旗竿地(はたざおち)の売却について
旗竿地とは、道路に接する部分が細長く、その奥にまとまった敷地がある土地のことです。旗の「竿」と「旗」の形に似ていることからそう呼ばれています。
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旗竿地が売れにくいと言われる理由
一般的に旗竿地は整形地と比較して次のような理由から敬遠されることがあります。
- 車の出入りがしづらい
- 日当たりや風通しに不安がある
- 建物の建築計画に制約が出やすい
- 駐車スペースの確保が難しい
- 再建築や建築基準法上の問題が発生する場合がある
そのため、近隣の整形地と比較すると価格が10~30%程度低くなるケースもあります。
しかし、旗竿地にも需要はあります
実際には旗竿地だから売れないということはありません。
むしろ、
- 駅近エリア
- 人気学区
- 土地面積が広い
- 固定資産税評価額が比較的低い
- 周囲からの視線が気にならない
といったメリットを評価する購入者もいます。
特に名古屋市内では土地価格が高騰しているため、「少しでも安く土地を購入したい」という層から一定の需要があります。
売却時に確認すべきポイント
① 接道状況
最も重要です。
- 接道幅が2m以上あるか
- 建築基準法上の道路か
- セットバックの必要があるか
によって資産価値が大きく変わります。
② 駐車場の利用状況
購入希望者は実際に車が通れるかを非常に気にします。
- 軽自動車のみ
- 普通車可能
- 大型車も可能
で評価が変わります。
③ インフラの引込状況
- 上水道
- 下水道
- ガス
の引込みが竿部分を通っている場合、将来的な工事費用も確認が必要です。
④ 再建築の可否
古家付きの場合は特に重要です。
「今の建物は建っているが、解体すると再建築できない」
というケースも存在します。
売却前に調査しておくことで、後のトラブルを防げます。
旗竿地を高く売るコツ
① 「土地」としてだけ見せない
古家付きの場合、
- リフォーム向け
- 建替え向け
- 収益物件向け
など、複数の活用方法を提案できる不動産会社を選ぶことが重要です。
② 隣地所有者への提案
旗竿地は隣地所有者にとって価値が高まるケースがあります。
例えば、
「隣地と一体利用できる」
「駐車場を増設できる」
などです。
一般市場に出す前に近隣へ打診することで高値売却につながることもあります。
③ 買取と仲介を比較する
旗竿地は不動産会社によって評価が大きく異なります。
- A社:1,200万円
- B社:1,500万円
- C社:1,800万円
という査定差が出ることも珍しくありません。
そのため最低でも3社以上の査定比較をおすすめします。
空き家マイスターの現場感覚
私の経験では、旗竿地は「売れない土地」ではなく、「査定力が問われる土地」です。
大手の査定システムでは機械的に減点されることがありますが、実際には
- エリア需要
- 土地面積
- 接道条件
- 駐車計画
- 建築プラン
によって価値は大きく変わります。
特に相続した旗竿地や空き家の場合、「売れないと思っていたら予想以上の価格で売却できた」というケースも少なくありません。
「こんな土地、誰が買うんですかね…」
相続相談の現場で、私はこれまで何度もこの言葉を聞いてきました。
特に多いのが、旗竿地(はたざおち)や長年放置された空き家のご相談です。
道路から細い通路を通った奥に家が建っている旗竿地は、不動産会社の査定でも厳しく評価されることが少なくありません。
相続したご家族自身も、
「車が入らないから売れない」
「旗竿地だから価値がない」
「建物も古いし解体しないと無理だろう」
と考えているケースがほとんどです。
しかし現場では、その予想が大きく覆ることがあります。
今回は実際にあった事例をもとに、名古屋市で相続した旗竿地や空き家が予想以上の価格で売却できたケースをご紹介します。
「価値がない」と思われていた実家
ご相談いただいたのは名古屋市内にお住まいの50代男性。
ご両親が亡くなり、実家を相続されました。
場所は名古屋市南部エリア。
築45年以上の木造住宅で、土地は約60坪。
ただし道路に接している部分はわずか2.5メートル程度。
典型的な旗竿地でした。
数年間空き家となり、庭木は伸び放題。
建物も老朽化していました。
相談者様は開口一番こう言われました。
「解体費を払って処分するしかないと思っています」
不動産会社へ相談したところ、
「旗竿地なので難しいですね」
