし実際には、
査定額0円にも様々な意味があります。
多くの場合、
不動産会社が言っているのは、
建物評価がゼロということです。
築60年以上。
雨漏りあり。
設備も老朽化。
そうなれば建物自体の評価はつかないかもしれません。
しかし、
不動産の価値は建物だけで決まるわけではありません。
土地の価値。
立地の価値。
利用価値。
収益価値。
これらは別の話です。
現地で感じた違和感
私たちが最初に現地を確認した時、
確かに状態の良い建物ではありませんでした。
室内には湿気もありました。
外壁も劣化していました。
一般的な査定だけで見れば、
厳しい評価になるのも理解できます。
しかし、
現地を見ながら感じたことがありました。
「本当に価値はゼロなのだろうか。」
という違和感です。
業界の本音
少し辛口な話になります。
長屋案件は不動産会社にとって決して楽な仕事ではありません。
調査が必要です。
再建築の確認も必要です。
隣家との関係も確認しなければなりません。
購入者への説明事項も増えます。
つまり、
手間がかかるのです。
そのため、
最初から低い査定額を提示して終わるケースもあります。
しかし、
私たちはこれまで事故物件や再建築不可物件、共有持分、市街化調整区域など数多くの訳あり物件を扱ってきました。
その経験から言えるのは、
難しい案件と売れない案件は別物だということです。
連棟式建物を探している人は存在する
売主様は、
「こんな家を誰が買うのだろう。」
と思っていました。
しかし市場には、
長屋を探している人たちがいます。
投資家。
リフォーム業者。
賃貸経営者。
古民家再生事業者。
彼らは一般の住宅購入者とは違う視点で不動産を見ています。
そして、
私たちは今回、
そこに可能性があると考えました。
なぜ査定額0円の長屋に買主が見つかったのか
相談者様は、
最初の査定結果を見たとき、
正直ショックを受けたそうです。
「父が一生懸命働いて購入した家なのに・・・」
「価値がゼロと言われるなんて・・・」
そう感じるのは当然だと思います。
しかし実際には、
不動産会社が言った
「建物価値0円」
と、
「不動産価値0円」
は全く違う話でした。
買主が見ていたのは未来
今回購入された方は、
一般的なマイホーム購入者ではありませんでした。
賃貸経営の経験がある方です。
その方は建物の古さを問題にしていませんでした。
むしろ、
購入後にどう活用できるか。
そこを見ていたのです。
空き家ではなく「素材」と考える人たち
私たちが普段相談を受けている中でも、
古い長屋を探している方は一定数います。
例えば、
・リノベーション事業者
・不動産投資家
・DIY投資家
・収益物件オーナー
です。
彼らにとっては、
雨漏りや老朽化よりも、
立地や価格の方が重要です。
中川区特有の需要
中川区は派手なエリアではありません。
しかし、
住宅需要は安定しています。
名古屋駅方面へのアクセス。
生活利便施設。
比較的落ち着いた住環境。
そのため、
家賃を抑えた賃貸需要が存在します。
投資家から見ると、
この点が魅力になります。
「古いから売れない」は本当か
現場ではよく聞く言葉です。
しかし、
私は少し違うと考えています。
売れないのではなく、
売る相手が違うのです。
新築を探している方に長屋を紹介しても売れません。
しかし、
リノベーション前提の投資家ならどうでしょうか。
結果は大きく変わります。
買主が評価したポイント
実際の購入者が評価したのは、
以下の点でした。
・価格
・立地
・賃貸需要
・再生可能性
・周辺環境
でした。
建物の古さは理解した上で購入されています。
つまり、
欠点を理解した上で買う人が存在するのです。
査定額の比較
今回のケースをわかりやすく表現すると、
こんなイメージです。
【A社】
長屋
老朽化
雨漏り
↓
査定額0円
【B社】
解体前提
↓
査定額100万円
【弊社査定】
中川区需要分析
投資家需要調査
賃貸市場調査
↓
査定額480万円
最終成約価格
520万円
※モデルケース
差額
約500万円
土地も建物も同じです。
違ったのは、
誰に売るかという考え方でした。
長屋を放置するとどうなるのか
空き家は時間が解決してくれません。
むしろ、
時間が経つほど問題は増えていきます。
・雨漏り
・シロアリ
・防犯問題
・近隣クレーム
・固定資産税
・草木の繁茂
そして、
売却のタイミングを失うこともあります。
相続人が抱える本当の問題
実は多くの方が、
お金だけで悩んでいるわけではありません。
よく聞くのは、
罪悪感です。
「親の家を処分していいのだろうか」
「思い出がある」
「売ったら親に申し訳ない」
こうした気持ちを抱えている方は少なくありません。
しかし、
誰も住まない家を維持し続けることも、
また大きな負担になります。
空き家マイスターとして感じること
私たちは日々、
様々な空き家を見ています。
事故物件。
再建築不可。
旗竿地。
共有持分。
長屋。
一般的には売れないと言われる不動産です。
しかし、
本当に売れない案件はそれほど多くありません。
むしろ、
価値が伝わっていない案件の方が圧倒的に多い。
これが現場で感じる本音です。
業界の本音
長屋案件は簡単ではありません。
調査も必要です。
説明も必要です。
買主探しも工夫が必要です。
だからこそ、
経験値によって結果が変わります。
不動産売却は、
会社によって査定額が違う数少ない業界です。
長屋のような案件になると、
その差はさらに大きくなります。
「売れない長屋」ではなく「売り方が難しい長屋」
今回の案件を振り返ると、
長屋だから売れなかったのではありません。
長屋だから、
売り方を工夫する必要があったのです。
そこを理解しているかどうかで、
結果は大きく変わります。
まとめ|査定額0円でも諦める必要はない
今回の事例では、
査定額0円と言われた長屋に買主が見つかりました。
もちろん、
全ての長屋が同じ結果になるわけではありません。
しかし、
査定額0円だから価値がない。
古いから売れない。
長屋だから諦める。
そう決めつけるのは早いかもしれません。
不動産は、
見る人によって価値が変わります。
そしてその差が、
数百万円になることも珍しくありません。
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相続した長屋。
長年放置している空き家。
再建築不可と言われた建物。
査定額0円と言われた不動産。
他社で断られた案件。
その評価は本当に適正でしょうか。
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まずは、
「売れるかどうか」
ではなく、
「本当の価値はいくらなのか」
を知ることから始めてみてください。
思い込みの向こう側に、まだ活用できる価値が残っているかもしれません。
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