【完全解説】宗教法人の空き家の土地は売れるの?境内地とお寺の届け出について知っておくべき重要なポイント

宗教法人が所有する土地の売却について、疑問を持たれる方は多いのではないでしょうか。「宗教法人の土地は本当に売却できるのか?」「どのような手続きが必要なのか?」といった基本的な疑問から、「境内地とは具体的に何を指すのか?」「買主として注意すべき点は何か?」まで、宗教法人の不動産取引には一般的な不動産売買とは大きく異なる特殊なルールや手続きが存在します。

仮に空き家状態になっているお寺を勝手に売れるのですか? お寺は相続人が存在していたとしても、お寺は相続人の所有物ではなく宗教法人の財産になります。 個人の資産とは異なり、信者や檀家からの寄進などによって維持されている、いわゆる「公的な資産」なのです。

また、お寺を売却する前提として果たして「所有権移転登記」が無事に行うことができるのか?、地目を「境内地」から「宅地」に変えられるのか?という疑問や不安を抱くことは当然のことだと思います。

本記事では筆者が様々な場面で遭遇した問題点や注意すべきポイントをなるべくわかりやすく

実際にある宗教法人による土地売却の基本的なルールから、宗教法人法と登記法での定義の違い、必要な届け出手続き、そして取引における重要なチェックポイントまで、実務で役立つ情報を体験を介して解説いたします。宗教法人関係者の方はもちろん、これから売買する不動産業者さん、宗教法人所有地の購入を検討されている方にとっても、トラブルを避けるための必須知識をお伝えできれば幸いです。

名古屋市エリアで″売却サポート”に専門特化した
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空き家の遺品整理や不要品の買取まで一括してサポートしております。

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愛知県名古屋市南区道徳通2-51 道徳ビル1F

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目次

1. 宗教法人の土地は売れるの?基本的なルールを知っておこう

宗教法人が保有する土地の売却は、特定の条件を満たしている場合に限り可能です。しかし、一般の不動産取引とは異なる特有の手続きが必要となります。本記事では、宗教法人による土地の売却に関する基本的なルールを詳しく説明します。

宗教法人の土地売却に関する法律  基本、重要なプロセスは以下の3点

宗教法人法では、宗教法人が保有する土地や資産を売却する際に守らなければならない規定が設けられています。この法律は、信者からの寄付によって形成された財産の保護を重視しており、慎重な対応が求められます。宗教法人が土地を売却する際に注意すべきポイントは以下の通りです:

  • 責任役員の承認:土地を売却するためには、まず責任役員による会議での承認が必要です。これは、内部で意見を統一するための重要なステップとなります。
  • 公告の義務:売却予定の土地については、信者や関係者に公告を行う義務があります。この公告は、売却プロセスの透明性を確保するために欠かせない手法です。

解散決議後は法人代表者は文化庁または都道府県庁の宗教法人課においての解散認証手続きを速やかに行う必要があります。

売却手続きの流れ

宗教法人が土地を売却する際の主な手続きは下記の通りです:

  1. 責任役員会議での承認: – 売却には、責任役員の過半数の同意が必要です。この会議の結果は、将来的に証拠として保管しておく必要があります。
  2. 公告の実施: – 売却の少なくとも1ヵ月前に公告を行い、公告期間は宗教法人の規約に基づいて決定されます。一般的には、7日間から10日間の公告が行われます。
  3. 包括宗教法人の承認: – 特定の条件がある場合には、包括宗教法人の承認が求められることもあります。これは、宗教団体全体の合意を確保するために必要であり、手続きがやや複雑になることがあります。

※宗教法人規定によりますが解散決議前に所有権移転することは可能です。

なぜ特別な手続きが必要なのか

宗教法人の資産は、主に信者からの寄付によって構成されているため、その売却には特に慎重な配慮が必要です。不適切な売却手続きが行われた場合には、以下のような問題が発生する可能性があります:

  • 土地売却契約が無効となるリスク
  • 信者や他の関係者からの信頼を失う可能性
  • 法的トラブルや訴訟に発展する危険性

このように、宗教法人の土地売却は一般的な不動産取引とは異なり、多くの法的な規制や手続きが含まれます。特に売却にあたっては、信者との良好なコミュニケーションを維持し、透明性を確保した手続きを進めることが非常に重要です。