「価格はかなり下がります」
「業者買取の方がいいですよ」
という説明を受けていたそうです。
査定価格は会社によって大きく違った
ところが調査を進めると状況は違いました。
確かに旗竿地です。
しかし、
・最寄駅まで徒歩圏内
・周辺に商業施設が充実
・人気学区エリア
・建築基準法上の接道条件を満たしている
という強みがありました。
実際に査定を比較すると、
A社 1,250万円
B社 1,480万円
C社 1,700万円
と大きな差がありました。
同じ不動産なのに450万円以上の開きです。
なぜこのような差が生まれるのでしょうか。
それは「旗竿地」という言葉だけで評価している会社と、その土地の本当の需要を分析している会社の違いです。
買主は別の価値を見ていた
販売活動を開始して間もなく、複数の問い合わせが入りました。
その中で特に興味を示したのは30代の子育て世代でした。
理由を聞くと意外な答えが返ってきました。
「道路から離れているので子どもが飛び出す心配が少ない」
「通行人の視線が気にならない」
「整形地より価格が安い」
不動産業界ではデメリットとされる部分が、買主にとってはメリットだったのです。
結果として売主様が想定していた価格を大きく上回る金額で成約となりました。
別の事例 誰も住まなくなった空き家
別のご相談です。
名古屋市北部エリアにある築50年超の空き家でした。
相続人は兄妹3人。
全員県外在住です。
数年間誰も管理しておらず、
・雨漏り
・シロアリ被害
・雑草繁茂
という状態でした。
近隣から苦情も入り始めていました。
相続人の皆様は、
「解体費を払ったらほとんど手元に残らないだろう」
と考えていました。
建物ではなく土地として評価された
現地調査を行うと建物自体の価値はほぼありませんでした。
しかし土地は約80坪。
さらに周辺では住宅用地の需要が高まっていました。
そこで建売業者だけでなく、
・注文住宅会社
・分譲開発業者
・近隣地主
へも情報提供を行いました。
すると予想外の展開になります。
隣地所有者が購入を希望されたのです。
隣地だからこそ価値が高い
一般の購入希望者にとって80坪の土地でも、
隣地所有者にとっては話が違います。
・駐車場を増やせる
・資産価値が上がる
・将来の相続対策になる
・敷地利用の自由度が増す
ためです。
市場価格ではなく、「隣地だから欲しい」という価値が生まれます。
結果的に、当初想定していた価格を大きく上回る条件で売却が成立しました。
売れないのではなく売り方の問題
私はこれまで数多くの空き家や訳あり物件を見てきました。
その中で感じるのは、
「売れない不動産は少ない」
ということです。
本当に問題なのは、
「売り方が間違っている」
ケースです。
例えば、
旗竿地だから買取しかない。
古家だから解体しかない。
相続物件だから安くなる。
そう決めつけてしまうと、本来の価値を見逃してしまいます。
査定価格は正解ではない
不動産査定はよく「不動産の価値」と思われます。
しかし実際は違います。
査定価格はあくまで一つの予想です。
特に旗竿地や空き家は、担当者の経験や知識によって査定額が大きく変わります。
現場を見ずに機械的に算出された価格と、
実際の需要を分析した価格では大きな差が出ます。
だからこそ複数の査定を比較することが重要なのです。
親が残してくれた土地には価値がある
相続相談の現場では、
「親が残した土地が負担になっている」
と感じている方が少なくありません。
しかし売却が終わった後、多くの方がこう話されます。
「もっと早く相談すればよかった」
「こんな価格で売れるとは思わなかった」
「親の財産をきちんと整理できて安心した」
不動産は形が変わっても資産です。
古い家でも、旗竿地でも、空き家でも、その土地を必要としている人は必ずいます。
まとめ
名古屋市においても、旗竿地や空き家だからといって価値がないわけではありません。
むしろ近年は土地価格の上昇や住宅需要の高まりにより、以前より売却しやすい環境になっています。
相続した実家を見て、
「こんな土地売れないだろう」
と思ったときこそ、一度立ち止まってみてください。
その不動産の価値を決めるのは、土地の形だけではありません。
立地、需要、活用方法、買主とのマッチング。
それらを総合的に見たとき、思いもよらない価格で売却できることがあります。
親が残してくれた不動産を「負の遺産」と決めつける前に、一度その価値を見直してみる。
それが後悔しない相続不動産売却の第一歩なのかもしれません。