2. 「境内地」って何?宗教法人法と登記法での定義の違い

「境内地」という言葉は、宗教法人が所有する土地を指す一般的な表現ですが、実際には宗教法人法と不動産登記法における法的な定義が異なります。このセクションでは、両者の定義の違いについて詳細に解説します。

宗教法人法における「境内地」

宗教法人法では、「境内地」は「その宗教法人に特有の建物や工作物」が存在する土地として明確に定義されています。この法律において重要なポイントは次の通りです。

  • 宗教活動に不可欠な土地: 宗教法人が行う儀式や信者教育などに必要な土地が含まれます。
  • 多様な利用の場: 本殿や拝殿以外にも、参道や神せん田、仏供田、また庭園や歴史的なエリアも「境内地」に該当します。

具体的には、宗教法人法第2条では、境内地がどのような目的で必要とされるかが明記されています。これには以下のような土地が含まれます。

  1. 礼拝施設が立地している土地
  2. 宗教行事に関連する土地
  3. 教育や環境保護のために使用される土地

※登記上の地目が「宅地」や「畑」と分類されていても、宗教法人法上の境内地と判断されることがあるため、注意が必要です。

定義の違いを理解する重要性

不動産登記法における「境内地」

一方で、不動産登記法における「境内地」の定義は、より厳格で限定的です。この法律では、認められる「境内地」は宗教法人法の基準より狭く、主に以下の二つの要件に基づいています。

  1. 宗教法人法第3条の2号に該当する建物が立地している土地
  2. 宗教法人法第3条の3号に該当し、参道として使用される土地

このように、不動産登記法においては、「境内地」として認められる範囲が明確に定められており、特に商業活動が行われる土地は登記上、商業用地として扱われることが多くなります。

定義の違いがもたらす影響

宗教法人法と不動産登記法における「境内地」の定義の相違は、宗教法人が土地を売却する際に大きな影響を与えます。たとえば、宗教法人法上は「境内地」と見なされる土地でも、不動産登記法では商業用地に分類されることがあります。この場合、売却時には特別な手続きが必要となることがあります。

重要なのは、境内地が宗教法人にとってどのように活用され、法律的にどのように認められるかをしっかりと理解することです。宗教法人は、これらの法律を遵守しつつ、適切な土地管理を行う責任を負っています。

3. 土地を売却するときに必要な届け出と手続きの流れ

宗教法人が土地を売却する場合、一般の不動産取引とは異なる特有の手続きが求められます。宗教法人が土地を売却しようとする際、遵守すべき重要な手続きがあります。その中でも特に注目すべきは、宗教法人法第23条に基づく公告手続きです。

1. 責任役員の承認

まず初めに、宗教法人の内部委員会や責任役員による決議が不可欠です。具体的には、以下の手順が求められます。

  • 責任役員会の開催: 売却についての議題を設定し、責任役員が参加する会議を開催します。
  • 議決の取得: 売却に関する決議を行い、必ず過半数の支持を得る必要があります。

この手続きは、法人内の意思決定過程を明確にする役割を持っています。

2. 公告の実施

次に重要なのが、公告手続きです。宗教法人法第23条に基づき、土地の売却を行う前に以下の内容を公告する義務があります。公告が求められる理由は、宗教法人の資産が信者の寄付で成り立っているためです。不適切な売却や無認可の処分を避けるため、公告が設けられています。

  • 公告期間: 売却の少なくとも1か月前に行う必要があります。(※形式は問われません。掲示板貼り付け等OK)
  • 公告方法: 公告の方法は宗教法人の規則に従い、信者や利害関係者に対して実施されなければなりません。特に公告の期間や内容には十分注意を払う必要があります。

この公告手続きによって、信者や地域住民への透明性が確保され、後のトラブルを防ぐことができます。

※≪公告に必要なタイムライン≫

3月12日   公告開始日(初日不算入)
3月13日   公告開始起算日

【7日間の掲示】

3月19日   公告期間満了日
3月20日   公告の取外し可能日・据置期間の開始

【1か月の据置期間】

4月19日   据置期間満了
4月20日以降 財産処分可能

公告手続を必要としない例

緊急の必要に基づく処分、又は軽微なものである場合

財産処分のうち、主要な境内建物の新築等(法23条1項3号)、境内地の著しい模様替え、用途変更等(同項5号)については、近隣住民との諸事情な問題が発生している場合や軽微なものである場合には、財産処分に関する公告は不要とされるとあります。

例えば、空き家状態で境内が朽ちて今にも倒壊しそうな場合は、または地域住民の苦情に配慮して急いで解体しなければならないため一月間の公告など猶予はなく公告は不要となります。

3. 包括宗教法人の承認

寺院が被包括宗教法人に属している場合、体感的には少し厄介です。包括宗教法人からの承認も必要ですが、以下の流れで進めていかないといけませんので注意が必要です。

  • 承認申請: 売却に関する申請を包括宗教法人に行い、承認を得る手続きを進めます。
  • 決定の通知: 承認が下りた場合、その内容を正式に通知する必要があります。

4. 売買契約の締結

上記の手続きがすべて完了すると、次は売買契約の締結に移ります。この際の注意点は以下です。

  • 特約の設定: 売買契約書には、全ての手続きが適法に行われたことを条件とする特約を明記します。
  • 所有権の移転時期: 売買代金の支払い後に所有権が移転することを明記することが重要です。

この特約設定によって、売主と買主の双方にとってのリスクを軽減することができます。

以上の手続きの流れをしっかりと理解した上で進めることが、スムーズな土地の売却を実現するためには必要不可欠です。

4. 信者への公告は必須!やらないとどうなる?

宗教法人が自己の財産を処分する際には、信者への公告が法律で求められています。この公告を怠ることによって生じるリスクについて、ここではその重要性と影響を詳しく解説していきます。

公告の重要性

宗教法人法第23条に基づいて、特定の重要な行為—例えば宗教法人の不動産を売却することや主要な建物の新築—には、信者や利害関係者に対して公告を実施する義務があります。公告は、これらの行為が行われる少なくとも1か月前に行う必要がありますので、透明性を確保し、不適切な財産処分を防ぐ目的があります。

公告を怠った場合の罰則

公告の手続きを怠ることで、以下のような深刻なリスクが伴います:

  • 行為の無効化: 宗教法人法第24条によって、公告義務を無視した場合、その行為は無効となります。これは第三者にも影響を及ぼし、信者が法人の行動を信頼できなくなる結果を招きます。
  • 過料の発生: 宗教法人法第88条に基づき、公告を行わなかった場合、最悪で10万円の過料が科される危険性があります。この費用は法人の運営面でも無視できない影響を与えます。

公告方法と確認手続き

公告は宗教法人の内部規則に従って行われますが、一般的な手続きには以下のような方法があります。

  • 機関紙への掲載: 定期刊行物に公告を載せる方法です。読者が目にする機会が多く、信者へのリーチが高まります。
  • 掲示板での掲示: 自法人の事務所や公共の掲示板に公告文を掲示することも一般的です。この方法により、広く地域に周知することが可能です。

公告の実施を証明するためには、公告確認証明書を作成し、信者や利害関係者から署名をもらうことが推奨されます。これにより、後で公告が適切に実施されたことを確実に示すことができ、トラブルを事前に防止することができます。

宗教法人の規約を確認する

最初に確認するべきは、宗教法人における内部規則です。特に重要な点は以下の通りです。

責任役員会議の議事録: 購入を希望する土地が売却されるためには、宗教法人の責任役員による会議が必要です。この会議で適切な議決がなされていなければ、土地の売却が無効になるリスクがあります。事前に議事録の確認を行うことが重要です

5. 土地を買う側が注意すべきチェックポイント

宗教法人の土地を購入する際には、一般的な不動産取引とは異なり、特別な注意が必要です。ここでは、土地購入者が特に心に留めておくべきチェックポイントを詳述します。

宗教法人の規則の確認

土地を取得する前に、該当する宗教法人の内部規定をきちんと把握しておくことが重要です。特に注目すべき点は以下の通りです:

  • 議決の有効性: 責任役員会議での議決が適切に行われたかを必ず確認しましょう。有効な議決がなければ、土地売却が無効になるリスクが存在します。
  • 規則の把握: 各宗教法人の規則は異なるため、手続きや条件を詳細に理解しておく必要があります。特に売買に関する制約や特別条件がある場合は、見逃さないように注意が必要です。予め、宗教法人の規約を把握しておくといいでしょう。

公告の有無の確認

宗教法人が土地を売却する際には、公告手続きが欠かせません。以下のポイントを確認することで、手続きをスムーズに進めることができます:

  • 公告の方法: 宗教法人の登記事項証明書に記載された公告手法が適切に遵守されているか、不備がないかをチェックしておきましょう。
  • 公告期間: 公告は最低でも一ヶ月前に行う必要があるため、スケジュールの確保が肝心です。この期限を過ぎると、土地の売却ができなくなります。

包括宗教法人の確認

特に被包括宗教法人に関しては手続きが煩雑であり、非常に慎重さを求められます。

  • 承認の確認: 包括宗教法人からの承認が必要なケースが一般的であり、承認が得られないと土地を売却できません。承認の取得には時間がかかることが多いため、事前にチェックしておくことが重要です。

売買契約書の特約

売買契約を結ぶ際には、特約を諸所に盛り込むことが非常に大切です。特に売買契約を締結する時は、かならず停止条件を付けてください。停止条件とは、その条件が達成されなければ契約そのものは発生しませんという意味です。

例:「宗教法人〇〇寺規約に定めのある手続が完了したことを停止条件とする」といった趣旨の条項をつけましょう。これにより、将来的なトラブルのリスクを回避することができます。以下のような条項を考慮に入れてみてください

  • 停止条件: 宗教法人の規則に従った手続きが適法に行われることを条件とすること。
  • 白紙解約の権利: 条件が満たされなかった場合に、買い手が契約を解除できる権利を明記すること。
  • 所有権移転のタイミング: 停止条件がクリアされた後に所有権が移転することを明確に規定しておくことが重要です。

これらのチェックポイントをしっかりと確認することで、宗教法人の土地購入におけるリスクを軽減し、安全な取引を進めることができるでしょう。

まとめ

宗教法人が所有する土地の売却は、一般の不動産取引とは大きく異なる手続きが必要です。責任役員の承認、公告の実施、包括宗教法人の承認など、法律に基づいた厳格な対応が求められます。

様々例外措置ありますが、寺院継承者がその財産を処分する場合、事前相談なしに行うと信頼関係に亀裂が生じ、後々紛争に発展するケースは後を絶ちません。

実際に総代や代務住職には宗教法人法の規定や規則の内容を十分に把握していない場合が多く、本来、法律上は手続を要しない場合であっても、「住職は何の相談も勝手に進められた」と感情的なトラブル事例も多く発生しております。

感情の縺れは後々の問題に発展するケースが多く、緊急の場合はやむをえませんが最低限、責任役員の議決をとり議事録を作成する!掲示場や機関紙にて檀信徒や利害関係人に対して周知をして配慮を心がける!最低限の配慮が必要になってくるでしょう。

この特別な売却プロセスは、信者からの寄付によって形成された財産を適切に管理し、透明性を確保するためのものです。一方で、土地を購入する側にも多くの注意点があり、内部規則の確認や公告の検証、さらには契約書への特約の盛り込みなど、慎重な対応が不可欠です。宗教法人の土地取引においては、双方の立場を理解し、法規制に則った対応を行うことができるかどうかが重要となるでしょう。

よくある質問

宗教法人の土地は売れるの?

宗教法人が保有する土地の売却は、特定の条件を満たしている場合に限り可能です。しかし、一般の不動産取引とは異なる特有の手続きが必要となります。責任役員の承認、公告の義務、包括宗教法人の承認など、多くの法的な規制や手続きが含まれるため、慎重な対応が求められます。

「境内地」とはどのような定義なのですか?

「境内地」という言葉は、宗教法人法と不動産登記法における定義が異なります。宗教法人法では、宗教活動に不可欠な土地が含まれますが、不動産登記法では、より狭い範囲の土地のみが「境内地」として認められます。この定義の違いは、宗教法人が土地を売却する際に大きな影響を与えます。

土地を売却する際の手続きの流れは?

宗教法人が土地を売却する場合の主な手続きは、責任役員の承認、公告の実施、包括宗教法人の承認、そして売買契約の締結です。これらの手続きを適切に行うことが重要で、透明性を確保し、後のトラブルを防ぐために欠かせません。

公告を行わなかった場合の影響は?

宗教法人が土地の売却などの重要な行為を行う際には、信者や利害関係者への公告が義務付けられています。この公告を怠ると、その行為が無効となり、最大10万円の過料が科される可能性があります。公告は透明性を確保し、信者との信頼関係を強化する重要な役割を果たすため、必ず実施する必要があります。

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